つくば市立小学校に勤務していた事務職員が、2018年6月から21年3月までの間、不適正な会計処理を行い、保護者から集めた給食費計約860万円を紛失したなどとして、つくば市は21日、事務職員を相手取って、約860万円と延滞金などの返済を求める損害賠償請求訴訟を起こす方針を明らかにした。30日開会の市議会12月定例会に提案する。
市健康教育課によると、事務職員は当時、保護者から集めた給食費を毎月、学校の銀行口座から現金で引き落とし、市役所の口座に振り込む仕事をしていた。
徴収した給食費の総額よりも、18年度は約40万円、19年度は約235万円、20年度は約584万円少なく、市の口座に振り込んでいたという。
20年12月、学校が保護者から徴収した給食費とは別の諸費用について、保護者の一人から、重複して引き落とされていると学校に連絡があり発覚した。調査したところ、同じ事務職員が担当していた給食費について、徴収した総額と、市の口座に振り込まれた金額が一致しないことが分かった。
市の調べに対し事務職員は、総額860万円が不明であることを認め、紛失させてしまったなどと釈明したという。事務職員は今年3月、860万円を市に返済すると誓約書を書いて約束、市は6月に請求書を送ったが支払いがなく、さらに督促状を送付したが、期限の8月18日までに支払いがなかったことから裁判に訴えるとしている。
事務職員の氏名や年齢、性別、現在の勤務先などについて市は、公表できないとしている。一方、今年7月、学校長が不明金について警察に被害届を出したという。
同課によると現在の学校給食費の徴収方法は、19年7月に文科省から学校給食費徴収・管理ガイドラインが出されたことを受けて、同市では21年4月から、学校を経由せず、市が保護者の口座から引き落とす方法に変更している。