江戸時代の建物が残る土浦市中央、中城通りを中心に、江戸から平成のひな人形や、手作りのつるし雛を飾る「土浦の雛まつり」が4日から始まった。市内100カ所の店や公共施設が1カ月間、雛まつりの飾り付けをして街を華やかに彩る。
中城通りにある土浦まちかど蔵「大徳」の蔵には江戸末期から明治の名工、3代目仲秀英(なか・しゅうえい)が作った貴重なひな人形を展示している。今年で19回目の開催となり、会期は3月3日まで。
商家に伝わり長く土蔵で保管
江戸時代後期に建てられた呉服屋を改装した「大徳」は、土浦の観光案内の拠点。登録有形文化財になっており、江戸の情緒を伝えている。仲秀英が作った貴重なひな人形は「大徳」の袖蔵に展示されている。土浦市観光協会の浅川善信さんは「土浦の商家に伝わっていたもので、埼玉の学芸員の方の指摘で名作と分かった。長く土蔵で保管されていたため、保存状態が良かった」と話す。展示する時以外は今も土蔵で大切に保管しているという。
1階にも飾り付け
例年は「大徳」の2階にたくさんの飾り付けをしていたが、階段を上るのが困難な来場者のため、今年は1階にも多く飾り付けをする配慮をした。1階にはえとをモチーフにした七段飾りのひな人形が展示され、辰(たつ)年にちなんで辰のお内裏様とおひな様を飾っていた。2階に上る階段にも一段一段人形が飾ってあり、人形たちの繊細でユーモラスな表情を間近で楽しむことができる。
期間中、市内に住む大学生が県外の友人を呼んでイベントを案内したり、親子3代で見に来たりする人もいるという。
グリーンスローモビリティが運行
会場となる中心市街地では「和」マークを付けた協賛店に和服で来店した人にサービスやプレゼントなどの特典を用意し、街全体でイベントを盛り上げる。また会場の4カ所に設置した看板に書いてあるクイズに答えて応募すると、全問正解者の中から抽選でプレゼントが当たるクイズラリーも開催される。応募用紙、応募箱は、土浦まちかど蔵「大徳」と観光情報物産センターきらら館(土浦市役所本庁舎1階)に設置する。土日には臨時駐車場3カ所を無料開放するほか、期間中の土日、祝日には、市立博物館と雛まつり会場を結ぶ移動手段として、電気自動車バスのグリーンスローモビリティを運行する。(田中めぐみ)