日曜日, 12月 7, 2025
ホームつくば【つくばセンタービル改修】㊤ 具体案、市民に説明なく

【つくばセンタービル改修】㊤ 具体案、市民に説明なく

【鈴木宏子】つくば駅前「つくばセンタービルリニューアルの方向性案」を、市がホームぺージ(HP)で公表し、30日まで市民の意見を募集している。具体案が市民に公開されたのは初めて。

センタービル1階アイアイモールの一部に市として2カ所目のイノベーション拠点(多様な働き方を支援する場)をつくること、ノバホール西隣のつくばイノベーションプラザなどに吾妻交流センター、市民活動センターと、国際交流、男女共同、消費生活などの機能を集めた市民活動拠点をつくることなどが柱だ。センタービルのイノベーション拠点を運営し、さらに同駅周辺のまちづくりを担う、エリアマネジメント団体を新設することも検討されている。

出資金すでに予算化

一方、今年3月議会でエリアマネジメント団体を設立するための出資金6000万円と、センタービルリニューアルの基本計画策定費990万円などがすでに予算化され(3月9日付)、6月初めには同基本計画策定業務の委託業者が選定された。

工事が実施されればセンタービル建設以来のリニューアルとなるが、担当の市学園地区市街地振興室によると現時点で市民説明会を開く予定はなく、開くかどうかも決まっていない。

市はセンタービルや中心市街地で何をしようとしているのか。意思形成過程や策定過程、考え方が分かるすべての公文書を情報開示請求した。

報告書も検討委も非公表

開示資料によると、センタービルのリニューアルに向けて市内部で検討が始まったのは2018年7月。19年3月に「つくばセンタービルのありかた検討業務報告書」、20年3月に「中心市街地エリアマネジメント検討業務報告書」がそれぞれ策定されたが、内容が市民に説明されることはなかった。片やヴィジョン(18年7月)戦略(20年5月)などイメージや将来像などは公表された。

昨年7月には、エリアマネジメント団体の在り方を検討する検討委員会も設置されたが、会議は第1回目を除き非公開で行われた。

3カ所で役割分担

市が今回初めてHPで公表したイノベーション拠点(多様な働き方を支援する場)は、1階アイアイモールの一部約2500平方メートルにつくる。新施設の面積としては最大だ。リニューアル案には、働く人の交流の場、シェアオフィス、会議室などのビジネスを支援する機能等、子連れ出勤やリモートワークなど多様な働き方を支援し、働く人同士が交流できる場を整備するなどと説明されている。

市がイノベーション拠点を整備するのは、昨年9月にセンタービル近くの市産業振興センターに開設された「つくばスタートアップパーク」(年間事業費約5700万円)に次いで2カ所目となる。

名称はこれまで「イノベーション拠点」として議会に説明されてきたが、今回「働き方を支援する場」と変更された。同振興室によると、中身は議会に説明したイノベーション拠点に変わりはないという。つくば駅周辺をイノベーション拠点とする検討をしており、センタービルの考え方を分かりやすく示すため「働き方を支援」という表記にしたという。

開示資料によると、国家公務員宿舎跡地の70街区にもイノベーション施設をつくる計画がある。つくば駅周辺で計3カ所になる。3カ所の役割分担として「スタートアップパークで創業支援を行い、ある程度の大きさのオフィスが必要になったらセンタービル、さらに従業員が増えるなど企業規模が大きくなったら70街区という流れ」が検討されている。

全体事業費は不明

来年3月までに設立予定のエリアマネジメント団体には、出資金6000万円のほか、センタービルの床の区分所有権の一部を市が現物出資することも検討されている。現物出資されれば所有権がつくば市のものから、新団体の所有となる。経営がうまくいかなかった場合、センタービルはどうなるのか。市振興室によるとまだ検討されてないという。

ほかに中心市街地に新たに、こども体験施設、チャレンジショップ、賃貸住宅やシェアハウス、ゲストハウスなどの箱モノを整備し、中心市街地をイノベーション拠点にする案が検討されているが、費用は全体でいくらになるのか、エリアマネジメント団体の収支がどう想定されているのかは、市民に知らされないままだ。(つづく)

  • つくばセンタービル 筑波研究学園都市のシンボルとして37年前の1983年に建設された。2018年6月に飲食店すべてが撤退し、現在、空き店舗が目立っている。つくば市(52.86%)、ホテルオークラ(ホテル日航つくば、38.48%)、筑波都市整備(8.66%)の3者が区分所有している。

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

2 コメント

2 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

つくばサンガイア 東京Vにストレート勝ち

バレーボールVリーグ男子のつくばユナイテッドSunGAIA(略称サンガイア、本拠地つくば市)は6日、つくば市流星台の桜総合体育館で東京ヴェルディ(本拠地東京都稲城市)と対戦し、セットカウント3-0で勝利した。これでサンガイアは5勝2敗で東地区3位。7日も午後2時から同会場で東京Vと再戦する。 2025-26 Vリーグ男子(東地区)レギュラーシーズン(12月6日、桜総合体育館)サンガイア 3-0 東京V25-1625-2225-16 サンガイアは持ち前の高いブロックや強いサーブ、バランスの良い配球などで序盤から順調に加点。「自分たちの良いところを出せ、安心して見ていられた」と加藤俊介監督。唯一、第2セット終盤には相手の猛追を許したが、これはチームの若さが課題として出たという。「勢いに乗ったときは手がつけられないほど躍動するが、逆に小さなきっかけから流れを失うこともある。今日は連続失点でも崩れず我慢できたことが収穫」と加藤監督。タイムアウトを使い「相手を意識するのではなく自分たちの攻撃をしっかりやろう」と声を掛けたそうだ。 特に第3セットでは、村松匠や武藤茂らによるパイプ(ミドルブロッカーをおとりにしたバックアタック)が猛威を振るった。この日の決定率では65.2%を挙げ、いままで積極的に取り組んでいたこの技が、チームの武器になり始めていることが見てとれた。「チームとして意図的にバックを使おうとしており、今日は相手ブロックがミドルを厚くケアしていたので、特にパイプが効果的だった。上位チームと当たるときはもっと真ん中の攻撃を通せるよう、さらに攻撃力や効果力を上げていきたい」とセッターの浅野翼。前節の長野戦ではゲームプランの崩れを修正できず、自身も途中でベンチに下がるという悔しい思いをしただけに、今日はその思いを晴らそうと強気のトスワークが光った。 インフルエンザで不調があった梅本鈴太郎は、この試合では立ち上がりを支えた後、第1セット半ばで榮温輝に席を譲った。榮は今季初出場で「チームのシステムにしっかり入ろうと緊張したが、点を決めたらみんなが喜んでくれて楽しくできた」との感想。相手の動きを読んだ思い切りのよいブロックを得意とし、コースを突く変化の大きなサーブも持ち味の一つだ。「梅本、松林哲平、榮とタイプの異なる3人のミドルブロッカーがいるので、その日のコンディションや相手によって使い分け、攻撃の幅を広げることができる」と加藤監督。 翌日の再戦については武藤主将が「今日はコンビネーションの精度などに課題があったが、それをさらに詰め、自分たちの求めるバレーに積極的にチャレンジし、明日もストレートで勝ちたい」と意欲を見せた。(池田充雄)

進化するクリスマスツリーと変わらないもの《ことばのおはなし》88

【コラム・山口絹記】こどもが11月のうちにクリスマスツリーを飾らねばならないと言い出した。日曜の夕方から設置が始まったのだが、私は夕方から寝落ちしていたため、起きたらイルミネーション含め飾り付けが完了していた。 クリスマスツリーと言っても、ツリーが描かれた大きな壁紙である。つくばに引っ越してきた10年前の冬は、140センチほどのよくあるツリーを飾っていたのだが、抜け毛?抜け葉?いや落葉か?に毎年悩まされて、仕方なく捨てたのだ。 4半世紀以上前の実家に飾ってあったツリーも同じような症状に悩まされていたので、このあたりは進歩がないのだろうと思ったのだが、ネットで検索すると「葉が落ちないクリスマスツリー」なるものがいろいろ販売されている。どうやら人類共通の悩みであったらしい。 とは言え、こどもに加えて観葉植物や昆虫(カブトムシの幼虫)が増えて手狭な部屋にツリーを置くのはなかなかにしんどいものがあるので、今年も我が家はツリーの壁紙だ。飾り付けるオーナメントは(落葉のある)ツリー時代からの使いまわしなのだが、コイツはコイツでキラキラのラメが落ちる。 こどもはオーナメントをいじりたがるので、年末は家の中のそこかしこがどことなくキラキラするのだが、これはもう諦めねばなるまい。 そろそろ丸鶏の予約の時期 そう言えば、私が小さい頃、クリスマスツリーのてっぺんに飾る星が欲しいと父にねだって作ってもらったことがあった。毎年、その星の飾りをクリスマスツリーのてっぺんに差し込むのが楽しみだったのだ。 年賀状も卒業してしまったし、来年はお節も注文してしまおうか、などと話しているのだが、結局、それらは喜ぶ人が減ってきたからなのだろうと思う。楽しみにしている人がいるものまで削減していく必要はない。 クリスマスケーキの注文は済んだし、そろそろ丸鶏の予約の時期だ。こういうのはベタでいいのだ。(言語研究者)

日本人はロボットとの親和性が高い?《看取り医者は見た!》47

【コラム・平野国美】前回、介護ロボットへの私の懐疑的な視点と、友人が自作の「鉄腕アトム」に心を奪われたという対照的な出来事を紹介しました。この現象の背景を探る鍵は、業界紙が報じたドイツ有識者のインタビュー記事に見出せます。 その記事には、ドイツの専門家アルムート・ザトラパ・シル博士による次のような警鐘が記されています。「ロボットがケアについて自律的に判断してしまうと、人間をサポートするどころか、支配してしまうことになりかねません。『人間とは何か』という根本的な問題にも関わってくるでしょう」 この言葉は、私がデモで見た無機質なロボットから感じた「痛々しさ」の正体を的確に示しています。欧米では、ロボットはあくまで人間の作業を代替する「便利な道具」として捉えられており、それゆえに道具が人間を支配することへの警戒心が強いのだと理解できます。 しかし、友人がアトムに感じた「胸がキュンとなった」という、道具に対するものとは思えない感情は、この文脈だけでは説明がつきません。長い時間をかけて完成させたアトムは、スイッチを入れた友人に「やっと、会えたね」と語りかけました。この一言が、友人にとってアトムが単なる「道具」ではなく、幼い頃から物語を共有し、自らの手で組み立てた「魂のこもった存在」であったことを物語っています。 ここに、日本独自のロボット観が隠されていると考えられます。欧米の映画でロボットが悪の兵器として描かれがちなのに対し、日本では『鉄腕アトム』や『鉄人28号』のように、正義の味方、時には人間以上に豊かな感情を持つ存在として描かれてきました。戦後の日本人は、こうしたロボット観に深く親しんできたのです。 これは、業界紙の記事で指摘された「日本人はロボットへの親和性が高い」ことの一つの大きな理由でしょう。さらに驚くべきは、人間同士や人とペットとの絆を深めるホルモン「オキシトシン」が、人間とロボットとの関係においても分泌されることが確認されたという研究です。 道具も含め万物への畏敬の念 私たちが無意識のうちにロボットに「心」や「物語」を求め、そこに絆を見出す。この「心を通わせる」分野こそ、日本人が最も得意とするところかもしれません。 その根底には、日本人の独特の宗教観、すなわちアニミズムがあるのではないかと私は考えるのです。このアニミズムとは、自然や道具を含むあらゆるものに魂や霊が宿るという世界観です。具体的には、山、川、木、風など、数多くの自然や現象に神が宿る「八百万(やおよろず)の神」の考え方が神道の基盤となり、動植物だけでなく道具にまで万物への畏敬の念が深く根付いています。 現代において、この感覚は失われたように見えても、私たちの意識のどこかに今も残っています。それが、単なる道具ではないロボットとの強い親和性を生み出す源泉となっているのかもしれません。最近では、この癒し系ロボットと過ごされる方も出現してきました。(訪問診療医師)

ポルシェセンターつくば 6日 リニューアルオープン

ドイツの自動車メーカー・ポルシェの正規販売店「ポルシェセンターつくば」が6日、つくば市学園の森にリニューアルオープンする。5日には、運営会社でセキショウグループのザルツブルグ・モータース(本社・つくば市)の関正樹社長、ポルシェジャパン(東京都港区)のイモー・ブッシュマン社長ら関係者による開所式が同所で開かれた。 式の中でブッシュマン社長は「ポルシェのみならず、自動車業界そのものが電動化・デジタル化など多くの変化と課題に直面している。ポルシェとして未来に向けて準備を進めている。素晴らしい製品とサービスを提供することで信頼をいただき、自然と科学が共存する筑波研究学園都市で、今後の成長を目指すイノベーターとなっていきたい」と語った。 ポルシェセンターつくばは、2015年にポルシェセンター水戸(ひたちなか市)が移転し、名称を改め開店した。開店10年となる今回のリニューアルでは今年4月から既存の建物の改装工事を行ってきた。 同店は鉄骨造2階建て、敷地面積約8240平方メートル、延床面積約3089平方メートル。約1035平方メートルのショールーム内を「Eパフォーマンス(電動モデル)」「レーシングカー」などコンセプト別に色分けし、最新モデルをはじめ最大10台が展示される。また敷地内には最大150キロワットの出力を持つ電気自動車用急速充電器が引き続き設置され、有料で24時間365日利用できる。店舗奥には新たに168インチ(3840mm×2160mm)の大型LEDモニターが設置され、プロモーション映像などが映される。 ポルシェセンターつくばの栗原裕治店長は「つくばを起点にポルシェブランドの伝統と革新を力強く発信し、持続可能なブランドづくりを実現していきたい」と述べ、ザルツブルグ・モータースの関社長は「世代を超えてポルシェに乗っていただければ」と語った。(柴田大輔)