【川端舞】障害者やその家族、支援者などからなる市民団体「障害×提案=住みよいつくばの会」が、今月行われるつくば市長選挙、市議会議員選挙の立候補予定者に公開質問状を渡している。障害とともに生活しているからこそ思いつくアイデアを、各立候補予定者に提案している。
市民のアイデアを市政に
障害者やその周りにいる人は様々な課題を抱えている一方で、障害とともに生活することで、課題解決のためのアイデアも持っている。会の主催者、斉藤新吾さん(45)は「障害ゆえの困りごとを解決してくれるように行政にただ要望するのではなく、市民から課題の解決策を政策提案することで、もう少し住みよいつくばを創造していきたい」と語る。
同会は、障害のある人とその家族がもう少し住みやすく、その友人がもう少し関わりやすく、支援者がもう少し支援しやすくなることを目標に、活動を2018年3月から開始した。昨年の茨城ゆめ国体・ゆめ大会前には、市内のバリアフリーマップの作成や、市内会場まで車椅子等でも行きやすいルートの周知などをつくば市に提案した。
公開質問状は国体終了後、つくば市長選挙、市議会議員選挙に向けて、障害者等が抱えている課題を洗い出し、約1年間かけて話し合いを重ね、作成した。
会のメンバーで、障害のある子をもつ女性は「何かが変わるためには時間がかかるが、多くの人が話し合って作ったこの質問状はつくば市を変えてくれると思う。自分の息子のときには間に合わなくても、少しずつ未来を変えていきたい」と語った。
候補者の回答をホームページで公開
提案は以下の6つ。立候補予定者は賛成するかどうか、実現に向けて積極的に動くかどうかを4択で答える。14日までの回答を求めている。
- 重度障害者の社会参加のために支給されている「つくば市障害者福祉タクシー利用券」は、現在使いきれない人が多く、予算が眠っている。車椅子のまま乗車できるタクシーが少なく、タクシー以外の公共交通機関の方が利便性の高い障害者もいる。タクシー券を各種公共交通機関の運賃またはガソリン代に充当できるように選択制にすることで、障害者の社会参加のために予算を有効活用する。
- 現在の制度では、障害者は就労時に公的な介助サービスを受けられないため、介助を必要とする障害者は、働く能力があっても就労が難しい。今年度から国の地域生活支援事業の中で始まった「雇用政策との連携による重度障害者等就労支援特別事業」では、国と県から補助を受けて、市町村が職場等における介助や通勤の支援を行えるようになった。つくば市でもこの事業を実施する。
- 手話通訳者は市役所本庁舎にしか設置されておらず、本来は各窓口センターでできる届出なども、手話通訳が必要な聴覚障害者は本庁舎まで行く必要がある。本庁舎と各窓口センターをビデオ通話でつなぎ、各窓口センターからでも手話通訳を受けられるようにする。
- 新しい道路や飲食店ができても、新しい段差ができ、車椅子では不便なままになってしまう。今年改正されたバリアフリー法に基づき、障害者を含めたバリアフリーに関する協議会を設置して、バリアフリーの計画を作成する。
- どこに福祉避難所を設置するかなど、災害時の障害者や高齢者への支援方法が明確になっていない。災害の危険度が高い地域から個別避難計画の作成を進める。
- 通常の学校に通う障害のある子どもの介助等を行う特別支援教育支援員が、宿泊を伴う校外学習にも付き添えるようにする。
各立候補者の回答は、選挙告示日の18日までに会のホームページで公開される予定。任期満了に伴うつくば市長選挙、市議会議員選挙は25日投開票で行われる。