死魚 つくば、土浦に流下
つくば市玉取、桜川の田土部堰(たどべぜき)で24日午後4時ごろ、ハクレンが大量死しているのを桜川漁業協同組合理事の松田七郎さんが発見した。ハクレンの死魚は2日後の26日午後時点で、下流のつくば市上野と土浦市田土部に架かるさくら大橋を過ぎた地点まで流れ着いている。桜川を管理する県土浦土木事務所河川整備課(土浦市中高津)によると、死んだのは推定で数千匹。県は、流れ下って河川に点在する死魚全てを回収することは困難だが、死魚が集中している箇所を中心に26日から回収を始めているとしている。
24日、大量死を発見した松田理事は、鈴木清次組合長に連絡した。つくば市松塚の漁協事務所にいた鈴木組合長はすぐに堰に向かい、ハクレンの大量死を確認。午後4時30分ごろに県霞ケ浦北浦水産事務所(土浦市真鍋)に連絡した。
県土浦土木事務所によると、大量死の原因は河川の水位低下によるものと推察するが、詳細は不明としている。
田土部堰は新治土地改良区(土浦市永井本郷入会地)が管理している。水門を開けるのは自動で、閉めるのは手動操作となっている。23日は雨で水門を開けており、雨が止んだ翌24日の朝に閉めていた。
同土地改良区は「雨が降って水位が上がると水門を開け、雨が止むと閉めている。閉める時は取り残される魚がいないよう、順に堰の水門を閉める。それからハクレンが上がってきて、普通ハクレンは堰を超えるが、堰を超えられるだけの水量が流れてこなくて行き場を失ったと聞いている」と説明する。
流れ下る死魚を回収するため、下流のつくば市栗原と土浦市田土部に架かる桜橋付近では26日、県土木事務所が川にオイルフェンスを張ったり、オイルフェンスをくぐって流下し岸辺に流れ着いた死魚を網ですくって1匹1匹回収する様子が見られた。回収した死魚は河川敷の河川管理地内で埋設して処分する予定だいう。
漁協ら、慎重に開閉行うよう要請
桜川漁協によると、田土部堰はこれまでも水門の開閉による急激な水位の変化が確認されており、漁協はつくば市と連名で毎年、釣り人などの安全確保のために開閉を慎重に行うよう同土地改良区に要請してきたという。
漁協の鈴木組合長は「ハクレンがこんなに死んだのを見たのは80年生きてきて初めて。以前も水位が急激に下がって、溺れかかったコイを何匹も手作業で助けたことがあった。今回も水が無くなったことによる酸欠死だと思う。毎年夏に小学生が稚魚の放流体験をしているので、水位の急な上がり下がりで事故につながったら大変なこと。土地改良区にはこれまで何度も申し入れをしているが改善がない」と憤る。
一方、再発防止策について県土浦土木事務所は、川の水がほとんど無くなるまで水をせき止めたりしないよう同土地改良区に要請する等は「考えていない」としている。
26日午後、土浦市田土部の桜橋上流側では流れ付いた死魚が、中洲や岸に滞留している様子が見られた。河川敷に犬の散歩に来た、つくば市の会社役員、藤井信吉さん(51)は「臭いがひどくて、気分が良いとは言えない。この河川敷広場には、土日はバーベキューをする人がたくさん来る。皆びっくりすると思う」と話していた。
ハクレンは体長が1メートルほどまで成長する中国原産の外来魚。明治時代に日本に持ち込まれた。特定外来生物に指定されてはないが、桜川漁協によると近年、桜川で増えてきているという。4月30日には松塚にある漁協拠点で「ハクレンジャンプ」と言われる産卵期の集団跳躍行動が確認されていた。(田中めぐみ)