研究成果をアートで表現 4つの作品展示 G20記念事業の成果発表

ライトが本をのぞき込んでくる「Mammalianism Light」

【池田充雄】つくばの科学技術とアートが出合う作品展「つくばサイエンスアートエキシビジョン」が19日まで開催中だ。会場のさくら民家園(つくば市吾妻、中央公園内)には、研究者とアーティストの協働による作品4点が、古民家の座敷や土間を利用して展示され、作品テーマとも響き合って刺激的な空間を作り出している。

展覧会はG20茨城つくば貿易・デジタル経済大臣会合開催記念事業「つくばサイエンスハッカソン」の成果発表。筑波研究学園都市の研究者がアーティストとチームを組み、研究成果をアート作品で表現しようと取り組んだ。制作テーマの「ホロビオント」とは、さまざまな種類の生物が複雑に関係し、一つの生命体を構成している状態のこと。生まれた作品自体を科学とアートの、あるいは生命と非生命のホロビオントと見ることもできる。

作品の一つ、国立科学博物館の郡司芽久さんとアートユニットGADARAによる「Mammalianism Light」は、デスクライトのアームの部分にキリンの首の構造を取り入れた。机の上に本などがあるとセンサーが感知してライトが下がってくる。本がないときは自立した状態で、時おりゆらゆらと辺りを見回すような動きをする。

「キリンの首は高いところへも低いところへも動かせる。上や下を照らすというデスクライトの機能的要求を満たせ、感性的な面白さもある。人工物に生物の機能やデザインを取り込んだ例はいろいろあるが、生き物らしい振る舞いをさせたのは他に類を見ないと思う」と、GADARAメンバーの清水惇一さん。

紙コップで作ったキリンの首の構造モデルを手に説明する清水さん

チームパートナーの郡司さんは解剖学者で、動物の体の仕組みや動きを研究しており、特にキリンの首の構造には詳しい。清水さんらは郡司さんの話からインスピレーションを受け、有機物と無機物の関係性に着目した作品ができるのではないかと考えた。

作品の試作中も、郡司さんの細やかな助言をもとに改良を続けていった。実物の動きを再現するには、構造をただ忠実に模してもだめで、必要な要素を抽出し抽象化する必要があり、そのための情報のフィードバックも的確だったという。

「研究者とアーティストでは視点は違うかもしれないが、制作過程でのコミュニケーションに食い違いがなく、やりたいことを実現するための最適なアプローチが自然にとれた」と清水さん。このため予想を超える作品ができ上がったそうだ。

会期は5月19日(日)まで、時間は午前10時~午後6時(最終日は4時まで)、入場無料。

ヒトと動物や古生物が異種交配する未来を幻視する、芝原暁彦×川崎和也「全滅する気がないなら、交雑せよ」

ぬか床でうごめくぬか漬け野菜のロボット、望山洋×くろやなぎてっぺい「Dying Robots」