つくば市国際交流協会(布浦万代理事長)が昨年11月から、外国にルーツを持つ小中学生を対象に週2回、無料の「こども日本語勉強会」を開催している。日本人中学生の高校進学率は約97%だが、外国人の高校進学率は6割から8割しかない。日本語の習得が難しいため高校進学の壁があるといわれることから、日本語を習得するための新たな支援をスタートさせた。
これまでは長期休暇に勉強会を開催していた。新たに認定NPO法人リヴォルブ学校教育研究所(つくば市、本山裕子理事長)と協働し、年間を通して定期的に勉強会を開催する。「それぞれの子どもに合わせた支援ができるようになった」と、同協会の中村貴之さん(48)は話す。
日本語の支援必要な子 200人以上
市内には、幼稚園や小中学校に通う外国人の子どもが現在約700人いる。そのうち、日本語を理解するための支援が必要な子どもは200人以上という。
同協会では4年前から、夏休みなどの長期休暇に日本語勉強会を開催してきた。だが長期休暇のみでは5日間程度しか子どもたちに関わることができず、一人一人にどのような支援が必要か把握できなかった。
一般的に外国人が生活に必要な日本語を習得するのに4年、学習に必要な日本語を習得するのに7年かかるといわれるため、日本語を身に付けるためには継続的な支援が必要だった。
長期休暇のみの勉強会に限界を感じていた時、異文化交流等で親交があった同NPOから、「国籍に関わらず、様々な子どもたちを支援したい」と声を掛けられた。
同NPOは昨年10月から、同市吾妻の市産業振興センターで、市と協働し不登校児童生徒の学習支援事業「むすびつくば」を実施している。「むすびつくば」の活動が終わった夕方に、同じ教室を使い、国際交流協会が日本語勉強会を開催する。同勉強会は県の提案型共助社会づくり支援事業の助成金を受ける。
現在、勉強会に通っているのは、同市吾妻地区に住む小学生6人と中学生4人。インド、マレーシア国籍や、どちらかの親が外国出身である子どもなどだ。
勉強会では、それぞれの子の要望に沿って、学校の宿題をしたり、漢字や算数などの勉強をする。例えば、「満月」などの漢字を学ぶ際、日本語としての理解が難しい場合は、理科の教材を使い、月の形を確認しながら、言葉の理解を深めていく。
中村さんは「今後は、小中学校内の日本語教室やボランティアとも連携しながら、子どものニーズを多面的に把握し、より適切な支援ができるようにしたい」と話す。
新1年生にサバイバル日本語
3月中には、市内の小中学校に在籍する外国人児童生徒に加え、春に小学校に入学する外国人児童を対象にしたオンライン勉強会を、市教育委員会と共催する。
特に新小学1年生や転入生は、「先生」「友達」などの学校生活でよく使う日本語や、「おなかが痛い」など学校生活を生き抜くためのサバイバル日本語を勉強したり、学校生活の様子を説明したりする。高校進学を希望する中学生には、小中学校との違いや入学試験の情報を伝えるという。(川端舞)