【鈴木宏子】つくば市の五十嵐立青市長は7日、2018年度当初予算案を発表した。一般会計は前年度当初と比べ2.3%減の856億1700万円となる。過去最大だった前年度に次いで2番目の規模。五十嵐市長は「子育て、教育、出産、中心市街地(の問題)など、やらなければいけながったがこれまで手が付けられなかったきめ細かい市民ニーズに応えた」とし「子供の貧困対策に力を入れた」と強調している。
特別会計などを合わせた総額は1391億6700万円で同比1.6%減。つくばエクスプレス(TX)沿線の二つの義務教育学校の建設が終了したことからマイナスとなる。
歳入は、人口増加などから市税が同比2.7%増えると見込む。借金に当たる市債は二つの義務教育学校の建設終了により同比22・5%減少する。ただし市債と、将来発生する支払い見込額である債務負担行為を合わせた残高は前年度より増えて708億円になる見込み。旧茎崎町との合併算定替えの特例期間が終了し18年度から不交付団体となるという。
新年度の主な事業は、子どもの貧困対策として、ひとり親家庭の児童などに支給する福祉金を児童1人当たり年3万円増額し1億2700万円を計上する。子どもの学習支援として、新たにNPOや社会福祉協議会などが取り組む無料学習塾4カ所に計850万円を補助する。
子育て支援は新規事業として、産婦人科を新たに開設したり、病床を増やしたり、医療機器を購入する産婦人科施設に費用の半額を助成する(5000万円)。出産後、体調不良や育児不安がある母親が、赤ちゃんと一緒に診療所や助産院に宿泊しながら育児相談を受けたり心身のケアを受ける産後ケア(525万円)にも新たに取り組む。
教育は、統廃合により4月に開校する秀峰義務教育学校のスクールバス運行に1億8400万円を計上。小学校に続き市立中学校11校の普通教室すべてにエアコンを設置する(4億1800万円)。
つくば駅前の商業施設クレオから西武筑波店に続いてイオンつくば駅前店が撤退するなど空洞化が課題の中心市街地対策は、クレオ跡地の利活用を調査する委託費などに648万円を計上。中央公園(吾妻)の池の水をきれいにして子どもたちが水遊びできるようにするなど、たまり場や遊び場をつくる実証実験をする中心市街地プレイスメイキング事業に1000万円を計上する。
ほかに、高齢者や障害者の外出を自家用車で移送支援しているNPOなどの福祉有償運送事業に計160万円を補助する▽市役所(研究学園)敷地内に、市民が交流スペースとしても利用可能な分庁舎を建設するため、9億4600万円(15年間)の債務負担行為を設定する▽産業振興センター(吾妻)を1億2300万円で再整備し1階に共有オフィスとなるコワーキングスペースなどをつくる▽中央図書館は、土日曜の開館時間を2時間延長し、無料駐車時間を1時間延長する(計915万円)。
民間保育所の保育士の給与に月額3万円を上乗せする保育士処遇改善助成金は、17年度に引き続き実施し2億2100万円を計上する。事業を凍結した竹園3丁目地区の地域拠点再構築事業は18年度も凍結のままという。