金曜日, 7月 4, 2025
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スマホ決済導入し患者の待ち時間短縮 つくばのクリニック 医療DX

医療分野でデジタル技術を活用する動きが始まる中、つくば市内のクリニックが、通院専用のキャッシュレス決済サービスを導入し、患者の待ち時間短縮につなげている。

導入したのはつくば市小野崎のB-Leaf(ビーリーフ)メディカル内科・リハビリテーションクリニックだ。同クリニックではドライブスルー式の発熱外来を設けているが、車内で会計を待つため駐車場が満車になってしまうことがあった。患者の待ち時間を減らしたいと昨年8月からキャッシュレス決済サービスを導入し混雑が解消しているという。

発熱外来のドライブスルーレーン=同

導入した決済サービスは、スマートフォンだけで受付から会計を行うことができるサービス「クロンスマートパス」で、オンライン医療事業などを手掛けるMICIN(マイシン、東京都千代田区)が2022年9月から提供を開始した。アプリのダウンロードは不要で、スマートフォンからメールアドレスやLINEアカウントを登録することで利用できる。

健康保険証を事前に登録する。受付はクリニックのQRコードをスマートフォンで読み取るだけで完了する。診察の会計は事前に登録したクレジットカードから自動で決済され、領収書などはウェブ明細機能からペーパーレスで確認できる。

通常会計を担当する受付スタッフは、患者の来院受付、電話対応、待合室にいる患者のフォロー等様々な業務を行っており、患者が会計を済ませるまでに長時間かかることがある。クレジットカードによる会計では端末にカードを差し込み暗証番号を入力するなどの動作が必要になるが、同サービスを利用すれば不要だ。配車アプリなどと同じ仕組みで、あらかじめ登録されたクレジットカードでの決済をオンライン上で行うため、会計時間を短縮することができるという。

スタッフは混雑状況に合わせ、患者が帰った後に会計処理を行うこともでき、決済された金額が事前に登録されたクレジットカードから引き落とされる。混雑する院内で、患者、スタッフ双方のストレスを軽減する仕組みだ。

現在マイナンバーカードと紐づけはしておらず、今後の保険証廃止の動きや、マイナンバーカードの普及率を見て紐づけについて検討するという。

処方箋データを薬局に自動送信

処方箋のデータは診察後、薬局に自動で送信されるため、薬局に到着する前から調剤が始まり、待ち時間が少なく済む。患者は処方箋を受け取るだけで病院を後にすることができ、調剤が完了するとスマートフォンに通知され、処方箋の原本と引き換えで薬を受け取る。

同サービスを利用する際は事前に処方箋を送る薬局をオンライン上で選択する。通常、薬局で必要とされる質問項目ついては院内受付でチェック後、薬局を選択する画面で回答する。ジェネリックの希望有無についても回答できるようになっている。ただし選べる薬局は同システムを導入している薬局のみとなるため、希望する薬局が表示されない場合は、受付でもらった処方箋を、患者自身で薬局に提出して薬を受け取る。

同様の会計サービスを提供するものとして、エムスリーデジカルの「デジカル診療」というサービスがある。

電子処方箋の普及視野に

昨年1月から電子処方箋の運用が始まるなど、政府は現在、健康・医療・介護情報のデジタル化に力を入れている。

MICIN(マイシン)広報担当者によると、今後、電子処方箋の普及が進めば、処方箋情報のやりとりは紙の原本でのやりとりはなくなり、番号だけで簡便に行うことができる。MICINでは同サービスの電子処方箋対応機能の検討など、機能拡充の可能性を検討していくという。

診療風景=同

同クリニックは、元々クレジットカード決済を導入していたが、より通院しやすい仕組みを取り入れたいとサービス導入を決めた。小野間優介院長は「受付から検査、会計までをまさにドライブスルーで実現できると考えた。当院はリハビリテーションクリニックでもある。患者さんに付き添い、介助をするご家族が会計のために財布を開けなくても済むこの仕組みを導入することで、通院のしやすさにもつながると考えている。今後も患者さんが受診しやすいシステムを取り入れていきたい」と話す。(田中めぐみ)

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