県議会の第3回県有施設・県出資団体調査特別委員会(田山東湖委員長)が25日開かれ、前回、審査継続となっていた(8月30日付)県営の都市公園、洞峰公園(つくば市二の宮)を地元のつくば市に無償譲渡する県執行部の方針について審査が行われ、無償譲渡の方針は妥当とする決定が全会一致で出された。
妥当と結論を出した理由については、洞峰公園は①筑波研究学園都市開発に合わせて県が設置管理を行ってきた経緯があるが、公園の本来の位置づけが主として一つの市町村の区域内の利用者を見込んだ総合公園である②無償譲渡は将来の維持管理費の負担を県から市に変えるという性格をもち、経費の前払いとも考えられる③公園移管によるつくば市の財政面の影響についても大きな問題はなく、市からの理解も得られている④すでに市と十分協議の上、調整が進んでおり、市へ影響なども考慮する必要があるーなど8点を挙げた。
その上で田山委員長は、洞峰公園をめぐる一連の経緯について「本来(公園の管理運営方法など)方針を変えるごとに慎重な議論や説明が求められるところ、パークPFI事業のみが先行し、県民や市民、議会への説明が置き去りにされてきた」と指摘し、「二元代表制において議会と知事は車の両輪であることを改めて認識いただき事業を進めていただきたい」などと苦言を呈した。
さらに「今回の案件に関しては方針通りに進めていただきたいが、執行部に対しては現行の仕組みで欠落している部分、例えば譲与に関する条例や取扱基準の見直し、議会への報告の義務付けなど、今後きちんと議会として関与していけるよう早期に具体的な仕組みづくりの検討を進め、随時、委員会への報告に努め、委員会においても検討していきたい」などと指摘した。
公園の更新費40億円、施設は8割の32億円を想定
決定に先立つ審査では、新都市記念館や体育館など公園施設の今後の維持・管理費について江尻加那県議(共産)から質問が出た。つくば市が示した年平均約3500万円の修繕費用について大塚秀二県都市整備課長は「詳しい中身までつくば市から説明を受けた訳ではないが、考え方の基本として、予防的修繕を行うにあたって15~20年のサイクルを考えて(修繕に)かかるお金を年平均に直した場合、3500万円ほどと算出されていると聞いている。施設の更新費はこれからかかってくる。施設の更新費は、耐用年数80年を考えると、20年の外側になってくるので、更新費は入ってないという解釈になる」とした。
「県の公園として長寿命化した場合、いくらかかると県は試算していたのか」との質問に対して大塚課長は「2016年に健全度調査を行い、その際は40億円ほどこれからかかると算定していた。国の基準にのっとって、例えば建物は耐用年数50年程度を目安にしていた。実際に年数を重ねれば更新もあるし、いろいろなお金がかかってくるのは当たり前のこと。それをどれだけ平準化して予防保全を行うことで寿命を延ばしていくかがかぎになる。そういった意味でもうちょっと年平均で縮減していく。40億円のうち8割の32億円が建物分。それくらいの規模でやっているので、これからつくば市に移管した場合は、市の方で見直したり、適宜、市の意向で考えていくのかなと思っている」と話した。
県営公園の今後の在り方についてこの日、県から「社会経済情勢の変化、公園の規模や利用実態、市町村の意向などから、市町村の管理が望ましい公園については、市町村と協議の上、移管を進めていくべきと考えている」との考え方が示されたことについて、星田弘司県議(いばらき自民党)から、筑波研究学園都市の開発時に洞峰公園と一体的に整備された赤塚公園について質問が出た。大塚課長は「(赤塚公園は洞峰公園から)ペデストリアンデッキで歩行者や自転車で気軽に行けるような工夫がなされていて、一体的に使われていることは十分認識している。これから洞峰公園が市に移管されて、赤塚公園がどういう形が望ましいかは、つくば市の方で設置する協議会でいろいろなご意見を賜りながら検討していきたい」と述べるにとどまった。
県議会の決定を受け、今後のスケジュールについて県都市整備課は「現時点で明確にできるスケジュールはない」とし、つくば市公園・施設課は「今後、市民アンケートを実施する。スケジュールについては県と協議していきたい」などとしている。(鈴木宏子)