【伊藤悦子】魅力あるまちづくりの推進に努めたとして、土浦市が実施した土浦駅西口駅前地区整備事業が、2020年度まちづくり功労者国土交通大臣賞の表彰を受けた。
撤退した駅前商業施設跡の民間ビルを大規模改修し市庁舎を再配置したこと、さらに市立図書館や市民ギャラリーが入る複合施設「アルカス土浦」を整備して駅前に都市機能の集積を図り、質の高いコンパクトなまちづくりを行ってまちのにぎわい創出に貢献したことが高く評価された。
6月のまちづくり月間に合わせて表彰された。同功労者表彰を受けた全国29の団体・個人の一つ。表彰式は新型コロナウイルス感染拡大防止のため中止となった。

担当の市都市計画課、中島賢市さんは「市役所の機能や図書館などを駅前に集約した。また駅前広場やバス乗り場も整備し、バスと、一般車、タクシーを分けて安全性を高めた」とし「総合的に西口駅前のコンパクトなまちづくりが評価されたと思う」と話す。
さらに「(再整備前は)ペデストリアンデッキは駅から真っすぐ市庁舎につながるだけだったが、図書館があるアルカス土浦などにも行けるようロの字にして屋根も付けた。公共施設や利便施設が集約されたこと、駅前広場や交通環境、歩行者環境が向上したことなどが評価されたのでは」と話す。
同課の村山良さんは「土日には、市役所の大屋根広場やアルカス土浦の駅前広場でコンサートやマルシェなどのイベントができる。大屋根広場は新庁舎の整備と合わせて屋根をかけたので、天候を気にせずイベントができるようにした」と語った。
再整備の効果で市中心市街地の歩行者数は徐々に増えている。駅前商業施設、イトーヨーカドー土浦店が撤退する前の2012年は平日の中心市街地の歩行者数は2万5143人だったが、アルカス土浦がオープンした後の18年には3万621人と1.2倍に増加した。
中島さんは波及効果としてさらに「アルカス土浦近くに新しく民間業者によるマンション建設や建設予定がある」とし「居住人口が増えれば、利便施設などの利用もさらに増えていくのでは」と期待している。
同駅ビルには、つくば霞ケ浦りんりんロードのサイクリング拠点施設「りんりんスクエア土浦」がある。同市は「自転車のまち」であることから、中島さんは「市外からの観光客がサイクリングで土浦をめぐり、土浦のものを食べ、買い物をすることで、お店も発展する。民間と協力して、イベントなどソフト面も充実させたい。サイクリングは人が密にもならないということもあり、浸透していってほしい」と話した。