11月3日から3日間
つくば市に伝わる「金色姫(こんじきひめ)伝説」などをテーマに、ドラマ映像や朗読、ダンス、歌などを上演する舞台「金色姫伝説旅行記つくばシルクロード2023」が11月3日から5日まで3日間、つくば市神郡、大谷石造りの「石蔵Shiten」で上演される。構成、演出は市内在住の脚本家、冠木新市さん(71)が手掛ける。主催は市民団体「スマイルアップ推進委員会」(冠木代表)。
舞台は、つくば市神郡の蚕影山(こかげさん)神社に養蚕信仰の一つとして伝わる「金色姫伝説」と、「常陸国のうつろ舟」伝承がテーマ。金色姫伝説は5世紀後半、舟で流れ着いた日本に養蚕技術を伝えたとされる天竺(インド)の金色姫の伝説。うつろ舟奇談は、江戸時代、茨城県の海岸にUFO(未確認飛行物体)のような鉄でできた丸い形の舟が漂着し、中に異国の女性が乗っていたという伝承で、滝沢馬琴の「兎園小説」など、複数の古文書に記されている。
冠木さんは、二つの伝説から着想を得てストーリーを作った。金色姫とうつろ舟に乗っていた女性は共に異国の女性であることなどから、舞台の中で二つの伝説がどのように結びつくのか、また滝沢馬琴が「南総里見八犬伝」に金色姫をどのように描いているかを独自に解釈し、その謎を解き明かしていく。
出演するのは舞踊家でスリランカ出身のナディーシャ・ニルミニさん(45)、つくば市出身のダンサー楓さん(16)、シンガーソングライターの宮田まゆみさんら。楓さんはつくば市出身の高校2年生。5歳からバイオリンを習い始め2020年からストリートダンスを始めた。舞台第3章の「瓦版・うつろ舟事件」で踊るダンスの振り付けを自ら行った。「物語と曲をマッチさせた振りを作るのに苦労した。最初曲に合わせて振り付けを作ったが、冠木さんからもっと自由に踊っていいと言われ、曲調を超えるようなダンスにした」と話す。
ほかに牛久市出身のソプラノ歌手、大川晴加さんが5日に出演し「筑波恋古道」などを歌う。筑波恋古道は冠木さんが作詞し、つくばの地名を散りばめた曲で、大川さんが歌うことで壮大な印象になるという。
衣装を担当する渡辺和子さんは「金色姫の優雅な姫らしい雰囲気を出そうとこだわった。ニルミニさんの美しい自前の衣装を見て、全体的に豪華で派手な衣装になった」と話す。渡辺さんは茨城弁で語り部を務める。
冠木さんは舞台上で、ほぼ一直線につながる洞峰公園からつくばセンタービル、北条のつくば古道入口、蚕影神社、臼井の坂道、筑波山を、養蚕信仰の伝説にちなんで「つくばシルクロード」と名付ける。「舞踊と音楽で、眠っているつくばの歴史と文化を呼び起こしたい」とし「新しい『金色姫伝説』を世界にアピールしたい。若い人にぜひ見に来てほしい」と呼び掛ける。(田中めぐみ)
◆公演「つくつくつくばの七不思議シアター『金色姫伝説旅行記 つくばシルクロード2023』」は11月3日(金)、4日(土)、5日(日)の3日間開催。いずれも開場は正午、開演は午後0時30分。入場料は2000円(消費税込)。定員は各回30人(要予約)。問い合わせは電話090-5579-5726(冠木さん)。