2020年夏季茨城県高等学校野球大会が11日開幕。初日は土浦市から3チームが出場した。土浦二は石岡商・潮来・竜ケ崎南・神栖の四校連合と対戦し6回コールド勝ち。18日の2回戦では優勝候補の霞ケ浦とぶつかる。土浦三は麻生に、土浦工は江戸川取手にそれぞれ敗れ、1回戦敗退となった。
逆転から一気に突き放す
【池田充雄】土浦二は2-3と1点ビハインドで迎えた4回表、堀越岳と小松崎拓馬の連打でまずは同点。その後1死満塁とすると、佐藤耕平が救援投手から四球を選んで逆転に成功。5・6回も大量得点で突き放した。小松崎主将は「最初は先発投手の球に合わず、自分たちのペースが出せなかったが、あわてず全員の力でコールドにもっていけた」と、チームの結束力を誇った。
先発の長峰光は初回3被安打で3失点したが、2~5回はテンポのよい投球で2被安打無失点、抑えの佐藤につないだ。「初めての公式戦先発で、最初は思うように腕が振れなかった。打線の援護をもらってからはリラックスし、野手の前に凡打を打たせることができた」と長峰は、大役を無事に終えて安堵の表情。
坂本武司監督は「特別な大会なので3年生を主体にしたが、練習の成果を出してくれた。長峰は5回を無四死球で成長した姿を見せ、打線も打つべき選手が打ち、後半は1年生にも公式戦を経験させることができた」と話し、次戦にも全力で挑む姿勢を見せた。
最終回に意地も及ばず
【池田充雄】「三高の看板を背負って何もせず終われない。最後まであきらめずよく頑張ってくれた」と松浦三喜男監督。0-5で迎えた最終回、土浦三が意地を見せた。先頭から4人が連続出塁し、渡辺の三塁打など3安打で4点をもぎ取り、なおも2死一塁とチャンスをつなぐが、あと1点が届かなかった。最後の打者となった宮城優斗は「ボールだと思って見送った球で三振になり、頭が真っ白になった。自分がしっかり決められなくて悔しい」と涙をぬぐった。
起塚怜主将は「相手の左投手を攻略できず、ミスから失点を重ねてしまった。それでも最後まで諦めず食らいつけたことは、今後にもつながると思う」と振り返り、「開催できるかどうかも危ぶまれたが、同じ学年のみんなでこの大会に臨めてよかった。こういう大変なときだから得られることもある。それを後輩たちにも学んでほしい」と後を託した。
エースが投げ切る
【高橋浩一】土浦工は毎回得点を許し、5回コールド負けを喫した。小林悟樹監督は「練習不足で練習試合も雨で流れ、ぶっつけ本番だったのでミスはある程度覚悟していた。それでも零封ではなく四球をもらいヒットも5本出たので、能力的にはそれなりの結果が出せたと思う」と感慨深げ。一人でマウンドを守ったエースの野島聖良については「上の代がいなかったので1年の秋から主将をやり、いろいろ苦労もあったと思う。投げ込み不足はあったが、思いきり投げてくれた」と評した。
野島は「最後まで投げられて満足した。力は出し切った。夏の大会が中止と分かった時は唇をかんだが、状況を受け入れるしかないと思った。開会式や応援もなかったけれど、こういう形を作ってくれた高野連には本当に感謝している」と振り返った。
チームはコールド負けはしたものの4点を奪い、無得点だった昨年との違いを見せることができた。「バッティングの強化や筋トレの成果もあり、打球に速さや強さが出た」と野島。2年生の市塚航太は「チーム初ヒットを打ててうれしかった。チーム全体で声も出せていたし、来年は守備を高めていきたい」と先を見据えた。