筑波大学(つくば市天王台、永田恭介学長)は29日、つくば駅近くの同市吾妻2丁目、筑波大職員宿舎跡地約3万3400平方メートルに、大学と企業が共同で開発研究と実証実験を一気に行うことができる施設「ITF.F(イマジン・ザ・フューチャー・ドット・フォーラム)」を建設すると発表した。2027年の完成を目指す。
施設は延床面積約4万3000平方メートルで、企業が研究機器などを設置し大学と共同研究する「研究スロット」(延床面積計約1万4000平方メートル)と、ドローンの実証実験も可能な縦横100メートル×70メートル、高さ22メートルの大きさがある「実証実験(POC)スペース」(同約7000平方メートル)のほか、オープンスペースなどを設ける。開発した成果をすぐに実証実験できることが特徴だ。
大学の研究成果から新商品をつくったり新規事業を創出するシーズドブリン型から、顧客ニーズに基づいてさまざまな企業と新規事業を創出するニーズドブリン型の開発研究を進め、大学の研究力によって、企業や社会の課題を解決し社会実装までつなげていくことを目指す。つくば市が推進している「スーパーシティ構想」とも連携し市の発展にも寄与したいとする。
当初、東京五輪開催の2020年を目指し、スポーツの試合やイベントなどを開催するアリーナの建設を計画していたが、収益性から計画を見直した。
大学債の発行によって調達した資金200億円(2022年10月12日付)などを活用して筑波大が建設し、入居企業から賃料をとって運営する。
実証実験スペースは、実験の利用がない日は、スポーツの試合やコンサートなどイベント開催のほか、展示場としても活用できるようにする。10~20社入居でき、大企業を中心にすでに、AI(人工知能)、エンターテインメント、人工衛星、半導体、スポーツ、金融、小売り、製造分野の10社から参加意向の表明があるという。
現在、職員宿舎の解体工事が始まり、来年3月までに解体を終える。着工は現時点で未定という。