市民の学びの場「つくば市民大学」(つくば市東新井、ろうきんビル5階)が12月いっぱいで活動を休止する。2009年4月の開校から9年間、活動を助成してきた中央ろうきん社会貢献基金の解散に伴う休止という。受講生からは休止を惜しむ声が相次いでいる。2021年度に新たな形で再開を目指すという。
多様性、持続可能性などをテーマに、先駆的な取り組みを紹介する体験型講座を開き、市内だけでなく都内などからも受講生を集めてきた。ここ5年ほどは年平均100回を超える自主講座を開き、年約2400人が利用した。
障害者と一緒に実際に街なかで買い物をし、健常者には気づかない発見やアイデアを出して新商品を開発する新しいデザイン手法を体験したり、振動や光で音楽を表現する楽器を聴覚障害者と一緒に楽しむユニークな講座も開かれた。視覚障害者とマラソンを走る伴走者を養成する講座では、受講生が実際のマラソン大会に出場した。
講座を企画、運営してきたつくば市の北村まさみさんは「人と違う見方や考え方を安心して出して意見交換できる場所だった」と振り返り、赤松洋子さんは「市民が講師となる講座も開き、講師自身が仲間と一緒に学ぶ場にもなったのでは」と話した。
受講生で筑波大大学院の男性は「一方通行の大学の授業とは異なり(どんな発言をしても)安心して対話を進めることができ、学ぶことの面白さに気付くことができた」と語り、都内から参加した井上愉可里さんは「いろいろな活動をしている人がいっぱい参加していて、つながる場になっている」と活動休止を惜しんだ。
同大学を運営する市民団体「ウニベルシタスつくば」の徳田太郎代表(45)は「ここを拠点にした活動が地域で具体的な形になったり、ここで出会った人同士がつながって地域でいろいろな活動を展開するなど新しい形になっていったと思う」と9年間の成果を話し、今後は「3年間の充電期間を経て2021年度に何らかの形で学ぶ場をつくりたい。楽しみにしていてください」と話している。(鈴木宏子)