ミツバチや花粉を運ぶ昆虫に関わる人々が一堂に集まり、意見交換する初の「ミツバチサミット2017」が11、12日の両日、筑波大学(つくば市天王台)大学会館で開かれる。生息場所の減少などミツバチが直面する問題を、研究者や養蜂家、蜂蜜販売会社、農家、一般市民など幅広い人たちが共有し、解決の道を探ることが狙い。ミツバチをテーマにした本の読み聞かせなど子ども向けの自主企画もあり、大人も子どもも楽しめる。
ミツバチに関わる全国の若手研究者らでつくる実行委員会が主催する。ミツバチは生態系の中で重要な役割を果たすだけでなく、食生活など多くの分野で人の生活を豊かにしてくれる。だが、蜜を集める植物が足りなくなったり、生息場所が減っている問題があるという。農研機構生物機能利用研究部門・上級研究員の前田太郎さん(45)は「研究者や養蜂家、蜂蜜業者それぞれが問題意識を共有して話し合うことで、解決に向け新しいアイデアが生まれると考えた」と狙いを話す。
サミットでは、ミツバチに害を及ぼすダニの問題を議論するシンポジウムや、養蜂に取り組む全国の高校・大学生の団体が意見交換する集いなどが開かれる。花粉を運ぶ昆虫について、生物多様性に関する政府間組織のメンバーが意見交換する国際シンポジウムもある。
子どもを対象にした自主企画も多彩に催される。つくば市の「友朋堂書店」や絵本専門店「えほんや なずな」などが主催してミツバチに関する本を紹介する「ミツバチライブラリー」では、ミツバチが登場する昔話や絵本の読み聞かせ会を企画する。またオリジナルブレンドの蜂蜜を作るワークショップや養蜂家の家族を描いたアニメ映画の上映会などもある。
実行委員長で筑波大学生命環境系の横井智之助教(38)は「海外では一般の人も気軽に参加できる学術的な集まりが多くあるが、日本では少なかった」と述べ、「ミツバチや花粉を運ぶ昆虫は、身近なようで意外に知られていない。今回は幅広い人に来ていただける内容なので、楽しみながら理解を深めてほしい」と話した。
また自主企画で絵本の読み聞かせをする「えほんや なずな」の藤田一美さん(56)は「昔話の中のミツバチは弱いものを助ける役割を担っており、昔の人がミツバチの営みを優しい目で見守ってきたことがうかがえる。この機会にもっと深く知ってもらえるとうれしい」と述べた。
(大志万容子)
◆入場料は一般1000円(高校生以下無料)。当日参加も可。詳しくはHPを参照(http://bee-summit.jp/)。問い合わせは℡029-838-6289(ミツバチサミット実行委員会・前田さん)