日曜日, 4月 20, 2025
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新教育長に入野浩美氏 土浦市

土浦市は1日、人事異動の辞令を交付した。2012年10月から8年半、教育長を務めた井坂隆氏が任期途中の3月31日付で退任し、新教育長に前県教育庁総務企画部長の入野浩美氏(60)が就任した。

入野浩美土浦市教育長

入野氏は高崎経済大学経済学部卒。県教育庁福祉厚生課長、文化課長、総務課長などを歴任し、3月31日、県職員を定年退職した。水戸市在住。任期は井坂前教育長の任期の来年9月末まで。

新設のこども未来部に初の女性部長

機構改革は、出会いから結婚、妊娠、子育てまで切れ目のない支援をワンストップで行うため子育て支援関係業務を集約し、こども未来部を新設した。同部には同市初の女性部長となる加藤史子・前保健福祉部障害福祉課長が就任した。

ほかに、コロナ禍における経済対策やまちづくりの重点施策推進のため、都市産業部を産業経済部と都市政策部に分割再編した。防災力向上と災害発生時の迅速で適切な対応を図るため、総務課危機管理室を防災危機管理課として独立させた。文化財の保護、活用や文化芸術活動の推進を図るため、文化生涯学習課を分割し文化振興課を新設などした。

機構改革により、7部5局44課22室体制から、9部5局47課19室体制になる。消防職を除く職員の異動総数は462人(昨年度は339人)。

管理職に女性を積極登用し、主査級以上の女性管理職の割合は2020年の22.4%から新年度は24.2%になった。(鈴木宏子)

図書館長に武藤知子前シティプロモーション室長

4月1日付け人事異動は以下の通り。カッコ内は前職。敬称略。

【部長】
▽総務部長(教育部長)羽生元幸
▽こども未来部長(保健福祉部障害福祉課長)加藤史子
▽産業経済部長(都市産業部農林水産課長)佐藤亨
▽都市政策部長(都市産業部長)船沢一郎
▽教育委員会事務局教育部長(総務部長)望月亮一

【参事】
▽産業文化事業団事務局常務理事(スポーツ振興課長兼武道館長)根本卓也

【課長】
▽市長公室秘書課長(秘書課長補佐兼秘書係長)浅川邦子
▽総務部防災危機管理課長(建設部住宅営繕課長)皆藤秀宏
▽総務部人事課長(課税課長補佐兼土地係長)武井衛
▽総務部納税課長(都市産業部都市計画課長補佐兼まちづくり推進室長)福澄雄祐
▽市民生活部環境保全課長(建設部公園街路課長兼駅東・駅西駐車場管理事務所長)室町和徳
▽保健福祉部社会福祉課長(社会福祉課長補佐兼社会福祉係長)福原守
▽保健福祉部障害福祉課長(国保年金課長補佐兼国保給付係長)小池政幸
▽保健福祉部高齢福祉課長(市長公室秘書課長)塚本浩幸
▽保健福祉部健康増進課長(高齢福祉課長)水田和広
▽こども未来部こども政策課長(こども福祉課長)菊田宏巳
▽こども未来部こども包括支援課長(保健福祉部こども相談課長)中川光美
▽こども未来部保育課長兼子育て交流サロン館長兼こどもランド館長(総務部人事課長補佐兼厚生係長)野中佑起男
▽産業経済部商工観光課長兼勤労青少年ホーム館長(都市産業部商工観光課長兼勤労青少年ホーム館長)羽成健之
▽産業経済部農林水産課長(建設部水道課長)黒須清一
▽都市政策部都市計画課長(都市産業部都市計画課長兼りんりんポート土浦館長)飯泉貴史
▽都市政策部都市整備課長兼駅東・駅西駐車場管理事務所長兼りんりんポート土浦館長(保健福祉部社会福祉課長兼特別定額給付金対策室長)平井康裕
▽都市政策部建築指導課長(都市産業部建築指導課長)櫻井良哉
▽建設部住宅営繕課長(教育委員会事務局図書館長兼土浦市民ギャラリー副館長)大貫三千夫
▽建設部下水道課長(下水道課長補佐兼工務係長)滝田昌曉
▽建設部水道課長(建設部下水道課長)和田利昭
▽教育委員会事務局生涯学習課長兼青少年センター所長(市民生活部環境保全課長)佐賀憲一
▽教育委員会事務局図書館長兼土浦市民ギャラリー副館長(市長公室広報広聴課長補佐兼シティプロモーション室長)武藤知子
▽教育委員会事務局文化振興課長兼市民ギャラリー館長(文化生涯学習課長兼土浦市民ギャラリー館長)中澤達也
▽教育委員会事務局スポーツ振興課長兼武道館長(総務部納税課長)大橋博
▽議会事務局次長(議会事務局次長兼総務係長)天貝健一
▽農業委員会事務局長(保健福祉部健康増進課長)羽成信明

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6年間で280件、誤った発信者名で通知 つくば市

福祉事務所長と市長業務の区別誤る つくば市は17日、認可外保育施設に対する指導監査事務と生活保護に関する事務について、法令や市の規則に定められた福祉事務所長が行うべき業務と、市長が行うべき業務の区別を誤り、2019年度から24年度まで6年間で計280件について、誤った発信者名で通知を出していたと発表した。 市社会福祉課によると、認可外保育施設の指導監査については、毎年1回行っている指導監査などの立ち入り調査や調査結果の通知を、23年度は63カ所に対し128件、24年度は54カ所に対し108件、計236件の通知文の発信者名を、つくば市長名で出すべきところ、市福祉事務所長名で発送していた。 児童福祉法に関わる認可外保育施設の指導監査事務については、権限が知事から市に移譲され、さらに市長から市福祉事務所長に委任された。その後22年度末に市の規則が改正されて市福祉事務所長への委任が削除されたことから、つくば市長名で通知を出すべきところ、市福祉事務所長名のままで発送していた。 一方、生活保護行政に関わる事務については、2019年度から24年度までの6年間で計44件の通知文について誤った発信者名で通知していた。具体的には①遺留金品の処分について、金融機関に対し23年度と24年度に計3件、市福祉事務所長名で通知すべきところ市長名で通知を出していた ②医療扶助や介護扶助の損害賠償請求に関しては、保険会社に対し20年度から24年度までの5年間で計5件、市長名で通知を出すべきところ福祉事務所長名で出していた ➂生活保護受給者らへの費用の徴収に関しては、受給者に対し19年度から23年度まで5年間で計36件、市長名で通知文を出すべきところ、市福祉事務所名で出していたという。 生活保護法に関わる生活保護の行政事務については、市の規則により、市長から福祉事務所長に委任されている事務と委任されていない事務があるにもかかわらず、一部の通知文で誤った発信者名で通知していた。 今年4月、社会福祉課内の職員から指摘があり、過去にさかのぼって調査したところ、誤りが分かった。市の規則について、当時の管理職を含む職員の認識不足が原因という。 今後の対応として市は、市ホームページに関係機関に対するお詫びと、通知文の内容は無効でない旨を掲載すると共に、関係機関と関係者に順次、説明と謝罪を行うとしている。 再発防止策として、根拠法令と市の規則を再度確認し、管理職を含む課内職員全員で適切な運用を徹底していくとしている。 福祉事務所は、社会福祉法に規定された福祉に関する事務所で、福祉6法に定められた事務を行う社会福祉行政機関。市役所とは別の行政機関になるが、市役所内にあり、市社会福祉課など市の関係部署の職員で構成されている。福祉事務所長は市福祉部長が務めている。 【14時15分 訂正】認可外保育施設について「指導監督」を「指導監査」に、生活保護について「扶養義務者」を「生活保護受給者ら」に訂正しました。

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