市のリニューアル計画に対峙
つくばセンタービルの価値はどこにあり、何を未来に残すべきなのかーつくば市がつくばセンタービルのリニューアル計画を進めようとしている中、見直しを求めている市民団体「つくばセンター研究会」(冠木新市代表)が、「緊急討論!つくばセンター広場にエスカレーターは必要か」と題した報告書(A4版、64ページ)を作成した。
6月27日に研究会が開催した「ーエスカレーターは必要か」と題したシンポジウムの講演や討議の内容、参加者から寄せられたアンケート結果などを掲載し、リニューアル計画の問題点やつくばセンタービルの何を保存すべきかを示している。
報告書で鵜沢隆筑波大学名誉教授はつくばセンタービルの価値について「センタービルと不可分な存在としてのセンター広場が最も特筆すべき点として世界的に評価されている」とし、さらに広場の特徴について「広場に行くことを目的とした人でないと通らない、動線的に全く分離された広場」と解説している、磯崎さんの設計意図については「1階の広場と2階のペデストリアンデッキとの間で交わされる視線の交差、視線を介したある種の劇場広場のようなものとして理解できる」とし、市によるセンター広場へのエスカレーター設置計画に対して「エスカレーターのような設備がつくことで解決できる問題ではない」と指摘している。
その上で「広場に降りる動機をつくりだす」ための活性化方法を提案し、「広場を活性化させる新たな主役は当然、市民」だとして、市民が提案し、つくば市やまちづくり会社が市民の提案を実践して、出来上がったものを市民が享受する仕組みづくりや、具体的なアイデアを提案している。
筑波大学の加藤研助教は、つくばセンタービル建築当時を振り返り、磯崎さんが筑波研究学園都市建設をどのように見て、つくばセンタービルがどうして現在の設計になったのかを解説している。
神奈川大学の六角美瑠教授は、磯崎さんが設計したつくばセンタービルと水戸芸術館の運営方法を比較し、つくばの磯崎さんの設計意図を理解できるキュレーター(学芸員)の配置を提案している。
報告書ではさらに「貴重な広場は当初設計のまま残し活用すべき」だなどとする参加した市民の意見も紹介している。
研究会代表の冠木新市さんは「エスカレーターが必要か、必要でないかということだけでなく、つくばセンター広場を活性化するにはどうしたらいいのかなども提案しているので、ぜひ読んでほしい」と話している。
報告書は計約350部作成し、市長や市議会議員、市民のほか、全国の著名な建築家などにも配布しているという。冠木さんは「とても好評で、残り少なくなっているので、いま増刷を検討している」としている。
◆報告書は500円(カンパ)。問い合わせは電話090-5579-5726(冠木さん)またはメール(tsukuba.center.studygroup@gmail.com)へ。