【コラム・及川ひろみ】われわれの会は発足数ヶ月前から、毎月第1日曜、専門家を講師に迎えてテーマを決めた観察会を行なってきました。この会には多くの子どもが参加していますが、子どもには、里山で遊びながら生き物に触れ、関心を広げていく機会も必要と考え、2001年から、観察と遊びと冒険を体験する「子ども探偵団」を始めました。毎月第4土曜の10~12時、親子で楽しむ会です。
4~10月は、里山入り口の「ふれあい農園」付近から池までの散策路や小川で、生き物を見つけます。ときには単眼境で拡大して見て、生き物だけでなく植物の姿や形に驚きます。
冬場は、木登り、木の間に渡したロープ滑り、落ち葉のプール。また通常の観察路を離れ、斜面の滑り降り、ササで覆われたやぶの中探検、木の実や蔓(つる)での物作り。年末には、竹を切って、正月飾り作り、木の実や蔓を使ったリースや飾り物作り。
参加者の人数、年齢、興味、そのとき里山で出会えたものに応じて、活動は臨機応変。指導者たちも、子どもたちの新たな発見を楽しんでいます。親子での参加ですから、年齢制限はありません。これが里山デビューになる子どもたちも大勢います。
自然体験で得られる自己肯定感
初参加の子が「虫が好き、〇〇を知っている」と言い、「図鑑で、テレビで」とあれこれ知識を披露しますが、里山に入って、探す、捕まえる、触る、匂いをかぐ、なめてみる、耳を澄ます、よ~く見る―など、体と五感で確かめる中で、彼らは本物に接します。
虫やザリガニにさわれなかった子は、常連の子どもたちの様子を見て、勇気を奮って手を出し、おっかなびっくり捕まえる場面では、子どものドキドキが伝わってきます。初めて木登りするとき、ロープ滑りするときの真剣な表情、繰り返すうちに上手になっていくときの自信に満ちた表情を見ると、子どもたちの成長の証(あかし)に立ち会えた気分になります。
国立青少年教育振興機構は、自然体験を通して得られる自己肯定感(自らの価値や存在意義を肯定できる感情)、共生感、意欲・関心、規範意識、人間関係能力などを「体験の力」として調査していますが、幼少期から中学生期までの体験が多い高校生ほど、自己肯定、思いやり、やる気、人間関係能力などの資質・能力が高い、という結果を得ています。
里山の環境は、人が育つために大切な要素にあふれています。これからも、里山の持つ教育力を生かす活動を発展させていきたいと常々考えています。(宍塚の自然と歴史の会代表)