水曜日, 7月 23, 2025
ホームスポーツスイス女子陸上チーム 筑波大で事前合宿 横浜世界リレー出場へ

スイス女子陸上チーム 筑波大で事前合宿 横浜世界リレー出場へ

【鈴木宏子】筑波大学(つくば市天王台)で3日から、陸上競技のスイス女子リレーチームが大会前のトレーニングキャンプを張っている。来年の東京オリンピックで同大はスイスの事前キャンプ地になり、つくば市は同国のホストタウンになる。来年の本番を前に、スイスオリンピック協会と同大、つくば市、県の4者が昨年4月に締結した基本合意に基づいて初めて選手団を受け入れた。

チームは4×400メートルに出場するリレー選手6人と監督、コーチなど。9日までつくば市内のホテルに宿泊しながら同大陸上競技場などで調整を続け、11、12日に横浜で開催される「国際陸上競技連盟(JAAF)世界リレー2019横浜大会」に挑む。7日午前、同陸上競技場で公開練習が行われ、選手らは入念にストレッチをしたり、軽く走るなどして体を慣らした。

キャンプでは、同大の学生ボランティア11人が交代で選手らに付き添いサポートをしている。さらにスーパーカスミから食材の提供を受けて、同大体育科学系運動栄養学の学生らが、アスリートのための食事を手作りし、ふるまっているという。ホテルや移動手段の手配はつくば市が支援している。

7日、練習会場を訪れた同大の永田恭介学長は「大学には施設だけでなく、附属病院のスポーツ医学・健康科学センターや運動栄養を研究し食事をサポートするスタッフがそろっている。選手たちが本番で力を出せるよう支援していきたい。学生ボランティアにとっても世界トップレベルの選手の姿を間近で見ることができる機会になる」などと語り、五十嵐立青つくば市長は「選手が万全の状態で戦えるよう環境をつくっていきたい。いろいろな形の交流の機会が広がっていけば」と話した。

チームは現在、世界ランク26位(2018年)。横浜大会で10位以内に入り、さらに9、10月にドーハ(カタール)で開かれる世界陸上で8位以内に入れば、東京オリンピックの出場が決まるという。ピーター・ハース監督は「温かく迎えてくれ、数々のもてなしに感謝している。アスリートたちは来年の東京オリンピックを目指して頑張っている」などと語った。キャプテンのレア・スプンジャー選手は「チームはとてもいい雰囲気でコンディションもいい。スイスからの長いフライトから1、2日で体調を整えることができたのは温かい歓迎とサポートのおかげ。東京オリンピック出場を目指している。来年ここに戻ってきたい」と話していた。

トレーニング会場を訪れた五十嵐立青つくば市長(前列左)、永田恭介筑波大学長(同右)らと、交換し合った贈り物を手に記念写真を撮るスイス陸上女子リレーチーム。前列中央はピーター・ハース監督=同

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つくばの街づくりを考える《水戸っぽの眼》3

【コラム・沼田誠】つくばセンター地区では、週末よくイベントが行われている。整った空間に人が集まり、音が響く。しかし、ふと平日の何もない夜に歩くと、そこにあるのは、ガランとした広場、急ぎ通り過ぎる人、そしてムクドリよけの不快な音である。 全国各地で「にぎわいづくり」「活性化」が叫ばれている。しかし、何をもって「活性化」とするかは曖昧で、結局イベントによって歩行者通行量を増やすことに落ち着く場合が多い。だが、催事で人を呼び込めても、それが「街に関わる人」を育てるわけではない。にぎわいが誘致されたものであるうちは、終わった瞬間に人も空気も消えてしまう。 水戸で「街には“雑居”が必要ではないか」という議論を仲間たちとしたことがある。雑居とは、さまざまな用途や人が同じ空間に入り込み、入れ替わりながら共存している状態のこと。飲み屋の隣に美容室があり、近くからは三味線の音が聞こえる。地元の高齢者と移住者がカウンターで隣り合い、時に混じる。そうした「入り乱れ」が、街のにぎわいを日常に根づかせていく。 では、つくば駅周辺はどうだろうか 近年マンション建設が進み、居住者も増えている。にもかかわらず、デッキに面した店舗が入れ替わるなど、にぎわいが定着しているとは必ずしも言えない。これは単に「人口が少ないから」ではない。人はいるのに、街との関係性が薄いのだ。 その背景には、通勤や買い物を郊外で済ませる生活習慣とともに、駅前空間が「用がある人」向けに整備され、「なんとなく歩きたくなる」「ふらっと寄りたくなる」余白が少ない、ということもあるのではないか。あるいは、余白をつくる取り組みも、建物や特定の人の中だけで完結すれば、エリアとしての広がりは生まれない。 実際に、徒歩数分圏内で商売をする人たちからは「声が掛からない」「どう関わればいいか分からない」との声も聞いている。 これは、声の拾い方の問題ではないか 行政が市民の声を聞こうとする際、商店会やNPOなど組織化された団体を通すことが多い。その方が制度や予算とも接続させやすいからだ。しかし街を支えているのは、そうした団体に属さない個人の営みであることが少なくない。常連との会話の中に、街の課題と可能性が詰まっている。記録に残らない、だが確かな「地の声」がそこにある。 だからこそ、「耳を使う」姿勢が必要 職員が意識的に街を使い、街の一部として過ごす。仕事終わりに一杯飲みに行き会話する。マルシェやイベントに来場者として足を運び、主催者や出展者と話を交わす。そうした日常の中で、声は自然と耳に入ってくる。それは単なる「親しみやすさ」ではなく、現場感覚を持った政策形成の、最も確かな土台となる。 そうした小さな積み重ねが、“雑居の土壌”を耕し、つくばセンター地区をにぎわいのある街へと育てていくのではないだろうか(そうした職員を見つけたら大事にしてあげてほしい)。(元水戸市みとの魅力発信課長)