日曜日, 6月 22, 2025
ホームつくばアレルギー性鼻炎治療は「見える化」から 筑波大研究チームが無料アプリ公開

アレルギー性鼻炎治療は「見える化」から 筑波大研究チームが無料アプリ公開

【相澤冬樹】スギ花粉症が勢いづくシーズン、筑波大学医学医療系の野口恵美子教授を中心とした研究チーム開発による無料アプリ「アレルギー性鼻炎レコード」が19日、公開された。症状と服薬状況を手軽に記録するiPhone向けアプリで、症状の「見える化」を通じて、患者と医療者のコミュニケーション改善を図るとともに、アレルギー性鼻炎に関連するデータの集積と解析を進めていく。

アレルギー性鼻炎は国民の約4割が発症しているといわれる。国民病といえるほどだが、命にかかわることがあまりないため、定期的に通院・治療を受けている患者は少ないと見られている。新型コロナの影響で、診療に向かう足はさらに遠のいている。

「症状の適切なコントロールのためには、日常的な症状や薬の使用状況を記録し、医療者とのコミュニケーションの改善を図ることが重要」と野口教授。従来は、症状日記として患者に紙で記録してもらうことが行われてきたが、利便性を欠くなどの課題があった。

そこで、アレルギー性鼻炎の患者向けに開発したのが、症状と薬の使用状況を記録するアプリ「アレルギー性鼻炎レコード」。利用初回に、症状や服用中の薬などについて回答してもらう。病院でもらう薬だけでなく、市販薬も一覧から選んで登録できる。その後は、日々の症状(鼻水、鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみ)と薬の使用状況について記録していく。入力は1日1回、2~3分で済む。

入力内容は、症状の変化が見やすいようにグラフ化するなどし、メール送信することができる。この「見える化」により、情報を医師と共有したり、患者自身がどんな時期に調子が悪いのか、どんな薬を過去に使用していたのかを振り返ったりできる。

使用している薬を登録して、日々の症状を手軽に記録、変化もたどれる(同)

アプリでは、利用者の同意を得て情報を収集するが、個人を特定できるような情報の取り方はしない。ただ患者が診察時にデータを持参し、医師の治療法や処方の最適化に役立てることはできる。

研究チームにとっては全国的、経時的にアレルギー性鼻炎に関連する症状や服薬状況を収集・解析することにより、より良い治療法の提案につなげていきたいとの考えがある。

アプリのURLはこちら(アンドロイドには対応していない)。

研究グループはサイト「アレルギーレコード」を運営し、専門家の監修によるアレルギー性鼻炎や花粉の飛散情報を発信している。

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

コメントをメールに通知
次のコメントを通知:
guest


最近NEWSつくばのコメント欄が荒れていると指摘を受けます。NEWSつくばはプライバシーポリシーで基準を明示した上で、誹謗中傷によって個人の名誉を侵害したり、営業を妨害したり、差別を助長する投稿を削除して参りました。
今回、削除機能をより強化するため、誹謗中傷等を繰り返した投稿者に対しては、NEWSつくばにコメントを投稿できないようにします。さらにコメント欄が荒れるのを防ぐため、1つの記事に投稿できる回数を1人3回までに制限します。ご協力をお願いします。

NEWSつくばは誹謗中傷等を防ぐためコメント投稿を1記事当たり3回までに制限して参りましたが、2月1日から新たに「認定コメンテーター」制度を創設し、登録者を募集します。認定コメンテーターには氏名と顔写真を表示してコメントしていただき、投稿の回数制限は設けません。希望者は氏名、住所を記載し、顔写真を添付の上、info@newstsukuba.jp宛て登録をお願いします。

0 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




Advertisement
spot_img

最近のコメント

最新記事

いばらきの花火2025は見どころ満載(上)《見上げてごらん!》41

【コラム・小泉裕司】昨年から今年にかけて、全国で「市制施行20周年記念」を冠したイベントが多いことにお気付きだろうか。理由は、1999年から行われた「平成の大合併」が20年のピークを迎えたから。 花火大会も例外ではなく、茨城県内では筑西市や常陸太田市が昨年に記念の大会を開催。今年合併20年目を迎え、かつ花火大会を開催する水戸市や古河市、取手市、稲敷市、行方市、常総市、桜川市をメーンに、県内の花火大会の見どころなどを2回に分けて紹介しよう。 水戸偕楽園花火大会(2005年内原町を編入合併) 7月26日(土)午後7時30分から、千波湖畔を会場に約5000発打ち上げ。担当は野村花火工業(水戸市)。1906年にご先祖が始めた「沼開き花火」から119年目を迎える。昨年の人出は23万人。水戸駅から1キロの近さから毎回多くの観客が訪れる。 野村花火の十八番10号玉「五重芯変化菊」や「野村ブルー」と評される独特の青色の花火をはじめ、土浦や大曲の競技大会では常に優勝を争うミュージックスターマインなど、国内最高峰の花火を60分に凝縮。フィナーレでは、水戸黄門まつりのイメージソング「いざ水戸黄門まつり!」(よさこい風)にコラボしたミュースタはレアもの。有料観覧席を発売中。 第20回古河花火大会(2005年に1市2町が新設合併) 8月2日(土)午後7時20分から70分間、古河ゴルフリンクスを会場に約2万発打ち上げ。担当は野村花火工業(水戸市)。阿部煙火工業(新潟県)、田熊火工(栃木県)。例年の人出は20万人。会場が県境のため、隣県からも多くの観客が訪れる。 市長のトップセールスで招聘(しょうへい)した野村花火と大玉が十八番の阿部煙火の三尺玉2発は必見。注目は、市制施行20周年+第20回のスペシャル企画。高スペックのスピーカーから流れる選りすぐりの音楽と三尺玉の爆発音の『響き』を体感してほしい。 一昨年まではメインの有料観覧席は堤防斜面席であったが、昨年から、ゴルフ場内にフェアウエイ席を増設し、打ち上げ筒も角度を変えたとのこと。高額の観覧席から完売するという。有料観覧席を発売中。 第70回とりで利根川大花火(2005年に藤代町を編入合併) 8月9日(土)午後7時から約80分間、利根川河川敷を会場に約1万発(最大10号)を打ち上げる。担当は、山﨑煙火製造所(つくば市)、筑北火工堀米煙火店(桜川市)、高城煙火店(千葉県)。例年の人出は12万人。取手駅から観覧エリアまで約500メートルの至近距離にあることから、東京圏からも多くの観客が訪れる。 2023年から約15分間のドローンショーを取り入れて人気を博しているが、これは全国でドローンショーを展開する㈱レッドクリフが、利根川河川敷を定期的に練習場として利用しているご縁とのこと。打ち上げ幅はそれほど広くないので正面有料席が良席。オンライン販売は7月1日午前10時から。 いなしき夏まつり花火大会(稲敷市市制施行20周年記念) 8月23日(土)午後7時から約90分間。江戸崎総合運動公園をメーン会場に約1万発を打ち上げる。担当は、山﨑煙火製造所。人出は約15万人。鉄道施設がないことから、来観者の駐車場不足を補うため「軒先パーキング」による駐車場の有料予約制システムを導入している。 打ち上げ時速の間延び感は否めないが、フィナーレを飾るスターマインは迫力満点。午後3時からのステージイベントや多種多様な露天商など、かつての「えどさき夏祭り」の雰囲気を楽しむ観客も多い。有料桟敷席の発売は7月10日午前10時から。 土浦キララまつり(願いごと花火募集) 8月2日(土)午後8時30分から10分間。土浦新港で約1000発(最大5号)を打ち上げる。担当は森煙火工場(筑西市)。目玉企画は、4年ぶりの「願いごと花火」。会場で応募者のメッセージを読み上げ、4号玉2発を打ち上げる。応募者には、模造玉が記念品として安藤市長から手渡される。申込締め切りは7月7日(月)午後5時。 2021年の願いごと花火で打ち上げた筆者のメッセージ。「本日の花火打ち上げを担当されている花火師の皆さんありがとうございます。これからも土浦全国花火競技大会で素敵な花火作品を見せてください」 本日は、これにて打ち留めー。「どーん キラキラキラ まつり」。(花火鑑賞士、元土浦市副市長)

上曽トンネル9月27日開通へ 一般道で県内最長

筑波山北側の石岡市上曽(うわそ)と桜川市真壁町山尾を結ぶ上曽峠に、全長3538メートルの「(仮称)上曽トンネル」が9月27日に開通する。一般道としては県内最長となる。 上曽峠は道路幅が狭く、急傾斜や急カーブが連続する。豪雨時や冬期の積雪・凍結時は道路封鎖が行われるなど、交通難所の解消が期待される。 想像を絶する硬さ トンネル整備は県事業で2001年に着工したものの、取付道路の用地取得などで難航し、財政難による見直しで停滞していた。その後石岡市と桜川市が「合併市町村幹線道路緊急整備支援事業」の指定を受け事業主体となり、18年から新たに工事が開始された。両市の取り付け道路も併せ全体で約5.6キロのバイパスが整備される。 上曽トンネルが掘削されている筑波山、加波山、足尾山一帯は、約6000万年前に形成された山塊が連なり、主な地質は花崗岩だ。岩質は、掘削当時の工事現場で「想像を絶する硬さ」といわれた。 石岡市側のトンネル入り口付近は唯一、土石流堆積物の軟弱地層。桜川市の地山は良質な「真壁の御影石」が産出する花崗岩帯。工事は石岡市側、桜川市側の両方から掘り進められ、石岡側は崩落防止のための補助工法が併用された。一方、真壁側の坑口付近では一日あたり1メートル程度しか掘削できないほどの硬さだったという。 トンネル区間の90%はダイナマイトによる発破掘削が採用され、岩盤に発破のための穴を空けるドリルジャンボなどを駆使して岩盤を砕き、2023年7月にルートを貫通させた。石岡市道路建設課によると、「現在はトンネル内の照明や消火設備設置、トンネルに至る取り付け道路の仕上げ工事も終盤で、いよいよ待望の路線開通となる」と展望する。 開通すれば、2012年11月に開通した全長1784メートルの朝日トンネルを超える超大トンネルとなる。これまで最短時間でも15分を必要としていた峠越えが、約7分に短縮される見通し。時間短縮以上に、通年の通行に対する安全性の向上が期待される。つくば市や土浦市側からアクセスして利活用するにはなじみが薄いが、筑波山麓でこれだけの規模の道路整備が進んだこと、太古の地層を貫いたトンネルであることは、今後話題を集めるかもしれない。(鴨志田隆之)

未払い残業代3851時間 860万円に つくば市社会福祉課 3年間で24人

生活保護業務などを担当するつくば市社会福祉課で昨年5月、市職員の残業代(時間外勤務手当て)などの未払いが明るみに出た問題で(24年5月9日付)、未払いだった残業時間は、請求権がある2021年1月から24年3月分まで3年3カ月間で、職員24人に対し計3851時間あり、未払い金額は計860万6522円だったことが分かった。5月9日までにすでに支払われたという。 3年3カ月間の平均は一人当たり160時間だった。24人についてはいずれも申請額と同額が支払われたが、昨年5月の発表から支払いを終えるまでちょうど1年かかった。 同市は長時間労働是正のため、残業時間の上限を月45時間、年360時間と定めている。未払いがあった職員24人のうち、最も多かった未払い残業時間について市人事課は、個人情報なので答えられないとし、市が定める上限を超えて残業を実施した職員がいたかどうかについては、規定通り支払われた残業代もあり、未払い分と足し合わせてないので分からないとしている。 残業代の未払いが発生した理由について市は昨年5月、できるだけ申請しないよう管理職が不適切な指導を行っていたため、職員が申請しにくい状況になっていたと説明し、不適切な指導をした管理職に対しては今後、処分を実施するとしていた。市によると2021年1月から24年3月まで社会福祉課の課長を務めた管理職は3人。 未払いに対しては監督責任を重く受け止めるとして昨年、五十嵐立青市長が給料を2カ月間10%減給し、飯野哲雄(当時)、松本玲子副市長2人が1カ月間10%の減給を実施した。一方、管理職の処分の検討はこれからになる。 社会福祉課以外の5課でも残業代の未払いがあることが分かったことから(25年3月12日付)、市は今後、5課の職員に対しても未払い分を支払う予定だ。 一方、昨年5月に明るみに出た市社会福祉課の残業代などの未払い問題は、同市の生活保護行政における一連の不適正業務が表面化する始まりになり、生活保護費の過払い(24年7月20日付)や不適正な不納欠損処理(同8月21日付)、県の監査に対する虚偽報告(25年3月13日付)などが次々に明らかになった。市福祉部は、一連の不適正業務がなぜ発生したのかなどを検証した報告書を6月中にまとめ発表するとしている。(鈴木宏子)

自家用車送迎や県外も 交付対象を拡大 高校生の通学支援金 つくば市

自転車も一律年3万円に つくば市が市内に住む高校生を対象に、2024年度から実施している遠距離通学支援金について(24年2月1日付)、同市は今年度から、交通手段と学校所在地の要件をいずれも撤廃すると発表した。家族の自家用車送迎を受けて通学する生徒や、県外の高校に通学する生徒なども交付対象になる。交付金額は昨年度は自転車通学は年間1万円、バスや鉄道は3万円だったが、今年度からは自転車通学も含め年間一律3万円とする。 つくば市は人口が増加している一方、県立高校が少なく、市外の高校に通学している生徒が多いことから、保護者らの要望を受けて、片道6キロ以上離れた高校に通う生徒を対象に市が昨年度から支援を始めた。通学距離が片道6キロ以上という要件は昨年度と変わらない。 通学手段についてはこれまで、鉄道、バス、スクールバスなど公共交通機関で通学している高校生のうち年間の通学定期代が10万円以上の生徒を対象に年3万円を交付していた。今年度からは公共交通の定期券を購入していなくても、家族の自家用車送迎を受けていたり、自転車などで通学している生徒も一律年3万円を交付する。 学校所在地についてはこれまで、県南地域やつくば市に隣接する18市町村に立地する高校に通学する生徒を対象としていたが、今年度からは学校の所在地要件を無くし、県外の高校に通学している生徒も年3万円を交付する。 市教育局教育総務課によると、片道だけバスで通学し、片道は家族の自家用車送迎を受けて通学している生徒の保護者などから、定期券ではなくバスの回数券を購入して通学しているので支援制度を利用できないなどの意見が出ていた。制度を利用できなかった保護者らの意見を聞き、要件の見直しを実施した。 通学支援金は、初年度の2024年度は2832人から申請があり、2740人が支援金を受けた。交付金額は年6260万円だった。二つの要件撤廃により2025度は利用者が約2000人増えて約4800人となり、交付額は総額1億4400万円になると想定されている。 2025年度の交付申請は7月1日から来年1月末まで、市ホームページなどから受け付ける。 つくば市に県立高校が不足している問題に取り組んでいる市民団体「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」の片岡英明代表は「これまでは自家用車での送迎などが支援対象にならず、制度が始まった当初からいろいろな声が出ていたので(今年度の要件撤廃は)前進だと思う」と話している。(鈴木宏子)