初夏にクワ(桑)の葉を与えて育てたカイコ「夏蚕(なつご)」が繭となる時期を迎えた。筑波山麓、つくば市臼井の六所地区にある茅葺(かやぶ)きの農作業小屋では、カイコを育てて真綿をつくる「ノラオコつくば」の活動が本格的になっている。
ノラオコつくばは、同市の木村美希さん、北野裕子さんら女性3人のグループ。各自が家で飼えるだけの数のカイコを、2019年から毎年育てている。繭になったカイコは、茅葺き小屋に持ち込まれ、日を決めて真綿にする作業「真綿かけ」が行われる。繭から絹(生糸)をつむぐのではなく、真綿をつくる。どういうことなのだろう。
2010年に筑波山麓で始まった「わた部」の活動がきっかけ。「わた部」は木綿わたを栽培しながら、針仕事ではんてんをつくるワークショップだったが、3人はクワを植えてカイコを育て真綿をつくる活動に取り組んだ。

隣の神郡地区には養蚕をまつる「蚕影(こかげ)神社」があり、周辺にクワの木も点在している土地柄だが、今も残る養蚕農家は無い。グループは、2012年に農地を借り、餌となるクワの葉の栽培から始めた。実際に養蚕業を営んでいた地域のお年寄りから話を聞くなどして、養蚕農家に挑戦した。畑の除草や葉の摘み取りなど、暑さの中でのハードワークになったそう。
カイコは1頭、2頭と数える。3人で飼うのは約1200頭。万頭の単位で飼う養蚕農家の規模からすれば桁違いの少なさだが、「自宅で飼い、管理できる桑畑もまだまだ小さいため、現状はこれが手一杯」(木村さん)なのだとか。カイコは、かすみがうら市で養蚕農家を営む田崎さんを介し蚕種店から購入したという。

カイコが蛹(さなぎ)から繭となると、冷凍庫で2日ほど冷凍してから天日で数日乾燥する。「真綿かけ」は干した繭を煮て、ぬるま湯の中で袋状に広げ綿にする作業で、なかなかに習熟を要する(大規模な養蚕業の場合は別のやり方になる)。今年は24日に茅葺き小屋に集まって作業し、出来た真綿ははんてん、腰掛けなどの材料にする。
木村さんは「全国的に少なくなった養蚕や真綿の文化を伝えるために、まずは養蚕技術を習得したい」と語っている。(榎田智司)