木曜日, 9月 4, 2025
ホームつくば【つくばセンタービル改修】㊤ 具体案、市民に説明なく

【つくばセンタービル改修】㊤ 具体案、市民に説明なく

【鈴木宏子】つくば駅前「つくばセンタービルリニューアルの方向性案」を、市がホームぺージ(HP)で公表し、30日まで市民の意見を募集している。具体案が市民に公開されたのは初めて。

センタービル1階アイアイモールの一部に市として2カ所目のイノベーション拠点(多様な働き方を支援する場)をつくること、ノバホール西隣のつくばイノベーションプラザなどに吾妻交流センター、市民活動センターと、国際交流、男女共同、消費生活などの機能を集めた市民活動拠点をつくることなどが柱だ。センタービルのイノベーション拠点を運営し、さらに同駅周辺のまちづくりを担う、エリアマネジメント団体を新設することも検討されている。

出資金すでに予算化

一方、今年3月議会でエリアマネジメント団体を設立するための出資金6000万円と、センタービルリニューアルの基本計画策定費990万円などがすでに予算化され(3月9日付)、6月初めには同基本計画策定業務の委託業者が選定された。

工事が実施されればセンタービル建設以来のリニューアルとなるが、担当の市学園地区市街地振興室によると現時点で市民説明会を開く予定はなく、開くかどうかも決まっていない。

市はセンタービルや中心市街地で何をしようとしているのか。意思形成過程や策定過程、考え方が分かるすべての公文書を情報開示請求した。

報告書も検討委も非公表

開示資料によると、センタービルのリニューアルに向けて市内部で検討が始まったのは2018年7月。19年3月に「つくばセンタービルのありかた検討業務報告書」、20年3月に「中心市街地エリアマネジメント検討業務報告書」がそれぞれ策定されたが、内容が市民に説明されることはなかった。片やヴィジョン(18年7月)戦略(20年5月)などイメージや将来像などは公表された。

昨年7月には、エリアマネジメント団体の在り方を検討する検討委員会も設置されたが、会議は第1回目を除き非公開で行われた。

3カ所で役割分担

市が今回初めてHPで公表したイノベーション拠点(多様な働き方を支援する場)は、1階アイアイモールの一部約2500平方メートルにつくる。新施設の面積としては最大だ。リニューアル案には、働く人の交流の場、シェアオフィス、会議室などのビジネスを支援する機能等、子連れ出勤やリモートワークなど多様な働き方を支援し、働く人同士が交流できる場を整備するなどと説明されている。

市がイノベーション拠点を整備するのは、昨年9月にセンタービル近くの市産業振興センターに開設された「つくばスタートアップパーク」(年間事業費約5700万円)に次いで2カ所目となる。

名称はこれまで「イノベーション拠点」として議会に説明されてきたが、今回「働き方を支援する場」と変更された。同振興室によると、中身は議会に説明したイノベーション拠点に変わりはないという。つくば駅周辺をイノベーション拠点とする検討をしており、センタービルの考え方を分かりやすく示すため「働き方を支援」という表記にしたという。

開示資料によると、国家公務員宿舎跡地の70街区にもイノベーション施設をつくる計画がある。つくば駅周辺で計3カ所になる。3カ所の役割分担として「スタートアップパークで創業支援を行い、ある程度の大きさのオフィスが必要になったらセンタービル、さらに従業員が増えるなど企業規模が大きくなったら70街区という流れ」が検討されている。

全体事業費は不明

来年3月までに設立予定のエリアマネジメント団体には、出資金6000万円のほか、センタービルの床の区分所有権の一部を市が現物出資することも検討されている。現物出資されれば所有権がつくば市のものから、新団体の所有となる。経営がうまくいかなかった場合、センタービルはどうなるのか。市振興室によるとまだ検討されてないという。

ほかに中心市街地に新たに、こども体験施設、チャレンジショップ、賃貸住宅やシェアハウス、ゲストハウスなどの箱モノを整備し、中心市街地をイノベーション拠点にする案が検討されているが、費用は全体でいくらになるのか、エリアマネジメント団体の収支がどう想定されているのかは、市民に知らされないままだ。(つづく)

  • つくばセンタービル 筑波研究学園都市のシンボルとして37年前の1983年に建設された。2018年6月に飲食店すべてが撤退し、現在、空き店舗が目立っている。つくば市(52.86%)、ホテルオークラ(ホテル日航つくば、38.48%)、筑波都市整備(8.66%)の3者が区分所有している。

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

2 コメント

コメントをメールに通知
次のコメントを通知:
guest
最近NEWSつくばのコメント欄が荒れていると指摘を受けます。NEWSつくばはプライバシーポリシーで基準を明示した上で、誹謗中傷によって個人の名誉を侵害したり、営業を妨害したり、差別を助長する投稿を削除して参りました。
今回、削除機能をより強化するため、誹謗中傷等を繰り返した投稿者に対しては、NEWSつくばにコメントを投稿できないようにします。さらにコメント欄が荒れるのを防ぐため、1つの記事に投稿できる回数を1人3回までに制限します。ご協力をお願いします。

NEWSつくばは誹謗中傷等を防ぐためコメント投稿を1記事当たり3回までに制限して参りましたが、2月1日から新たに「認定コメンテーター」制度を創設し、登録者を募集します。認定コメンテーターには氏名と顔写真を表示してコメントしていただき、投稿の回数制限は設けません。希望者は氏名、住所を記載し、顔写真を添付の上、info@newstsukuba.jp宛て登録をお願いします。

2 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

「神経多様性」を妄想する《看取り医者は見た!》44

【コラム・平野国美】非常事態で輝いた自閉症スペクトラムの図書館員の話(前回コラム)から、私の妄想は膨らむのです。人類がまだ獲物を追いかけ、新天地を求めて移動していた時代。その集団の先頭を歩いたのは、神経多動性(ニューロダイバーシティ)という特性を持つ人々だったのかもしれません。彼らの飽くなき探究心と衝動性は、集団を未開の地へと導く力となりました。しかし、その旅もいつか終わりを迎えます。 肥沃な土地に恵まれ、食料を安定して得られるようになったとき、人類は定住という新しいフェーズへと突入したのです。そして、この定住化という歴史的な大転換を支えたのが、「自閉症スペクトラム(ASD)」の特性を持つ人々だったのではないでしょうか。 定住生活の象徴ともいえるのが稲作です。稲作は、広大な土地を移動し続ける狩猟採集とは全く異なる、精密な「システム」でした。いつ種をまくか? 水を引くタイミングは? 収穫の時期は? すべては綿密な計画と繰り返されるルーティンワークによって成り立っています。 ここで、ASDの特性である「ルーティンへの強いこだわり」「シングルフォーカス(一点集中)」という才能が、驚くべき力を発揮したはずです。多動性を持つ人々が絶えず新しい刺激を求める一方で、ASDの特性を持つ人々は定まった手順を厳密に守ることで心の安定を保ちます。稲作という変化の少ない重要な作業を安定して続ける上で、彼らの「変わらないこと」へのこだわりは、集団全体の基盤を築く上で不可欠な要素だったのです。 稲作に生きた「守り人」の才能 稲作は、単に作業を繰り返すだけでは達成できません。その年の気候や土壌の状態、稲の成長具合といった、目に見えない無数の情報を読み解き、次の年に生かす必要があります。ASDの特性を持つ人々の中には、人間関係の複雑な「空気」を読むのは苦手でも、特定の分野で驚異的な観察力を発揮する人が多くいます。稲の葉のわずかな色の変化、土の湿り気、病害虫の兆候…。 彼らは、そうした非言語的な情報を誰よりも正確に把握し、集団に伝える「知恵袋」であり、「データベース」だったのではないでしょうか。彼らの緻密な観察力と、それを体系的に記憶する能力がなければ、稲作という文化は次世代へと受け継がれなかったかもしれません。 彼らは、稲作というシステムを維持し、集団の知恵を次世代へと伝える「守り人」だったのです。集団の中に「神経多様性」を持つことによって、我々はここまで生き抜いてきたのです。つまり、社会や組織が生き抜くためには、この多様性を持つことが必要不可欠だったと思われるのです。(訪問診療医師)

除草中に小石跳ね 割れたガラスで幼児がけが つくば市

つくば市流星台、桜庁舎跡地で2日午後3時ごろ、市の委託業者が除草作業中、小石が跳ね、隣接の市子育て総合支援センターのガラス3枚が破損し、割れたガラスの破片で2歳の男児がけがをする事故が発生した。3日、市が発表した。 市公共資産利活用推進課によると、業者が肩掛け式草刈り機で、同支援センターから約2メートルほど離れた場所の草を刈っていたところ、小さな小石が複数個跳ね、同支援センター内の一部ガラス張りの部屋のガラス3枚が破損した。ガラスは1枚の大きさが高さ2メートル、幅80センチの強化ガラスで、3枚にひびが入り、ひびの一部が細かく粒状になって床に落ち、近くにいた市内に住む2歳男児が足の裏に長さ約1センチの切り傷を負った。男児は破損したガラスが当たったか、踏んだかしてけがをしたと見られている。 男児はこの日、母親と同支援センターを利用していた。事故後、母親が病院に連れて行き、男児はけがの治療を受けた。 市こども政策課によると、事故があった部屋は、未就学児と保護者が自由に遊べる「子育て親子のつどいの場(けやき広場)」という部屋で、事故当時、子ども18人と保護者13人が利用していた。 事故原因について市公共資産利活用推進課は、除草作業中、委託業者は飛び石防止ネットを使用することになっているにもかかわらず、事故時、業者は南側の道路側にしかネットを使用しておらず、同センターがある北側ではネットを使用していなかったためとしている。市はけがをした家族に謝罪、今後、業者が被害者への補償と施設の修繕を行うという。 ガラスが割れた箇所は現在、板が張られている。同つどいの場では、床に落ちた粒状のガラス片の清掃が実施されているほか、室内にあるマットやおもちゃなどにもガラス片が付着している恐れがあるため清掃作業を実施し、3日から5日まで利用を停止する。一方、つどいの場以外の一時預かりやラウンジ、他の部屋は引き続き利用できる。つどいの場は6日から利用を再開する。強化ガラスは納品でき次第、設置するが、特殊な製品であることから日数がかかるという。 五十嵐立青市長は「利用者の方にけがを負わせてしまい深くお詫びします。他の利用者の方にもご迷惑をお掛けしました。再びこのような事故を起こさぬよう、除草業務受託者に対して作業時の安全対策の徹底と再発防止を強く要請しました」などとするコメントを発表した。

紙を折って月に行こう《続・気軽にSOS》164

【コラム・浅井和幸】やりたいこと、やらなければいけないことがたくさんあるのに、ダラダラしてしまう。人生を変えるような大きなイベントがなぜ自分には起きないんだと思う。やる気を出すにはどうすればよいのか、自分のやる気スイッチの場所を知りたいと悩む人もいるでしょう。 そこまでやりたいことではないんでしょ?とか、やらなくていけないことをやらなくても支障がないんでしょ?という突っ込みは、今回は置いておきます。 今回は、素晴らしいこととか、大きなことを成すための動きはやる気が出てからという発想の、逆の方法を試してみてはいかがだろうかという提案です。その方法の一つは、やる気のあるなしではなく、それをやる構造を作る方法です(やらない構造を外す)。二つ目は、大きなまとまりではなく、小さく区切るという方法です。 やる気というのは、何か行動をしてからついてくるものです。大掃除をしようとしても、面倒だし時間もないし、体力も使うしと、行動しない理由が先に出て、掃除は後回しになってしまうものですが、机の上をちょっとだけ拭こうと動いたら、別の汚れも気になって広い範囲の掃除をしてしまうというようなことです。 これを一つ目で言うと、部屋のあちこちにごみ箱や掃除用具を置いておくことです。二つ目では、その掃除用具のある周りを少しだけきれいにするということです。 これだけで、普段見もしない奥の方に掃除用具を閉まっているよりも、ずっと掃除をする習慣がつきやすくなります。ギターの練習をしたい時は、いつも座っているところの脇にギターを置きすぐ触れるようにして、ちょっとだけでも触る構造をつくるというものです。 ダイエットのためにポテトチップを食べないという行動をするのであれば、食べないという行動がしやすいように目の前にポテトチップを置かないこと。手の届かない、取るのが少し面倒な棚の中にしまうだけでも、効果はあります。 ささいなことの積み重ねが大事 理論上、紙を42回折ると月に届くそうです。0.1ミリの厚さの紙を42回折ると、38万キロメートル(地球と月の間隔)を大きく超える暑さになる計算です。もちろん、そんな大きな紙もなければ、そんなにたくさん紙を折り返せないなど現実的には不可能なことらしいです。 今回伝えたいのは、ほんのささいなことの積み重ねが大きな変化になるということです。バットの素振りをする、絵を描く、小さな善行を行う、ささいな工夫をする、笑顔を向ける、知識を得る、筋トレをする、お金をためるなど、ほんのささいなことを続け積み上げることで、どれだけ大きな成果が得られるかは、はかり知れません。 宝くじに当たるなどの明確な大きな一回は感じやすいのですが、ささいなことの積み上げは感じ取りにくいので、ほとんどの人は行いません。ほとんどの人が行っていない、気づいていないからこそ、ささいな積み重ねを長年行うと大きな成果、特別な人というところに到達できる大きな要因になるのです。 不健康になる、不幸になる、嫌な人間になる、そんな積み重ねはしないようにしてくださいね。(精神保健福祉士)

下水道使用料引き上げなど提案 つくば市 水道料金に続き2年連続

9月議会が開会 つくば市議会9月定例会議が2日開会。五十嵐立青市長は、来年4月から下水道使用料を平均18.1%引き上げる条例改正案など議案32件、認定6件、報告12件の計50件を提案した。 下水道使用料の引き上げが議会で可決されれば、2006年8月以来、20年ぶりの引き上げになる。一方、同市では今年4月、水道料金が平均15%引き上げられたばかり(24年7月30日付、9月3日付、10月4日付)。市民は水道料金と下水道使用料を2カ月ごとに合算して支払っており、2年連続で上下水道料金が引き上げられることになる。 7月30日に市上下水道審議会(会長・白川直樹筑波大システム情報系准教授)から五十嵐市長に下水道使用料の引き上げを求める答申が出され、答申通りの額が議会に提案された。 引き上げ額は、利用者全世帯が一律で支払う「基本使用料」が現在の550円から3.4倍の1870円に引き上げられる。使用水量に応じて支払う「従量使用料」はこれまで三つの区分だったが、1人世帯など小口利用者の負担増を緩和するため10立方メートル以下の区分を新たに設けて区分を四つにし、1立方メートル当たりの従量使用料を10円ずつ(税抜き)引き上げる。 世帯別の引き上げ後の下水道使用料の目安は、1人世帯が2カ月分で現在の1980円から38.9%値上げとなる2750円、2人世帯が3410円から25.8%値上げの4290円、3~4人世帯が6270円から17.5%値上げの7370円になる見通しだ(いずれも消費税込み)。 同市では2024年10月に中長期の経営基本計画「市下水道事業経営戦略」を策定し、将来にわたり安定的に事業を継続していくため、26年度に平均20%、31年度に17%下水道使用料の引き上げを行うとしていた。 実際の引き上げ額の検討については25年1~7月に市上水道審議会を開催し、経営戦略の値上げ計画通り、来年4月からの値上げを答申した。ただし平均引き上げ額は経営戦略の20%から18.1%になるという。 市下水道総務課によると、2024年度の下水道事業の1年間の経営成績である収益的収入は105億1000万円、それに対し収益的支出は98億2000万円と6億9000万円の黒字だ。市によると黒字なのは、総務省が定める基準を超える6億9000万円を市独自に一般会計から繰り入れているためで、6億9000万円の基準外繰入金のうち5億円を削減したいとする。基準外繰入金の内訳は、汚水以外の雨水や地下水など不明水の処理費が4億4000万円、雨水施設の建設負担金等が2億5000万円。一方、下水道施設への投資である24年度の資本的収入は37億2000万円なのに対し、資本的支出は55億3000万円と、借金である企業債に頼っている状況があるという。 こうした状況から、市の下水道事業の課題として①経費の回収率が98.5%で、汚水処理費を下水道使用料でまかなえてない原価割れの状況がある②汚水処理は利用者の使用料でまかない、雨水処理は公費でまかなうという原則を超えて、汚水処理を一般会計からの繰入金に依存している➂施設への投資を企業債に依存しており、30年後には企業債残高が現在の350億円から2倍以上の766億円になるーなどの課題があり、今後さらに下水道未整備地区への敷設や、管路の老朽化対策などが求められることから、課題を解消するために引き上げが必要だなどとしている。 引き上げられれば、つくば市の下水道使用料は県内47団体(市町村ほか)のうち、10㎥の使用料は43番目だったのが28番目に高くなり、20㎥は9番目から4番目に高くなる。40㎥は21番目から6番目に高い使用料となる。(鈴木宏子)