【車谷郁実】NPO法人チャリティーサンタ(東京都千代田区)のつくば支部が、クリスマスイブに向け「サンタ活動」に取り組んでいる。毎年12月24日にサンタクロースに扮したボランティアが、子どもたちにプレゼントを手渡す活動だ。訪問した家庭や施設からチャリティー金3000円を募り、貧困家庭や被災地の支援にも役立てている。サンタを呼ぶには事前の申し込みが必要で、12月13日まで募集している。
チャリティーサンタは「子どもたちが笑顔になれる社会づくり」をモットーに、サンタ訪問や子どもとの交流会、国内外の貧困家庭や被災地の支援活動を行っている。2008年に始まり、現在は27都道府県で活動している。つくば支部は3年前に発足した。
経済的に余裕のない家庭などを対象に無料のサンタ訪問も行っており、依頼先の子どもたちに絵本をプレゼントしている。支部では昨年、14人のサンタが11家庭を訪れ(うち2家庭は無料訪問)、今年は30家庭への訪問を目標にしている。
活動でサンタが各家庭に滞在できるのは10分ほど。その短い時間を一生の思い出にするために同法人は工夫を凝らしている。特に大切にしているのは、サンタが子どもたちとコミュニケーションをとることだ。申し込み時に子どもの性格や普段頑張っていること、どのくらいサンタを信じているかなどを記入してもらう。それをもとに「いつも弟のお世話を頑張ってくれているね。すごいね」「嫌いなニンジンをもっと食べてくれたらうれしいな」など一人ひとりに合った言葉をかける。
つくば支部代表で、これまでに2回サンタになって家庭を訪問した会沢和敏さん(56)は「話しかけることで子どもたちがサンタを受け入れてくれる。子どもたちのサンタを見つめる目がとても印象的」と話す。うれしさのあまり部屋中を駆け回ったり、目を輝かせながらじっとサンタを見つめたり、子どもたちの多種多様な反応が見られたそうだ。
「コロナの年ではなく、サンタに会えた年に」
コロナ禍の今年は、サンタ活動にもソーシャルディスタンスが求められた。サンタと子どもたちが十分にコミュニケーションをとれないという懸念もあり、準備が始まった6月頃は開催自体を断念すべきという意見もあった。だが、利用者から「子どもたちがサンタを待っている」という声があがり、開催が決まった。サンタはマスクや手袋をするなど、感染対策を徹底してプレゼントを届ける予定だ。
スタッフの一人、文教大学3年生の猪瀬千夏さん(21)はコロナ禍でのサンタ活動に特別な思いを寄せる。猪瀬さんは今年6月にスタッフになった。きっかけはバイト先の放課後児童クラブで接した子どもたちの様子だった。感染対策で、しんと静まりかえった教室でご飯を寂しそうに食べる子どもたち、学校行事が縮小されて落ち込む子どもたちを見て、何かできることはないかと思ったという。猪瀬さんは「子どもたちは今年、色々なことを我慢してきたと思う。だから子どもたちに何か明るい思い出を残したい。暗いコロナの年ではなく、サンタに会えた年にできれば」と話す。
サンタを呼びたい家庭、サンタになりたい人は、チャリティーサンタのホームページから申し込みできる。無料のサンタ訪問の申し込みは11月13日まで、すでに昨年の4倍の8家庭から依頼がきている。サンタになりたい人の申し込みは12月11日まで受け付けている。
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