【橋立多美】多くの人がいつか直面する相続問題。認知症患者が増えている今、判断能力が十分でなくなったら財産の管理や相続はどうしたらいいかと不安を募らせる人は多い。
こうした社会のニーズに応える「あなたと家族を守る―認知症対策・相続対策講座」が27日、つくば研究支援センター(つくば市千現)で開かれた。同市や土浦、牛久市、阿見町など県南地域から約40人が参加して耳を傾けた。主催は同センターに事務所がある相続手続支援機構。
講師は税理士法人「栄光パートナーズ」代表で税理士や行政書士の資格をもつ逆井甚一郎さん(74)。専門用語を解説しながら、認知症になって判断能力が衰えた人を法律的に支援する成年後見制度、元気なうちに財産管理や終末期の尊厳死宣言などを登記しておく公正証書と遺言の重要性を説いた。
また認知症対策として注目されている家族信託(民事信託)についても触れた。2007年にスタートした比較的新しい制度で、信頼できる家族や親類に遺産の管理や処分を託すというものだ。
逆井さんは「おっくうがって相続の手続きに手を付けない人が多いが、遺産分けで生じるトラブルの原因のナンバー1は不動産」と話した上で、相続を骨肉の争いの舞台にしないために相続対策が大切だと強調した。
講座に参加した、つくば市の50代女性は「親が老いてきて相続のことを考えなければと思っていたが、窓口がどこにあるか分からなかった。今日は勉強になりました」と話した。
今回の講座は第3回目。今後も年に3~4回の頻度で開講していくという。問い合わせは☎029・846・6444( 栄光パートナーズつくば事務所、つくば研究支援センター内)
