筑波山に着物で集うイベント「百人きもの」(筑波山華やぎプロジェクト実行委員会主催)が20日、筑波山神社をメーン会場に催される。4回目となる今年は「KAGAI(かがい)~雅」をテーマに、古代、求愛のため筑波山に男女が集まって歌の掛け合いをしたり踊ったとされる風習「嬥歌(かがい)」の令和版を演出する。13日まで参加申し込みを受け付けている。
オープニングでは、飛鳥時代の歌人、額田王(ぬかたのおおきみ)がよみがえると銘打ち、オリジナルの歌曲「万葉集」を筑波山神社本殿前で披露する。つくば市出身の若手作曲家、門田和峻さんが「万葉集」に曲をつけ、ソプラノ歌手の大森彩加さんが歌う。さらに同市在住の万葉集研究家、布浦万代(ふうら・まよ)さんの講演もある。
嬥歌は歌垣(うたがき)とも言われ、奈良時代に編さんされた常陸国風土記や万葉集に記されている。令和版として催される「かがい」は、男女間の出会いばかりでなく、多様な人間の出会いを演出する。万葉ラブレター、公開プロポーズなど、現代版の求婚イベントも行われる。筑波山神社での挙式料が1組にプレゼントされる公開プロポーズの出場者はWEBで募集中だ。着物のベストドレッサー表彰も行われる。
山麓の神郡(かんごおり)地区には養蚕をまつる蚕影山(こかげさん)神社があり、インドからやってきたお姫様が蚕(かいこ)になるという「金色姫(こんじきひめ)伝説」が伝わっている。今回のイベントではさらに、蚕影山神社宮司が伝説の秘話を語り、絵本作家小林由李さんが金色姫伝説を模したペイントの即興ライブを行う。これを受け「金色姫物語—ダンスによる再創造」と題し、筑波大学と同大学院生7人による創作ダンスが披露される。
同プロジェクトは、旅館、筑波山江戸屋女将の吉岡鞠子さんを代表に5人の女性で2018年にスタートした。今年までに若いメンバーが増え9人の実行委員体制になった。
今年のイベントは、ポストコロナにおける新たな観光スタイルを応援する、いばらき観光キャンペーン推進協議会の新観光プロジェクト応援事業に採択されている。
実行委員の浅野弘美さんは「いばらき観光キャンペーン推進協議会は茨城デスティネーションキャンペーン(茨城DC)に力を入れている。茨城DC事業は来年が本番。今年なんとか成功させて、来年につなぎたい。筑波山に観光客がたくさん戻り、宿泊者が増えることが成功だと思っている」と語っている。(榎田智司)
◆百人きもの KAGAI~雅~ in 2022 10月20日(木)正午~午後6時、メーン会場の筑波山神社とサテライト会場の筑波山江戸屋で開催。ドレスコートは着物。定員200人。参加費4000円(税込み、事前振込)。申し込みは13日まで同実行委員会ホームページへ。