【川端舞】認定NPO法人リヴォルヴ学校教育研究所(つくば市)は、10月から不登校児童生徒の学習支援事業を、つくば市と協働で始めた。「不登校生徒の学習支援は経営が厳しく、市に支援してもらうことは大変助かる」と代表の本山裕子さん(57歳)は語る。自治体が民間団体と協働し、不登校の学習支援をおこなうのは県内でも珍しい。
20年の支援経験生かす

同NPOは、2000年11月から今年9月まで、不登校生徒の学習を支援する「ライズ学園」(つくば市谷田部)を運営してきた。不登校の背景には、読み書きに困難があるがタブレット端末を使ったら学習しやすいなど、周囲とは異なる学び方をするLD(学習障害、学び方の違い)などが潜むケースも多い。ライズ学園では一人一人の子どもの特性に合わせた学習指導をおこなったり、絵画造形やスポーツなど体験的な学びの機会を取り入れたりしていた。
子どもたちには月謝を払ってもらっていたが、学習指導をマンツーマンで行っていたため、人件費だけでも費用がかさむ。やればやるほど赤字だったという。もともとは週に4日開いていたが、経営悪化により開催できる日数が次第に少なくなった。昨年4月には、経営を立て直すため一時休園することも考えたが、それまで通園していた子どもたちがいるため、週1日だけ開いていた。
試行錯誤を続けていた時、つくば市が不登校生徒の学習支援を協働で行う民間事業者を公募していることを知り、これまで積み重ねた経験を生かしたいと応募した。不登校生徒は市内の小中学校に300人以上いる。これまで市では、不登校などの相談や学習支援を、教育相談センター(同市沼田)のみでおこなってきた。市としては今回の協働事業で、学習支援の拠点を新たに設けることで、より相談しやすい環境を整えたい考えだ。
つくば市との協働で「ライズ学園」は「むすびつくば」と名称を変え、市産業振興センター(同市吾妻)の一角で再スタートした。名称は変わったものの、これまでライズ学園で培ってきた学習支援のノウハウが生かされる。
人件費や家賃、机などの備品をつくば市が負担することとなり、週に4日の開催が可能になった。1日の定員は15名程度。週に何回通うかはそれぞれが選択でき、利用料は無料になった。
子供たちの自己実現を支援
むすびつくばが目指すのは、子どもたちを学校に戻すことではない。子ども自身が学校に戻りたいと思った場合には背中を押すことはある。が、学校に戻らなくても、子どもの長所を生かし個々の適性に応じた支援を通して、個性豊かな子どもたちの自己実現を支援する。
現在、むすびつくばに通っている生徒の中には、高校進学を希望する中学3年生もいる。高校とも連携し、学校の特色などの情報を集め、生徒に合った高校を一緒に考えていく。
一方、対象は小学生と中学生のため、中学卒業後は通うことができない。ライズ学園は高校生になっても通園できた。通信制高校で学びながらライズ学園に通ったり、高校卒業程度認定試験を受けて、大学進学を目指す生徒もいた。
市と協働することで活動の範囲が制限される部分もあるが、市から財政的な支援が受けられるのは大きいという。ライズ学園の時は経済的な負担から通えない生徒もいたが 利用料が無料のむすびつくばには通いやすくなった。本山さんは「市営でも委託でもなく、協働。保護者や地域の人たちと一緒に子どもたちの育ちを支えていきたい」と意気込む。