イラストレーターやデザイナーなど9人の作家が制作したアートブックや絵画、グッズなどを展示する「Book Worms(ブックワームス)」展が22日、つくば市天久保の「ギャラリーY」で始まった。14回目の開催で、今回は「本の虫」をイメージした作品を展示している。会期は30日まで。本やグッズはサンプルを触って見ることができ、購入可能な作品もある。
筑波大学で洋画や版画を学んでいた田中千夏さんが、在学中の99年に展覧会を企画したのが始まりで、2年に1度開催している。前回まではカフェ「サイトウコーヒー」(牛久市南)に併設する「タカシサイトウギャラリー」で展示していたが、ギャラリーの閉館にともない、今回からつくば開催となった。田中さんは「ものとして持っていたくなるようなアナログの本を作っている。Book Wormsは小さいころに読んだ本の匂いやページをめくる感覚を大切に、作家が作りたい本を実験的に作ってみる場」と語る。

出品したアーティストの一人ヨシイアコさんは、表紙の時計の針が動かせるようになっている絵本やカード、絵画「今、何時?」を出品した。「別の人が別の所でみんなと同じ時間を過ごしているということをテーマにした。この展覧会に出品するみなさんの作品が好きで、毎回参加を楽しみにしている」と話す。
筑波大学の卒業生丹野香織さんは、紙蝶番(ちょうつがい)という方法で綴った小さな屏風のような本を蛇腹にし、虫の形に見立てた作品「Small man(スモールマン)」4点を展示した。「日本画が専門で豆本など小さいものが好き。装丁にも興味があり、20年ほど前からBook Wormsに参加している」と話す。本に書かれている物語も自分で考えたものだという。
代表の田中さんは新作の自作本「それがどうした?」と「雲の上の猫」の2冊と、銅版画で作った原画など10点を展示した。「紙媒体で、紙を束にして作る本が好き。絵を描いて本にするのがライフワークになっている。手触りや匂いなど、人間には本来味わいたい感覚があり、そういうものに触れる場を求めている人がいる。大量生産、大量消費の時代に抗いたいと思っていて、あるものを大切にし、丁寧に生きていきたいというのが根底にある。量産でない自作の本の魅力を実際に見に来てほしい」と来場を呼びかけた。
一昨年の開催には100人ほどが来場したという。23日には製本の体験ができるワークショップが開催される。定員は6人、予約でほぼいっぱいだという。(田中めぐみ)
◆「BookWorms14」展 30日まで。午前11時~午後7時(最終日は午後6時まで)入場無料。