【鈴木宏子】第2次世界大戦後、シベリアなどに抑留された体験者が、当時の労働や生活の様子を描いた絵画や、身に着けていた防寒着など計約60点を展示した企画展「シベリア強制抑留関係展示会~労苦の記憶」が阿見町廻戸、予科練平和祈念館で開かれている。
約5万5000人が死亡したとされる抑留者のうち、旧ソ連政府から1991年に日本に引き渡された全9冊の死亡者名簿なども展示され、5735人の氏名、生年月日、軍人階級、死亡年月日が記されている。モンゴルの首都ウランバートルで道路舗装作業に従事する抑留者の様子を描いた当時のビデオなども上映されている。
同館が全国強制抑留者協会(東京都千代田区)に協力を依頼し開催した。同館でシベリア抑留者展を開催するのは初めて。
奈良県大和高田市出身の吉田勇さんが引き揚げ後に描いた、雪の中で樹木の伐採をする作業の様子や、日々の生活の様子を描いたパネル絵のほか、当時、伐採作業で使用されたのこぎり、おの、抑留者が作業の合間に手作りした木製のマージャンパイなども展示されている。
同館の豊崎尚也学芸員は「一般には1945年8月15日の玉音放送で太平洋戦争は終わりを迎えたといわれているが、それ以降も、戦争が続いていた抑留者の方々がいたことを知ってくれたら」と話している。
3月18日まで。月曜休館。同企画展のみは入場無料。常設展の入場は一般500円。問い合わせは電話029・891・3344(同館)