【山崎実】県内の医師・歯科医師2100人余で構成する県保険医協会(土浦市大町)は、年を渡り実施した「今冬の新型コロナウイルス感染拡大に伴う医療機関への影響調査結果」をまとめ、公表した。
同会に所属する医療機関の多くは中小病院や診療所だが、感染の拡大と共に地域医療の核として役割が重くなっており、今回の調査も「今、抱えている問題点」をアンケート方式で実施した(調査数776件に対し回答数182件。回答率は23%)。
調査結果によると、感染症対応の困りごとに「ある」と答えたのは86%で、特に多いのが「発熱患者等が事前連絡なしに来院」(69%)、「クラスター発生要因等の情報共有」(47%)、「感染症対応の影響で職員が疲弊」(40%)ーなど。
発熱や倦怠感、せきなどかぜ症状のある患者は通常外来ではなく、電話連絡での発熱外来受診が必須となっているが、患者、地域住民の「受診前(事前)連絡」に対する協力を要請している。
またクラスター発生時の情報共有がされていないことに困っている医療機関が約50%あり、「情報がオンタイムで入ってこない」「クラスター発生情報を地元医療機関に知らせてほしい」「発熱外来診療での参考にしたい」ーという意見が聞かれた。
さらに感染症対策で望むことがあるかとの質問には、「休業補償の創設」が79%で最も多く、次いで「危険手当制度の創設」64%、「医療資源を集約し各地域で発熱外来を増設」47%の順。
医療従事者の休業補償と危険手当の割合も高かったが、これは慰労金や感染防止対策費補助などが中心で、感染リスクに伴う補償がなかったことが理由とみられる。例えば、鹿児島県では、「診療・検査医療機関」の従事者には1日当たり4000円の危険手当を制度として設け、鳥取県では「診療・検査医療機関」で院内感染が発生し休業した場合は、最大300万円の休業補償を支給する制度を設けているという。
困りごとに「ある」と答えた中には、高い割合で「感染症対応の影響でスタッフの疲労度が高まっている」「休職や離職が発生している」「医療スタッフや、家族などに対する誹謗中傷が起きている」ーなどがあるといい、相変わらず事態の深刻さを浮き彫りにしている。