土曜日, 12月 20, 2025
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精度を高めて「フェイズ3」入り KEK、BelleⅡ実験を再始動

【相澤冬樹】高エネルギー加速器研究機構(つくば市大穂、山内正則機構長)は11日、小林誠、益川敏英両博士のノーベル物理学賞受賞に結びつく成果を残した加速器、KEKB(ケックビー)の後継機であるSuper(スーパー)KEKBを再始動、Belle(ベル)Ⅱ実験は新たなステップ「フェイズ3」に突入した。

同実験は26の国と地域から900人を超す研究者が参加する国際共同実験。地下11メートルに周長約3キロの衝突型加速器が設置されており、電荷の異なる電子・陽電子をそれぞれ7GeV(ギガ電子ボルト、1GeVは10億電子ボルト)、4Gevのエネルギーで加速し、正面衝突させる。このときB中間子・反B中間子が対で生成され、短時間で崩壊するが、その模様は衝突地点に設けられた検出装置BelleⅡで追跡される。

シールド遮へいされビーム入射を待つBelle II 測定器(中央青い枠が見える)

この衝突エネルギーは、欧州原子核研究機構(CERN)の LHC加速器に比べると小さいものの、大量の衝突反応データ生成によってカバーする。ルミノシティ(衝突頻度)重視の設計という。陽子・反陽子衝突のLHCに比べ、電子・陽電子衝突はバックグラウンドで騒がしい存在となる余計な素粒子を生成しないため、B中間子崩壊の追跡を容易にする。

2010年から大改造に着手されたSuperKEKBは、16年の試運転の「フェイズ1」、18年に初衝突を記録した「フェイズ2」と準備・調整を進めてきた。昨年7月以来の再起動となるフェイズ3では、KEKBが持つルミノシティの世界最高記録を40倍にまで高める計画。11日午後1時すぎ、制御室で始動のキーが入った。調整運転の後、ビームは衝突型の円形加速器に入射される。この先、断続的に運転を続け、早ければ1年後にはルミノシティの目標数値をたたき出したい構えでいる。

B中間子崩壊から新物理探求

ビームを待つBelleⅡ側ではフェイズ2後に、バーテックス検出器(VXD、崩壊点検出器)が取り付けられた。B中間子が崩壊した場所を測定するための検出器で、時間経過を追って観測できるのが特色。今後数年かけてBelle実験の約50倍のデータ量を蓄積し、精度を高める。「小林・益川理論」の新たな証明ばかりか、標準理論の発展型に至る道筋が見つかるかもしれない。

KEK素粒子原子核研究所、中尾幹彦教授は、BelleⅡ実験では宇宙初期に隠された新しい物理法則の発見が期待されるという。「たとえば宇宙のダークマター(暗黒物質)探しでは、これまでアクシオンのような極めて小さい質量の領域か、極めて質量の重い超対称性粒子(SUSY粒子)が候補になってきたが、案外中間領域は調べられていなかった。BelleⅡで測定可能な質量かもしれない」と狙いの一端を語った。

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冬鳥ジョウビタキとの夏《鳥撮り三昧》8

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職員2人を懲戒処分 土浦市

土浦市は19日、職務上の義務を怠ったなどとして納税課主任の男性職員(50)を3カ月間 減給10分の1の懲戒処分に、個人情報を漏えいしたなどとして神立消防署消防指令の男性消防職員(60)を停職1カ月の懲戒処分にしたと発表した。 市人事課によると、納税課主任は2024年度に国民健康保険税、翌25年度は市・県民税を担当した。国保税を担当した24年度については、所得や世帯構成の変更によって国保税を納め過ぎた場合の過誤納金の返還事務に関し、主任は24年度に確認された過誤納金のうち169件138万88円分について、加入者に返還する還付処理を行わず、未処理案件の存在を上司に報告せず、後任の担当者に引き継ぎを行わなかった。翌年、後任の担当者が還付処理を行っていないのに気付き発覚した。169件のうち7件については還付通知が遅延し、市が5300円を追加で払う還付加算金が発生した。 主任はさらに、国保税に未納などがあった場合、過誤納金を未納や延滞金などに充当する充当処理に関して、還付処理を行わなかった169件とは別に、24年度に確認された過誤納金のうち235件について、上司の決済を受けずに未納税額に充当処理を行っていた。 市・県民税の担当になった25年度には、地方税ポータルシステムのeLTAX(エルタックス)を用いて事業者が毎月電子納付する従業員の市・県民税について、事業者がうっかり会社に割り振られた指定番号を入力しないで納税した場合、担当者は納付事業者を特定する確認を行った上で、収納管理システムに入力し、未収を消す消込作業を行うべきだったにもかかわらず、主任は、指定番号が無かった電子納付のケースについて、事業所を特定するための確認を怠り、納付金額が同額だった別の事業者から納付されたと思い込むなど、誤った納付情報を収納管理システムに登録した。その結果、7事業所が月々電子納付した11件について、実際には納付されていたにもかかわらず、督促状が発送された。 同課によると主任は処分理由を認め、「未熟だった」などと話しているという。ほかに、25年度の管理監督者だった課長と係長、24年度の課長を厳重注意とした。 安藤真理子市長は「市民の信頼を損なったしまったことを心よりお詫びし、二度とこのようなことがないよう、法令遵守はもとより、これまで以上に適正な事務処理の執行に取り組み市民の信頼回復につとめます」などとコメントした。 家族に注意喚起するため 一方、神立消防署の消防指令は、2024年10月ごろ、匿名で電話があった野焼きの通報について、知人の声と似ていたため、着信履歴の番号と自分の携帯電話に登録されている連絡先の番号を突合して知人だと確信し、自分の家族に通報者が知人だと口頭で伝え、通報者の名前を漏えいした。 さらに今年8月、非番の日に発生した救急搬送について、出勤日に、同署内の救急隊員に確認して知人がけがをしたことを知り、自分の家族に知人の名前とけがの内容を口頭で伝えるなど個人情報を漏えいした。 11月4日、消防に匿名の電話があり、個人情報の漏えいが判明した。その後の消防本部の調査で、今年発生した3件の火災についても、発生場所の所有者の名前などを家族に口頭で伝えていたことが分かった。 消防本部によると消防指令は、漏えいした相手と利害関係などは無く、家族に対し、火事や事故に注意するよう伝えるためだったと話しているという。消防指令は消防隊をつかさどる立場の管理職だった。ほかに、管理監督者である同署署長を厳重注意とした。 安藤市長は「法令を遵守し個人情報を保護すべき立場にある公務員としてあってはならない行為であり、市民の信頼を損なってしまったことを心よりお詫びします。二度とこのようなことがないよう職員の綱紀保持や法令遵守の徹底などにこれまで以上に取り組みます」などとするコメントを発表した。