つくば市小野崎の私立保育園「青い丘保育園つくば」(金秀司園長、定員105人)で、職員のほぼ半数に及ぶ保育士ら9人が3月末で退職することが分かり、保護者有志が同園に対し説明会の開催を求めている。10日夕方は、説明会開催を求めて同園の駐車場で園長を待つ保護者らに対し、5分以内の退去を求めて園側が警察を呼ぶトラブルになった。
過去の処遇改善加算未払い
保育士の賃金を改善するために支払われる賃金の一部、処遇改善等加算=メモ=を、園側が過去に保育士に支払っていなかったことが退職の一因になったとみられる。未払いについて市幼児保育課は「保育園と情報のやりとりをしている」と答えるにとどまり、県こども未来課は「処遇改善加算をきちんと保育士に支払うよう法人を指導している」としている。
半数の保育士らが退職する事態を知った保護者は8日、園長と面談し、保護者説明会の開催を要求した。保護者によると、園長は「分からない」という回答を繰り返したことから、翌9日、同園の保護者らにちらしを配り、説明会の開催を再度要求した。
10日になって園側は、保護者向け連絡アプリで、職員9人が3月末で退職することを認める通知を出し「保育士の確保を早急に進めます」「保育士などへの未払いの件は、県及び市から指導を受けており、現在適正に処理を進めてます」などとする文章を出した。一方、説明会開催について言及がなかったことから、保護者は10日、園長に開催を重ねて要求。園側が警察を呼び、その後約3時間、警察官が立ち合って、保護者有志が説明会開催を要求する事態になっている。10日時点で開催は未定だ。
保護者の男性(40)は「今後どうやって保育士を確保するのか説明がなく、4月以降も子供を預かってもらえるのか、保護者は大変な不安を抱えている。保育士の引き継ぎ期間も必要になり、あと1カ月半でちゃんとできるのか。子供をよその保育園に転所させたくても、4月入園の二次募集は17日に締め切られてしまい、時間がない。保護者が行動しなければ園は黙っていた恐れがあり、あまりにも無責任だ」と憤る。さらに「つくば市も全力で保育園を指導してほしい」と話す。
同園を運営する社会福祉法人「青丘」(小美玉市、金正出理事長)は取材に対し「弁護士に相談している」とし、同園の金園長は「弁護士に聞いてほしい」としている。(鈴木宏子)
※メモ
【処遇改善等加算】保育士の賃金を改善して離職に歯止めをかけ、保育士不足を解消して待機児童を減らそうと国が創設した制度で、全保育士を対象に経験年数に応じて加算される分と、役職や技能などに応じて加算される分の2種類がある