【相澤冬樹】「筑波山に魔女がやってきたって評判になったみたいです」。自嘲気味に語るのは、つくば市国松に「魔女の学校」を開いた、いしざき緑子さん(年齢不詳)。筑波山西麓の古民家を魔改造(リノベーション)して移り住み、地域の植物や果実を自家蒸留するアロマテラピーの設備を整えた。地元にも門戸を開き、何やら画策している。
国際アロマセラピスト連盟認定のプロフェッショナルエッセンシャルオイルセラピストという肩書を持つ植物療法家で、筑波大学付属病院精神神経科で認知力アップのデイケア講師も務める。約10年間暮らした同市研究学園を離れて昨年秋、家族4人で移り住んだ。
「フクレミカンがつなぐ縁。西欧流のハーブなどより、在来の香りがするものが好きで、何でも蒸留してしまう。今ならハルジオンとかフキノトウとか、ノビルやスギからも香りを抽出できる。地元の素材を探してフクレミカンに出会い、人の縁がつながってたどりついた」
もう一つ、決め手になったのが、筑波山から湧水を引き込む山水道の存在。飲料には不適だが蒸留に使うにはもってこいの水質、有償で契約できると知って移住を決めた。エッセンシャルオイルは、素材を入れたお湯を沸かし、発生させた水蒸気を冷却部にくぐらせて芳香成分を抽出する。
リノベーションで、住居と区分された校舎「魔女の学校」には蒸留室など作業場を併設、教室には神棚が残されている。ここで、アロマテラピーの知識や技術を専門に教えるほか、ハーブの石けんやアロマスプレー、食品などを手作りする。
メーンは1クール6回の魔女修行。魔女を自称するのは「きれいごとじゃない人間の本質に迫りたかったから。魔女は真の女に通じるんじゃないかと思っている」そう。
コロナ禍の中での開校となったが、昨年9月の第1回、今年1月の第2回募集とも定員12人を集めた。「東京、埼玉などからも来てくれる。カルチャースクールとしては適正な規模、集まり過ぎずかえって良かったかも」
5月には旧筑波小でイベント
最初は「魔女が来た」と警戒していた地元とも積極的な意思疎通を図っている。「(2018年廃校になった)旧筑波小学校を使ったイベントがしたくて、市の教育委員会を訪ねたのだけど校庭しか許可してくれない。地元の人に相談したら、話を通してくれてね。教室も借りられることになった」
イベントは手作り品などを販売するマルシェ、ドイツ各地で毎年4月30日に行われる魔女まつり「ヴァルプルギスの夜」をお手本に、「魔女のフェスタ」と銘打ち開催する。「この辺は4月末だと田植え時期。一緒に参加してもらいたいからと5月29日開催を決めた」という。「ぜひいらしてね、ドレスコードは黒よ」。魔女は微笑んだ。
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