つくば市は25日、2020年10月25日投開票で実施されたつくば市長選・市議選の同日選挙で、選挙後に同選挙管理委員会が作成し公表した各候補者の選挙運動費用の収支報告書要旨について、候補者44人のうち30人の受理日に関し、実際とは異なる不適正な日付を記載し公表していたと発表した。
同市長選は3人、市議選は41人の計44人の立候補者があった。市選管事務局によると、そのうち市長選候補者1人と市議選候補者29人の計30人の収支報告書要旨について、市選管が、実際の受理日とは異なる誤った日付を記載していた。
選挙運動の収支は、選挙を明朗で信用あるものとし、公正を保つため、公職選挙法で事務処理の手順や手続きが細かく厳格に定められている。収支報告書は、選挙執行後15日以内に、各候補の出納責任者が選管に提出することが定められている。提出を受けた選管は、収支報告書の書類を元に、候補者一人ひとりについて①選挙運動の収入と支出②公費で負担した金額③受理日などを、簡潔に1ページにまとめた同要旨を作成し、公表することになっている。
20年のつくば市長選・市議選はいずれも、11月9日が選挙運動収支報告書の提出期限で、市選管は翌年2月15日付で同要旨を市役所正面玄関前の掲示板に掲示し公表していた。
一方、今年8月上旬、市民から収支報告書の情報開示請求があり、受理日の不適正記載が発覚した。発覚を受け市選管事務局が候補者全員の収支報告書要旨を調べたところ、候補者44人のうち30人について誤りがあったことが分かった。
30人のうち28人については、提出期限の11月9日より前に収支報告書の提出があり、実際の提出日の受理印が押されていたにも関わらず、その後、市選管が作成した同要旨は、受理日が11月9日と記載されていた。1人については実際は11月9日に提出があったにもかかわらず、同要旨の受理日は11月6日だった。残りの1人は、翌年1月13日に報告書が提出されたが、同要旨の受理日は提出期限の11月9日となっていた。
市選管事務局は、当時の職員に、公選法に基づく事務処理の認識が不足していたことが原因だとし、再発防止策として、職員の事務処理における文書取り扱いの内容や手順を再確認し、複数の職員による記載内容の確認を徹底するとしている。
今後の対応については、不適正記載があった30人の候補者の収支報告書要旨の受理日を正しい日付に訂正し、今後、改めて公表すると共に、事案発生の原因を検証するとしている。
発覚から公表まで2カ月以上かかった理由については、選挙管理委員会を開催して説明し、さらに当時の職員全員に聞き取り調査を実施し、弁護士や県選管に対応を相談などしたことから時間がかかったとしている。