【斎藤茂】訪日外国人の増加が年々見込まれる中、つくば市の農業法人「みずほ」(長谷川久夫社長)が日本航空(JAL)と業務提携して新年からさまざまな取り組みを始めている。日本の農産物を外国人にもっと知ってもらい、消費拡大につなげようというのが狙い。
成田国際空港(千葉県成田市)では15日から主に東南アジアからの旅行客が往来する第2国際線ターミナルのJAL直営店で、みずほが用意した茨城産トチオトメや栃木産スカイベリーなどイチゴの販売を始めた。JALによると農産物の常設販売コーナーの設置は初めて。お土産を買い求めるインバウンド(訪日)旅客らに試食としてふるまったところ「甘い」と大好評。朝穫どりの新鮮なイチゴは1パック(10粒前後)1500円と高めだが、用意した60ケース(2パック入り)はあっという間に完売した。
バンコク(タイ)に直営店を持つみずほは、1月下旬から成田空港のJAL貨物便を使って果物の輸出を新たに始める。JAL専用の貨物便屋上に直接搬入することで迅速な輸送が可能となり、収穫した翌日にはバンコクの店頭に並べられるという。これまで他社の旅客便を使っていたが、店に届くまでに日数がかかり、輸送コストも高くついたという。
さらにJALと手を組んで、訪日外国人を対象につくば周辺の農場で果物の収穫体験をしてもらうグリーンツーリズムも企画している。日程は具体的ではないが、関連農場でイチゴをはじめ、メロンやブドウ、ナシなど旬の果物を民泊を兼ねて収穫体験をしてもらい、日本産果物のファン層拡大につなげていきたいとしている。
長谷川社長は「日本の農産物は迅速な空輸ができず、現地で新鮮なまま食べてもらうのが難しかった。訪日客だけでなく、海外でも可能になれば消費は伸び、輸出拡大につながる。ひいては農家の後継者育成にもつながる」と、今回のJALとの提携に夢を膨らませている。(終)
