忘れてはいけない記憶 斎藤さだむさん、福島原発周縁の記録など展示 つくば美術館で「写真工房」展

福島第1原発周縁を中心に撮影し記録した斎藤さだむさんの「不在の光景V」

「写真工房写真展」の会場=つくば市吾妻、県つくば美術館

つくば市を拠点に活動する写真サークル「写真工房」(百瀬信夫会長)による「2017『写真工房写真展』Vol.15」が、つくば市吾妻、県つくば美術館で開かれている。つくば市在住の写真家、斎藤さだむさんが顧問を務め、現在会員16人が活動している。

斎藤さんの「不在の光景V」10枚は、東日本大震災以後の福島第1原発周縁を中心に撮影し記録した作品。忘れてはいけない記憶を、あえて色彩のトーンを明るめにして表している。荒廃した暗い風景を撮っているのだが、全体に明るい色調なのが不思議に見える。作品一つひとつを丁寧に見ていた女性は「あえて昔のスライドのように作ったように感じる」と話していた。作品の一角には斉藤さんの作品が掲載された本の紹介や、希望者が持ち帰れる作品のハガキも置かれている。

「写真工房」は、つくば市の公民館で開かれた写真講座に参加した写真愛好家により、2002年に結成された。毎回統一テーマは決めず、会員それぞれが興味のある対象を撮っている。会員の個性が際立った、興味深い作品に仕上がっている。

壁一面に佐野亨さんの「眼前のひろがり」5作品が展示されている。写真7~8枚を合成して1作品にした。リスボン、ニューヨーク、北海道などで撮った写真が力強く迫ってくる。

広田倫子さんの「これいいね」は、土浦市内の何気ない風景の一部を切り取ったもの。対象物の色彩とアングルが興味深い。

藤澤裕子さんの作品「襲色目(かさねいろめ)」の襲色目とは、平安時代の着物「重ね着の色の組み合わせ」のことで、それにならい写真を2~4枚重ねて作られている。重なった部分が下から透けて見え、深みのある独特な色彩が面白い。

会長の百瀬信夫さんは「景(かげ)」で花とその影を撮った。百瀬さんは「花を撮る人は多いが、花の形と影を主題にしたのは少ないのではないか」と話していた。(鈴木萬里子)

◆会期は22日(日)まで。開館は午前9時30分~午後5時(最終日は3時)。入館は閉館の30分前まで。

◆会ではメンバーを募集している。つくば市小野川の小野川交流センターで毎月1回定例会を行っている。入会希望や見学などの問い合わせは百瀬さん(☎029・838・0186)まで。

佐野亨さんの「眼前のひろがり」

 

広田倫子さんの「これいいね」