つくば市が民間一括売却する方針を示している旧総合運動公園用地(同市大穂、46ヘクタール)について、市は10日、敷地全体を一括購入する事業者の公募を開始した。一方、一括売却に反対する市民団体「五十嵐市長リコール住民投票の会」(酒井泉代表)が同日、記者会見し、市長リコール(解職請求)に向けて受任者集めを開始すると表明した。
市が公表したスケジュールによると、参加申込書は4月11日から5月6日まで受け付け、5月16日から6月10日まで提案書類の提出を受ける。6月18日には応募事業者によるプレゼンテーションと審査を実施し、同22日に結果を公表する。8月22日には土地売買契約を締結する。
購入代金は契約締結日から30日以内にすべて支払うことが必要で、代金支払い終了と同時に所有権が売却先に移転する。平行して都市計画の変更手続きを行うとしている。
売却の条件は、最低売却価格は68億5073万円、購入事業者は都市計画決定告示から3年以内に一部施設の供用を開始する、契約締結から10年間は土地所有者であるつくば市土地開発公社の承諾を得なければ事業計画を変更することができず、契約不履行があった場合、10年間は同開発公社が土地を買い戻すことができるーなど。
併せて事業者が整備する防災備蓄倉庫は2400~2600平方メートルとし、市が賃貸借する期間は20年間、賃貸料は年4000万円以内を条件に応募時に賃貸料の提案を受ける。
防災広場は4ヘクタール以上とし、アスファルトの駐車場200台分を確保し、それ以外は全面芝生とする、水源は深井戸または耐震性貯水槽のどちからかを整備する、ほかにトイレを整備するーなど。
購入事業者の選定方法については、学識経験者、法律・経営・不動産などの専門的知見がある人、都市計画等の専門的知見がある人、地域のまちづくりに精通する人で構成する候補者選定委員会を設置し、6月18日に選定委員会を開催して応募事業者のプレゼンテーションを聞き、審査する。審査方法は、提案価格による審査が50点、事業計画による審査が50点の計100点満点で順位を付けるーなどとしている。
「市民に意志表示の機会つくる」
これに対し、一括民間売却に反対する元大学教授の酒井泉さん(73)、元市議の亀山大二郎さん(80)、元研究者の大須賀鬨雄さん(76)ら7人が10日記者会見し、市民団体を同日結成し、五十嵐立青市長の解職を求めるリコール運動に向けて、署名をとる受任者集めを6月10日まで実施するとした。
代表の酒井さんは「旧総合運動公園用地は未利用地ではなく、将来のつくば市の公共施設用地や新しい研究分野の研究施設用地として重要な未来用地。市として具体的な利用案もなく一括売却するのは不自然で不可解。市は物流基地やデータセンターなどを候補としているが、いずれも周辺の市街地ににぎわいをもたらすものではない」とし、「一括売却に対して議会が何も言えないなら、市民の実効性のある意志表示はリコールしかない。(一括売却に)イエスも含めて、住民投票は住民に意志表示の機会をつくることになる」と話す。
首長のリコールは有権者の3分の1以上の署名が必要。署名は署名収集受任者が集める。解職請求があった場合、60日以内に首長解職の賛否を問う投票が行われる。つくば市の有権者数は3月1日現在、19万2704人、3分の1は6万4235人。(鈴木宏子)