水曜日, 4月 24, 2024
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「博物館級の大珍品」天狗党絵巻 古書まつりに出品 土浦

【鈴木宏子】土浦駅前にある関東最大の古書店「つちうら古書倶楽部」(佐々木嘉弘代表)で6月1日から始まる「第15回古本まつり」に、水戸天狗党絵巻「那珂湊戦争之図」が出品される。佐々木代表(65)は「博物館に展示されてもおかしくない博物館級の大珍品であることは間違いない」と話す。

半年ほど前、古本店同士の交換会に出品され、佐々木代表が仕入れた。もともと個人が所蔵しており、市場に出るのは今回が初めてという。

長さ4.3メートルと5.9メートルの着色絵巻が2巻あり、幕末の元治元年(1864)8月に天狗・諸生両党が争った水戸藩の内紛、那珂湊の戦いの様子が描かれている。同様の天狗党絵巻を国立歴史民俗博物館が所蔵しているという。正式な鑑定はしていないが、佐々木代表は「鑑定すればもしかしたら大発見になるかもしれない」と期待を寄せる。ただし虫食いの箇所があり補修が必要になるところもあるという。佐々木代表は「できれば博物館の方に購入していただき、補修して皆の目に触れるようになれば」と語る。価格は2巻で50万円(消費税別)。

古書まつりではほかに、小説「土」で知られる常総市出身の小説家で歌人の長塚節が、同級生に送った直筆の手紙(10万円)や、第二次世界大戦中、日本軍の兵士が兵舎で読んだ読み物、戦前の古地図などの掘り出し物が計約2800点出品・販売されるという。

土浦関係では、1925年に土浦の花火の起源となった花火大会を始めたことで知られる神龍寺(同市文京町)の秋元梅峰住職が、桑根十二支獣形図を解説した木版画や、1929年に土浦に飛来した飛行船ツェッペリン伯号の14枚つづりの絵はがき(6000円)なども出品される。

古書店が全国各地で次々に閉店となる中、同店は7年前に土浦駅前に開業し、現在も関東最大の25万冊を超える蔵書がある。古本まつりは半年に一度、6月と12月に同店で開催されている。同店のほか東京、神奈川、福島などの関東や近県の古書店12、13店が半年間で入手した掘り出し物を出品する。佐々木代表は「来て、見て、探してほしい」と呼び掛ける。

◆古本まつりは6月1日(土)~9日(日)。開店時間は午前10時~午後7時。出品古書は5月30日まで購入予約を受け付け、複数の申し込みがあった場合は抽選。6月1日以降は即日販売される。同店は土浦市大和町2-1、パティオビル1階。問い合わせは電話029-824-5401(同店)。

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