火曜日, 10月 7, 2025
ホームつくば目をそらさないで パレスチナにルーツ持つ女性がつくばで上映会

目をそらさないで パレスチナにルーツ持つ女性がつくばで上映会

3月3日

連日、殺りくが起きているパレスチナにもっと関心を寄せてほしいと、来月3日、つくば市民有志が「PALESTINE DAY(パレスチナ デー)」と題し、映画上映会やチャリティーバザーを開く。主催するのはパレスチナ人の父親と日本人の母親を持つ、つくば市在住のラクマン来良(らいら)さん(35)。

親戚の多くはパレスチナにいて、子どもの頃は何回も現地に遊びに行った。「ガザでは毎日、たくさんの人が殺されている。無力感でいっぱいだが、目をそらすことだけはしたくない」と、自分を奮い立たせる。

ヨルダン川西岸も被害拡大

1940年代から続くイスラエルによる占領のため、パレスチナはガザ地区とヨルダン川西岸地区に分かれる。昨年10月、イスラエルがガザ地区へ攻撃を始めた。ラクマンさんによると、現在彼女の父親が住む西岸地区でも以前から、若い男性がイスラエル兵士に捕まえられたり、街を移動しようとするとイスラエル人入植者に発砲されてきた。10月以降は被害が増えているという。

パレスチナ人への殺りくが続く中、ラクマンさんは自分にできることを模索した。10月当初は毎週のように都内まで行き、ガザ攻撃に対する抗議行動に参加していたが、つくば周辺ではパレスチナ関連のイベントを見かけなかった。

身近な人たちにも関心を持ってもらうため、昨年12月には自宅に友人らを呼び、パレスチナの歴史を話したり、小規模のバザーをおこなった。今回はより多くの人を巻き込みたいと、友人の協力も得て「PALESTINE DAY」を企画した。

日本からできることもある

当日は、2008年のイスラエルによるガザ攻撃の実態を遺族などの証言をもとに報告したドキュメンタリー映画「ガザに生きるー第5章 ガザ攻撃」(土井敏邦監督、2015年)を上映する。またパレスチナ産のオリーブオイルや石けん、パレスチナに関する書籍などの販売や、パレスチナ刺しゅうでキーホルダーをつくるワークショップを催す。

パレスチナ刺しゅうでつくるキーホルダー。ワークショップで作成する予定(同)

上映会の収益は土井監督を通し、パレスチナの人々に物資や食料、現金として直接届けられる。物販などで得た収益も、可能な限りガザに住む人々に直接渡せるような形で寄付しようと思っているが、具体的な寄付先はまだ考え中だ。

ラクマンさんは埼玉県生まれ。「国際的で都会と田舎が入り混じった環境で子どもを育てたい」と3年前、海外出身の夫と共につくばに引っ越してきた。現在は市内の自宅から都内の会社に在宅勤務をしている。

「日本にいると遠い国の話に感じるかもしれないが、世界は繋がっている。イスラエルを支持する企業への不買運動など、日本にいながらできることもある。今回のイベントをきっかけにパレスチナを知ってもらい、自分に何ができるのか考えるきっかけになれば」とラクマンさんは期待する。(川端舞)

◆「PALESTINE DAY」は3月3日(日)午前10時から午後4時、つくば市大砂1177-1 大砂田園都市センター(真徳寺隣り)で開催。映画上映時間は①午前10時30分~➁午後1時~➂午後2時30分~の3回で、各86分間。映画鑑賞費1000円。ワークショップ参加費3000円。いずれも事前予約不要。問い合わせはラクマン来良さん(lailalackmann2@gmail.com)へ。

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

1コメント

コメントをメールに通知
次のコメントを通知:
guest
最近NEWSつくばのコメント欄が荒れていると指摘を受けます。NEWSつくばはプライバシーポリシーで基準を明示した上で、誹謗中傷によって個人の名誉を侵害したり、営業を妨害したり、差別を助長する投稿を削除して参りました。
今回、削除機能をより強化するため、誹謗中傷等を繰り返した投稿者に対しては、NEWSつくばにコメントを投稿できないようにします。さらにコメント欄が荒れるのを防ぐため、1つの記事に投稿できる回数を1人3回までに制限します。ご協力をお願いします。

NEWSつくばは誹謗中傷等を防ぐためコメント投稿を1記事当たり3回までに制限して参りましたが、2月1日から新たに「認定コメンテーター」制度を創設し、登録者を募集します。認定コメンテーターには氏名と顔写真を表示してコメントしていただき、投稿の回数制限は設けません。希望者は氏名、住所を記載し、顔写真を添付の上、info@newstsukuba.jp宛て登録をお願いします。

1 Comment
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

豪華!土浦花火弁当 7店が13種 販売開始 地元食材ふんだんに

11月1日開催の第94回土浦全国花火競技大会で販売される「土浦花火弁当」が6日、同市役所でお披露目された。土浦名産のレンコン、霞ケ浦のシラウオ、県産の常陸牛など地元の食材をふんだんに使い、趣向を凝らした各店オリジナルの弁当だ。今年は土浦とかすみがうら市の飲食店6店と土浦飲食店組合など7事業者が13種類を販売する。 弁当は、花火を打ち上げる筒をイメージした3段重ねの容器に入れられ、花火がデザインされた外箱を広げると、三つの容器を並べて食べられるようになっている。価格は2000円から7940円(消費税込)。今年も昨年と同じ1200個の注文を目指す。 中止の昨年「たくさんの応援いただいた」 昨年は前日に大会中止が発表され、各店は対応に追われた。市内の飲食店などでつくる土浦名物弁当事業者部会の嶋田玲子部会長は「昨年は残念ながら中止となったが、予約された方がキャンセルせずに購入してくれたり、市民が『大変だ』と心配してお店に直接電話してくれたりして、だいたい完売し、何とかなった。SNSを見て予約以上に購入があった店もあり、たくさんの応援の気持ちをいただいた」と振り返り、今年の花火弁当について「土浦のレンコン、霞ケ浦のつくだ煮など地元食材を生かした花火弁当を通して土浦をPRしたい」と話した。 土浦市食のまちづくり検討委員会の堀越雄二委員長は、今年100周年を迎える大会の歴史に触れ「気合を入れて、力を入れて、おいしい、見栄えのあるお弁当を作った。(各店は)大会に何らかの価値を付け、土浦の観光に協力したいという気持ちで参加している」などと話した。 安藤真理子市長らも花火弁当をPRした。安藤市長は「土浦の花火に行くと、こんな素晴らしいお弁当を食べられることを知っていただきたい」とし、土浦商工会議所の中川喜久治会頭は「料理をつくる人たちの腕で地域の素晴らしさを発信していただき、今年の大会を成功させて、次の百年に向けて地域のPRを頑張りたい」などと語った。 今年販売されるのは▽土浦の老舗料亭「霞月楼」(同市中央)による会席料理のエッセンスを凝縮した花火弁当や、8分ほどで炊き立ての温度になる具だくさん釜めし弁当。 ▽弁当・ケータリング・会食の「さくらガーデン」(同市宍塚)による常陸牛のローストやレンコンの天ぷら、うなぎのひつまぶしなど地元の名物を取り入れた花火弁当と、ステーキ重。 ▽「鮨の旦兵衛」(大和町)による季節の食材や茨城の食材をふんだんに使ったちらし寿司など和食中心の花火弁当と、常陸牛をぜいたくに使い自家製の野菜の香りだれで香ばしく焼き上げた常陸牛香味焼き重。 ▽無農薬野菜や無添加食材のオーガニック料理「ダイニングムーン№385(ミヤコ)」(同市川口)によるタコライス、ハイローラーがメーンの地元野菜をふんだんに使った花火弁当と、タコライス弁当。 ▽創業109年の小松屋(土浦市大和町)による霞ケ浦のつくだ煮とうなぎを使用した国産うなぎ牛肉弁当と花火弁当うな丼、土浦名物づくし弁当。土浦名物づくり弁当はすでに予約完売という。 ほかに、▽天然うなぎ専門うなぎ村(かすみがうら市安食)が、霞ケ浦の天然うなぎやシラウオ、土浦のレンコンや新栗を使用した三段花火筒弁当を販売。▽土浦飲食店組合の福来軒(土浦市中央)が中華花火弁当を販売する。 ◆土浦花火弁当は予約受付中。詳細は土浦市観光協会のホームページへ。注文は同ホームページから各店へ。当日の弁当引き渡し場所が変更になり、今年は土浦市田中3-4-5になる。詳しくは電話029-824-2810(同市観光協会)へ。

つくばアルボラーダ 世界大会出場へ 3人制バスケ

11日から中国 杭州 つくば市を拠点に活動する3人制バスケットボール、3X3(スリー・エックス・スリー)男子の「つくばアルボラーダ」が11〜12日に中国・杭州で開催される国際大会「FIBA 3x3 ワールドツアー」(国際バスケットボール連盟主催)に出場する。世界大会の出場権を賭けた「3x3グランプリつくば2025」が9月6日つくばカピオで開催され、つくばアルボラーダが優勝し出場権を得た。 つくばアルボラーダは、アウトサイドからの攻撃を得意とし、戦術の遂行力が高いことが特徴。選手はU-18日本代表候補になった藤原叶夢(とむ)選手、中学生時代からチームに所属する増崎雄大選手、筑波大医学部出身で医療関係の仕事をしながらプレーする八幡原礼音選手、筑波大出身で教員の資格を持つ喜入大地選手などがいる。中国での戦いについて「格上のチームが相手なので苦戦が続くと思うが、自分たちの戦術がどれだけ続くか挑戦していきたい」と意気込みを語る。 筑波大出身者が設立 チームを運営する一般社団法人アルボラーダ(中祖嘉人代表)は、筑波大学体育専門学群出身でプロバスケットボールチームのアシスタントコーチを務めていた中祖さん(44)と、筑波大バスケットボール部選手だった吉村拓さん(39)が、選手の育成や普及を目指し2012年に設立した。 チームは男子トップチームの「つくばアルボラーダ」のほか、女子トップの「モーリスラクロア」、U-18男子、U-15男子と女子、U-12男子と女子があり、小中学生を対象としたスクールを開くなどの活動を続けている。現在、小学生から社会人まで約150人が所属する。 これまで男女とも日本代表選手を輩出している。谷田部地区出身の小澤峻選手はU-15時代からアルボラーダに所属し、アジアの男子得点王になった。現在はプロバスケットボールB3リーグの「しながわシティ」に所属する。女子の鶴見彩選手は埼玉県出身、5人制バスケの社会人チーム日立ハイテクで活躍し、現在女子トップチームのモーリスラクロアに所属する。 「筑波山麓秋祭り」に協力 理事の吉村拓さん(39)は「今まで育成に力をいれてきたが、バスケットに夢中で、地域のことをあまり知らなかった。地域あってこそのチームなので、これからは地域を応援しながら認知度を上げていきたい」と話す。 手始めに10月下旬から始まる「筑波山麓秋祭り」に協力する。きっかけは、女子チーム「モーリスラクロア」が出場する女子の国内プロリーグが11月1日、同市北条の筑波総合体育館で開催することが決定したこと。同時期に山麓秋祭りが開催されることを知り、コラボ出来ないか検討した。秋祭りは、山麓のさまざまな場所で広範囲に開催されることから、アルボラーダが地区ごとに動画を撮影して秋祭りのPRに協力することになった。吉村さんはさらに月1回開催される秋祭りの打ち合わせ会議にも出席、地元と協力関係が芽生えている。(榎田智司)

県詩人協会理事長 柴原利継さん《ふるほんや見聞記》9

【コラム・岡田富朗】茨城県詩人協会は2005年に創立され、会長の鈴木満さん(故人)、理事長の武子和幸さん、名誉会員の星野徹さん(故人)、瀬谷耕作さん(故人)、新川和江さん(故人)、粕谷栄市さん、山本十四尾さんと、会員130名での船出、今年7月で20周年を迎えました。現会長は髙山利三郎さんが務めており、会員数は約90名です。 現理事長の柴原利継さんが詩と出会ったのは、中学3年生のとき。詩人の大島邦行さんが桜中学校に赴任してきたことがきっかけでした。大島さんは水戸市出身で、星野さんの愛弟子。詩誌「白亜紀」の同人でもあり、日本現代詩人会、茨城県詩人協会の会員。詩集『海または音叉』(1979年、国文社)の著者でもあります。 柴原さんは2007年、塚本敏雄さん、福田恒昭さんと共に詩誌「GATE」を創刊。現在も発行しており、柴原さんの詩を読むことができます。同誌では毎号発刊時に読書会を開き、テーマを設けた競作を行っています。また、原稿段階での合評やゲストの招待、持ち回りによるエッセイの執筆なども柱としています。 塚本さんは、日本現代詩人会の前理事長であり、柴原さんとは幼稚園からの旧知の仲。共に大島さんに出会い、詩の世界へと導かれました。高校時代には、大島さん、塚本さんと3人で同人誌を発行していました。 元気をもらえるのは谷川俊太郎の詩 柴原さんは「詩が完成した時もうれしいが、詩を作る中でいろいろなことを考える時間が、何よりも貴重」だそうです。特に好きな詩人はとの質問には、「若い頃は、ちょっと斜に構えて世の中を見ていたので、渋沢孝輔さんのブラックユーモアに面白さを感じていました。でも、読んでいて元気や勇気をもらえるのは、やはり谷川俊太郎さんの詩ですね。『さすが』と思える詩がたくさんあります」と話してくれました。 さらに「谷川俊太郎の詩集の中で、1冊を挙げるなら」と聞くと、「やはり第一詩集『二十億光年の孤独』(1952年、創元社)ですね」と教えてくれました。 谷川俊太郎は2024年11月13日、92歳で逝去されました。1952年の『二十億光年の孤独』刊行以来、絵本を含めて何百冊もの著作を世に送り出してきました。25年6月6日には、朝日新聞連載の「どこからか言葉が」をまとめた詩集『今日は昨日のつづき どこからか言葉が』が出版されました。 この詩集には、谷川俊太郎が最後に残した「感謝」を含む47篇の詩が収録されています。「感謝」は逝去から4日後の朝日新聞に掲載されました。(ブックセンター・キャンパス店主)

現地の暮らしに密着し海外を撮影旅行 土浦の石川多依子さん「一期一会」展 

7日から 市民ギャラリー 土浦市在住の写真家、石川多依子さんが、海外で出会った人々や印象を組み写真で表現した写真展「一期一会」展が7日から土浦市民ギャラリー(同市大和町)で開催される。これまで2回、土浦の街中を散策し出会った人々や街の変遷を撮影したモノクロ写真展を開催してきた(22年9月14日付、24年9月30日付)。今回は、2000年から18年までの間に海外で撮影した写真を展示する。タイ北部の山岳地帯に住むモン族やリス族、中国新疆ウイグル自治区など現地の人々の暮らしに密着した57点を展示する。そのうち29枚はフイルムカメラで撮影しデジタル化した。 きれいな風景ではなく人間味のあるところ 石川さんは1945年水戸生まれ。中学生のときに父親から写真を教わって以来、子育て期間を除いて撮影を続けている。海外で撮影するきっかけになったのは、父親が亡くなり癒しのために1999年に出掛けた友人との海外旅行だ。なんとなく良さそうと、タイに行ったところ、山岳地帯に住むリス族やラフ族、アカ族などの民族衣装の美しさに魅了されてしまった。以来、チェンライ市の子どもの教育を支援する里子プロジェクトに参加しながら、撮影の旅を続けた。 趣味のパッチワークも海外での人々の暮らしを撮影する機会になった。2002年にメキシコのグアナファート大学に招待されパッチワークの個展を開催した。その際は、グアナファートの町を歩き撮影した。その後もタイ北部のカレン族、中国新疆ウイグル自治区、エジプトなどに積極的に撮影旅行に出掛けた。 2016年には、リス族の写真を見た水戸在住の文化人類学者に「水も電気もない暮らしをしている人がいるエチオピアに行ってみないか」と声を掛けられ、「二つ返事で行った」と石川さん。「みんなが撮影する美しいところや有名なところではなく、人々の生活や人間味のあるところを撮りたい」と石川さんはいう。そのため、より地元の人と触れ合える安いホテルに泊まったり、少数民族の住居に滞在したりする。 タイ北部の首長族が住む山岳地域は水が豊富だ。井戸端で水をたっぷり使いながら髪を洗う女性の姿と横にたたずむ少女の対比が印象的で撮影した。幼い頃から首に巻いた真鍮のリングは、一生外すことができないそうだ。 ベトナムに住む華僑の女性が、街角で美容サロンを開いていたところを撮影。屋根もない店舗だが、マニキュアを施術されている女性は顔にパック剤をつけて満足気に微笑んでいた。女性のたくましさに感心したという。 家畜であるラクダに荷物を乗せる、エチオピアのサバンナにあるボラナ村の人々を撮影した。村には井戸などがなく水がないため、1日の水分は朝のラクダの乳で作ったミルクティー2杯のみだった。数日間、わらぶき屋根でできた村人の家に滞在したが、子ヒツジや子ヤギも一緒に寝る環境でダニに悩まされたそうだ。 今回の写真展は、撮影した年代順に12のテーマに分け、組み写真で展示する。2000年は「山の子供」と題してタイ山岳地帯のモン族の写真を紹介、01年は「街角」のタイトルで中国雲南省の麗江(れいこう)ナシ族の写真などを展示する。 海外で撮影した写真を地元土浦で展示するのは初めて。石川さんは「これまで都内や大阪、水戸で展示会をしてきた。今回は土浦の人にも遠い国の人々の暮らしを見てもらいたい。何かを感じ取っていただけたら」と来場を呼び掛ける。(伊藤悦子)。 ◆石川多依子写真展「一期一会」は7日(火)から13日(月・祝)まで、土浦市大和町1-1アルカス土浦1階 土浦市民ギャラリーで開催。入場無料。開館時間は午前10時~午後5時(初日は午後1時から、最終日は午後4時まで)。問い合わせは電話029-846-2950(同ギャラリー事務室)