第40回「茨城現展」が県つくば美術館(つくば市吾妻)で16日始まった。現代美術家協会茨城支部(佐野幸子支部長)会員や一般応募による約40人の作家の作品130点余りが展示されている。モットーは個人を尊重し、権力におもねらない自由な創作活動をすること。絵画や立体、工芸、写真など多様な作品が並ぶ。
「40回目の記念展にふさわしい高いレベルの作品がそろいました」と語るのは、同支部長の佐野幸子さん。今年成人を迎えた孫への思いを込めた絵画作品「晴れの日」、コロナ禍での心の葛藤を黒、赤、緑などの波と球体で表現した「葛藤」、日々移り変わる心の有様を描いた「想」の3点を展示する。佐野さんが作品制作で心掛けるのは、自分の心を表現すること。「世界で戦争が続き、あらゆる情報が波のように日々押し寄せる。世の動きとともに人の心も揺らぎ続ける。思うがまま、自分の心を自由に表現する」と話す。
今回が2回目の出展となるつくば市在住の福田徹さん(70)は、モニター上で無数の黒点が増殖、分裂、消滅を繰り返す仮想細胞の動きを映像作品にした。もとになるのが「ライフゲーム」という1970年にイギリスの数学者ジョン・ホートン・コンウェイが考案した生命の誕生、進化、淘汰などのプロセスを再現したシミュレーションゲームだ。
画家の佐々木量代さん(73)の作品は、ロシアのウクライナ侵攻への憤りをもとに描いた「踏み入る」と、和紙に風に舞い上がる花びらを鮮やかに表現した「乱舞」。蜜蝋を使うことで立体感のある作品になっている。佐々木さんが水彩画を描き始めたのは30年前。50歳でさらに技術を磨こうと美大に入学し若者たちと切磋琢磨した。現在は絵画教室とともにつくば市内で個人ギャラリーを主宰する。「現展はチャレンジの場所。年に一度集まり色々な作品に出合い刺激を受けている。新しい世界を広げていきたい」と思いを語る。
茨城支部長の佐野さんは「今回は20代から70代まで様々な作家が集まった。40回目を迎えたが、より若い方たちにも参加してもらいたい。『現展』は何者にも縛られない自由な会。お互いを尊重しながら刺激し合い、これからも高め合っていきたい」と語った。(柴田大輔)
◆第40回記念茨城現展は、茨城県つくば美術館で4月21日(日)まで開催。開館時間は午前9時30分から午後5時、最終日は午後3時まで。入場無料。20日(土)午後2時半からは、展示会場内で講評会が開かれる。参加無料。詳細はつくば美術館のホームページへ。