【池田充雄】第101回全国高校野球選手権茨城大会3日目の8日、ノーブルホームスタジアム水戸の第2試合で、土浦一が太田一と対戦し3対2の逆転勝ちを収めた。ひたちなか市民球場の第1試合では土浦二が那珂湊に9対4で競り勝った。
土浦一、8回裏に一挙3点
土浦一は2点ビハインドで迎えた8回裏、長短打4本の固め打ちで一挙3点を奪った。
試合は序盤、投手戦の様相。6回表に太田一が先に2点を挙げて均衡を破った。ここまで土浦一は5回の三塁打1本のみ。7回には単打と四球、失策で無死満塁の絶好機を作るが、拙攻で無得点に終わっていた。
ところが8回、打線は驚くほどの勝負強さを見せた。先頭の2番・藤又俊介が左中間へ二塁打。3番・酒井省吾は右翼フェンス直撃の三塁打。この長打2本でまずは1点。続く4番・佐野翔がファールと選球で粘ると、これが相手の暴投を誘い、走者・酒井がホームを踏んで同点とする。
さらに2死二、三塁の場面で、途中から8番に入っていた高橋脩造が逆転打。「前の打席では、真ん中を打とうとして高めへ伸びてくる相手のストレートに手が出てしまっていた。次は絶対打ってやろうと思い、低めを意識してセンター前へ運んだ」と振り返った。

7回と8回で何が変わったのか。「何も変えた部分はなかった。あせり始めていたことは事実だが、自分たちがやってきたことを信じ、絶対逆転できるから、あせらずに行こうと確認した」と黒田堅仁主将。「これまでも最少失点に抑えながら終盤勝負に持ち込み、逆転で勝ってきた。特に勝負どころでの集中力には自信がある。それを出すことができた」
先発の古宮学樹も、6回を2失点で乗り切ってからは危なげないピッチングで完投勝利。「体力には自信があり、球速も最後の方が上がる」という。こういう信頼できるエースがいることも、終盤勝負に懸けられる理由の一つのようだ。
次戦は12日第2試合、J:COMスタジアム土浦で竜ケ崎一と対戦する。柴沼剛己監督は「このチームらしく野球の楽しさを感じながら、全力で最後まで食らいついていき、見ている方々に元気と感動を与えられるプレーをしたい」と意気込みを語る。
土浦二、粘る那珂湊を突き放す

土浦二は、序盤から先行しては追い付かれる展開が続いたが、7回裏に一挙5点を奪って突き放した。6回表に3-3と同点にされ、その裏の攻撃でも盗塁を2度失敗するという、悪い流れを見事に断ち切った。
7回裏1死、9番・中澤恭聡の左越え二塁打に始まり、7人で6安打の固め打ち。「序盤は低めの緩い変化球に崩されていたが、回を重ねるうちに慣れ、引きつけて強い打球を返せるようになった」と、坂本武司監督は分析する。
勝ち越しの2点殊勲打は2番・葉梨琉良主将。1死二、三塁の場面で、高めに浮いたカーブをセンターにはじき返した。「下位がチャンスを作ってくれたので、上が打たなくてはと思った。相手は内野が前へ出て二遊間が空いたので、打ち上げないよう気を付けてライナーで抜いた」
葉梨はこの試合3安打3打点の活躍。初回には足でかき回して先制のホームを踏み、8回にも右前打で1点を追加。「ここへ来て、初めて主将らしいことをチームのためにできた」と、プレッシャーからも解き放たれた様子だ。
初戦のマウンドを守ったのは庄司大翼。立ち上がりがよく、初戦でも落ち着いたピッチングができると見込まれた。6回以降はピンチが続いたが、二つのダブルプレーなど守備にも助けられた。「途中から足がつりかけて球威が落ちたが、あと少しだと思って捨て身で投げていた」と、苦しみながらも完投。
次戦では最速138キロを誇る左腕のエース、堀越優貴が登板予定だ。12日の第1試合、県営球場で水戸啓明と対戦する。「最近は2回戦で強い相手に当たることが多く、ここを突破するのが一つの目標。うちは苦しい中で勝って落ち着けたが、相手は初戦で緊張もある。やってきたことを全て出して食らいついていきたい」と、坂本監督は意気込む。
