【コラム・先﨑千尋】今月9日に行われた茨城県議選は、自民党県連の田山幹事長が落選したが、予想通り(?)自民党が過半数を維持し、1強政治が続くことになった。今回の選挙結果が来年の統一地方選やその後の参議院選にどう影響するのかわからないが、よくも悪くも政治は選挙で決まる。私なりにこの選挙結果を読み解きたい。

「茨城新聞」は解説記事で「保守王国・茨城の地盤は揺るがなかったが、自民に反発する大物政治家の長男2人が初当選し、東海第2原発の再稼働反対を掲げた立憲民主党が1人を当選させるなど、地殻変動の芽も生まれた」とまとめている。

自民は4人が落選し、その全員が70歳代。いつでも世代交代の波はあり、驚くことではない。むしろ、昨年の県知事選で大井川知事を推さず自民が処分した3人が勝ったことの意味は大きい。また水戸市・城里町選挙区では、元東京電力社員で、国民民主党系・茨城県民フォーラムの佐藤さんが立憲民主党の玉造さんに大差で負けたことも「地殻変動の芽」といえよう。

私も選挙の経験がある。それでわかったことは、候補者の主義主張を考えて投票する人は1割くらいしかいない。先輩に言われたことは、「票は足で稼げ」。とにかく歩いて人に会って、自分が何故選挙に出るのかを訴える。人の話をよく聞く。自分と違う人の考えを大事にする。

もう一つ言えることは、当たり前のことだが、選ばれる人と選ぶ人は同じだということだ。わが町の議員がダメだというなら、その人を選んだのは誰なのかを問わなければならない。安倍さんを首相の座に座らせているのは私たち国民なのだということだ。

再稼働可否 「どちらともいえない」が47人

本県にとって最大の政治課題は東海第2の再稼働だと私は考えてきた。もちろん、県民の暮らしにとって経済、福祉、教育などさまざまな問題、課題がある。人によって大事だと思うことは違う。しかし、どんなに立派なことを選挙のスローガンに掲げても、東海第2が再稼働し、事故を起こせば、すべて吹き飛んでしまう。

原発事故の恐ろしさは、茨城県民であれば7年前の東京電力福島第1発電所の事故で身に染みている。各種の世論調査や選挙の時の出口調査でも県民の6~7割が東海第2の再稼働に反対、と答えている。昨年の県知事選でも反対の候補の票が多かった。

では、今回の選挙ではどうだったのか。「東京新聞」の事前のアンケートによる結果では、当選した62人のうち賛成はゼロ。反対は12人で、「どちらともいえない」が47人、無回答が3人だった。安倍政権は原発推進だが、自民は全員が「どちらともいえない」と答えた。全員が「関係地域の意見が尊重され、安全安心のほか原発の今後の役割を検証し、当局が慎重に判断するのを注視する」という答え。

これでは、本人がどう考えているのか、どうしたいのかがまったくわからない。誰かがそう答えろと指示したとしか思えない。思考停止の結果が「どちらともいえない」なのだ。そういう頭の人が県政を担っていいのだろうか。公明党の3人が反対と答えているのも注目される。

18日、衆議院議員の中村喜四郎氏が立民会派入りを表明したというニュースを聞いた。もともと保守本流の立場にいた中村さんの立民会派入りに自民党県連も驚いているようだが、東海第2に対して彼が今後どう動くのかを注視したい。(元瓜連町長)