【橋立多美】環境にやさしい薪(まき)ストーブが静かなブームになっている。里山を整備しながら薪ストーブを楽しむ「つくば薪クラブ」(芳賀開一代表)のメンバーが4日、龍ケ崎市塗戸の約1haの雑木林の伐採に取りかかった。
力強いチェーンソーのエンジン音が冷たい空気を震わせ、大きく枝を伸ばしたエノキが次々に切り倒されていく。木の重心を判断し、狙った方向に倒すのは勘と経験を必要とするそうだ。
雑木林は千葉県流山市在住の金子保広さんの所有地。長年放置したことで400本ほどの雑木とササが生い茂った。一念発起して整備することにしたが孤軍奮闘しても歯が立たなかった。
同クラブは里山保全活動を実践しているNPO法人「つくば環境フォーラム」(田中ひとみ代表=つくば市要)の会員の中で、薪ストーブ愛好家たちが森林整備で出る木材の有効活用を図るために2008年に結成した。現在は「つくば薪クラブ」として独立し、下草刈りなど里山林の整備をしながら薪材の伐採や運搬、薪割り、乾燥など一連の薪作りを行っている。薪は活動に応じて会員に配分されている。
手慣れた様子でチェーンソーを操る同クラブの小林茂樹さん(59)=龍ケ崎市在住。「斜面での下草刈りや薪割りは体力を消耗するが、きれいな空気の下で仲間と交流しながらの作業はジムに通うより楽しい」と話す。
暖房器具として、インテリアとしても人気の高い薪ストーブの良さはどんなところにあるのか。「体の芯から暖まる心地良さとガラスの窓から見える炎に癒される」と、薪ストーブ使用歴20年の小林さんはいう。難点は薪の入手で、市販は一束700円前後と高額になるため、薪を確保するルートを持つことが必要になると話した。
所有林の伐採を依頼した金子さんは「手を入れなかったことで雑木が自生し、ササやツタが繁茂して陽が入らない暗い林になった。還暦を過ぎて『終活』として林をきれいにしなければと思った。だが遅々として進まず、つくば薪クラブのお陰で先が見えてきた」と安堵の表情を見せた。
同クラブは一緒に活動する仲間を募集している。問い合わせは「つくば環境フォーラム」にメール(tef298@lime.ocn.ne.jp)で。
