甲子園で開催中の第105回全国高校野球選手権は21日、準決勝の第2試合で県代表の土浦日大が慶応(神奈川)と対戦。0-2で敗れ、県勢として20年ぶりの決勝進出は果たせなかった。土浦市小松ケ丘の土浦日大高校ではパブリックビューイング(PV)が催され、生徒や保護者ら261人が試合の行方を見守った。
土浦日大の誇る強力打線が、この日は最後まで爆発力を欠き、慶応の先発・小宅雅己を打ちあぐねた。特に、ひざ元のきわどいコースに決まる直球やカットボールに翻弄(ほんろう)された。
土浦日大の先発は準々決勝に続き伊藤彩斗。立ち上がりからいきなり無死二・三塁のピンチを背負うが、続く3人を打ち取って事なきを得る。しかし2回は安打と送りバントで2死二塁とされ、小宅の右中間への二塁打で先制を許す。これが小宅をさらに乗せてしまった。
3回にも慶応の先頭打者に安打を許し、送りバントと進塁打で2死三塁。土浦日大はここで2人目の藤本士生をマウンドへ送り、ピンチを切り抜けた。4回はこの試合唯一の3者凡退を奪ったが、5回以降は毎回先頭打者を出し、ランナーを背負う展開が続いた。
6回は先頭打者が左翼フェンス直撃の二塁打。送りバントで1死三塁とされ、次打者の大村昊澄には一度スクイズを失敗させるものの、高めに抜けたチェンジアップを右前に運ばれる。慶応は試合の流れを引き寄せる大きな1点を手にした。
土浦日大も2回と5回以外は毎回走者を出しながら、なかなか得点圏まで進塁できない。7回は初めて2死三塁のチャンスを作るが、6番・鈴木大和は内野フライに倒れた。8回は代打・飯田将生の内野安打と1番・中本佳吾の右前打で2死一・二塁とするが、2番・太刀川幸輝はレフトフライ。あと一打が出ないまま試合終了を迎えた。
「60周年に心が震えるほどの感動」
土浦日大高校のPV会場で一喜一憂する生徒や保護者、教職員らの様子をビデオカメラに収めていたのは、放送部の小島優也さん(2年)と田中瑞姫さん(2年)。この夏の野球部の活躍をドキュメンタリー作品にまとめ、10月のホームカミングデーのイベントで上映する予定だ。「8回表の中本くんのヒットや、8回裏の塚原さんのファウルフライキャッチでは会場が大きく沸き、とてもいい雰囲気だった。みんなのはらはらした表情や落ち込んだ様子など、日常では見られない緊迫感ある表情がたくさん撮れた」と話す。
赤松浩二副校長は「勝負の世界は厳しいが十分に誇れる内容。本当にいい試合だった。本校の創立60周年にこのような機会が持て、心が震えるほどの感動を与えてもらった。野球部が戻ったときは、ぜひ感動をありがとうという気持ちで迎えてほしい」と、会場に語りかけた。(池田充雄)