金曜日, 11月 1, 2024
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やる気のある事業主体探してます つくば市が廃校跡地利用でアイデア募集

【相澤冬樹】つくば市は、廃校跡地を農業関連の事業で利活用する場合、どんなアイデアがあるか、事業主体となる意向のある法人を広く探すための募集に乗り出した。有効活用に向けて、計画のスタートから事業者と市が対話型で組み立てていく「サウンディング型市場調査」という手法を採用したもので、廃校になった旧筑波東中学校(同市北条)を事業化の対象としている。

募集するのは、農業の施設を含んだ利活用のアイデア。応募は事業主体となる意向を有する法人(法人グループ含む)に限られる。農産物生産施設、農産物販売施設、体験施設、地場産物を活かしたレストランなどを想定している。

申し込みは所定のエントリーシートで、応募期間は7月19日まで。今月17日から28日は予約制で、現地見学や個別相談にも応じる。提案書の形で受け付け、市と事業者が対面して、アイデアについて話し合うサウンディングは7月24日から31日まで、同市役所で行う。調査結果概要の公表は8月以降を予定している。

同校は小中一貫の秀峰筑波義務教育学校の開校に伴って18年3月末に廃校となった。敷地面積約3万7000平方メートル、都市計画区分は市街化区域(第1種中高層住居専用地域)。校舎の背後に筑波山が立ち上がる景観や立地から、同校跡地が対象に選ばれた。すでに筑波山地域ジオパークに関する基本的情報の提供、各ジオサイト巡りのための拠点施設として、教室の一部を使用する計画になっている。

担当の市農業政策課によれば、市長公約事業である「廃校跡地等を利用し地域農家が食材提供をするファーマーズビレッジの設立」に沿う形で、昨年来庁内で検討された結果、サウンディング型の採用が決まった。「行政主導の計画策定では限界があり、広くアイデアを求めたかった。1件の応募もないかもしれないし、サウンディングの結果1件も採択されないかもしれない。まったくの手探り」という。

応募の詳細はつくば市ホームページを参照。

➡廃校利活用の調査結果はこちら

➡廃校利活用の意見交換会はこちら

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大腸がんの手術治療《メディカル知恵袋》7

【コラム・松村英樹】皆さん、大腸がん検診を受診されていますか? 検診は2日分の便を採取し、便に混じった血液を検出する検査です。がんやポリープなどの大腸疾患があると、大腸内に出血することがあり、その血液を検出します。1日分でも便潜血(せんけつ)検査陽性となったら、精密検査(大腸内視鏡検査)を受ける必要があります。今回は、罹患(りかん)者の多い大腸がんの手術治療についてお話しさせていただきます。 大腸と大腸がんの患者数 大腸とは1.5〜2メートルほどの臓器で、結腸と直腸に分けられます。結腸は、盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸に分けられます。直腸は、直腸S状部、上部直腸、下部直腸に分けられます。 大腸がんと診断された患者さんの数は、男女合わせた総数で第1位となっています。食生活の欧米化や運動量の減少などが関係していると考えられています。 大腸がんの広がり方 【a 浸潤】大腸がんは腸の一番内側の粘膜で発生した後、だんだん大きくなり、最後に腸の壁を突き破って周囲の臓器に広がります。浸潤(しんじゅん)の度合いを深達度と言います。 【b リンパ行性転移】リンパ管は血管のように体中に張り巡らされています。途中にリンパ節という節目があり、リンパ管に侵入したがん細胞はここで増殖します。これをリンパ行性転移といいます。 【c 血行性転移】がん細胞が細い静脈に侵入し、大腸から離れた臓器に流れ着いて、そこで増殖することを血行性転移といいます。大腸からの血流はまず肝臓に集まることから、大腸がんで最も血行性転移の頻度が高いのが肝臓です。次に頻度が高いのは肺転移です。 【d 腹膜播種】腹腔内にがん細胞が散らばった状態を播種(はしゅ)と言います。進行すると、がん性腹膜炎となります。 広がり具合のステージ がんの広がり具合(進行度)をステージ(病期)で表します。ステージは深達度、リンパ節転移、遠隔転移によって決まります。手術を行った後、組織を顕微鏡で調べた結果で病理分類ステージが決定します。これによって術後に補助化学療法を施行するか決まります。 手術治療では取り残しがないように、がんが広がっている可能性のある腸管とリンパ節を切除します。結腸がんは、がんから10センチ離れた部位で腸管を切ります。腸管を切除した後、腸管を吻合(ふんごう)します。(図1) 直腸がんは、肛門側はがんから2〜3センチ離れた部位で腸管を切除します。腸管を切除したあと、結腸と直腸を吻合します。通常器械(自動吻合器)を使って吻合します。(図2) がんが肛門近くにある場合、肛門を含めてがんを切除する必要があり、その場合は人工肛門になります。看護師による人工肛門の管理・教育や患者会など、ケアシステムに対する様々な取り組みが行われています。 腹腔鏡による手術 炭酸ガスで腹部を膨らませ、お腹の中を見る内視鏡(腹腔鏡=ふくくうきょう)で観察しながら数カ所の小さな創から鉗子(かんし)を入れて手術を行う方法です。創が小さく体の負担が少ないため、急速に普及してきました。しかしながら、従来の開腹手術とは異なる技術であるため、医師はトレーニングが必要となります。当院では内視鏡外科技術認定医が在籍しており、安全に腹腔鏡手術を行っています。(図3) 術後の補助化学療法 手術でがんをすべて切除したと判断しても、一定の頻度で再発が起こります。再発を抑える目的で手術後に追加で行う抗がん剤治療を補助化学療法といいます。リンパ節転移があった場合、またはリンパ節転移がなくても再発の可能性が高いがんに行います。 毎年、大腸がん検診を 大腸がん検診は毎年の受診が推奨されています。残念ながら全国の受診率は男女ともに50%を下回っています。大腸がんは比較的治りやすいがんです。怖がらずに大腸がん検診を受け、精密検査となった場合は必ず大腸内視鏡検査を受けていただくことをお薦めします。(筑波メディカルセンター病院 消化器外科 診療科長)

蚕影山神社と金色姫伝説 養蚕が支えた千年の営み思う絵画展

11月1日からつくばで 養蚕にまつわる歴史を調べ、関わる地域で見た風景を独特の作風でキャンバスに描き込む東京都町田市在住の画家、加藤真史さん(41)の個展「穹窿(きゅうりゅう)航路ー蚕神、彼の地より来訪し桑海を渡り帰還す」が、つくば市千現、ギャラリーネオ/センシュウで11月1日から始まる。横浜市と相模原市に続く3カ所目の開催となる巡回展で、アクリル絵の具や色鉛筆で描いた作品15点ほどが展示される。茨城に残る養蚕にまつわる「金色姫伝説」と、全国の養蚕農家の信仰を集めたつくば市神郡にある「蚕影山(こかげさん)神社」の歴史などを通じて、養蚕が支えた千年以上にわたる人々の営みに思いを寄せる展示になる。 加藤さんは今回の作品作りのきっかけを、かつて関東一円で栄えた養蚕地をつなぐ街道を「シルクロード(絹の道)」と呼んだのを知ったことだと話す。江戸末期から第二次大戦末期にかけて、各地で作られた生糸は東京・八王子市に集められ、貿易港のある横浜市へと運ばれた。養蚕業は明治期、外貨獲得のため国を挙げて進められ、産業に関わる一帯は経済的に繁栄し、近代化する日本を支えてきた。しかしその後、ナイロン製品の普及などにより衰退し、1929年に約220万戸を数えた養蚕農家は、2023年には全国で146戸にまで減少している。 「郊外」の広がりと、消える養蚕のある風景 加藤さんは以前から、自身が暮らす街の成り立ちに関心を持ってきた。瀬戸物の産地として知られる出身地の愛知県瀬戸市は、歴史ある街並みが残る一方で、加藤さんが育った地域には、コンビニやファミリーレストランが国道沿いに並ぶ「どこにでもあるような、いわゆる郊外風景」だった。加藤さんは、故郷で見る風景が、全国で同じように広がることに疑問を感じ、各地の歴史を紐解きながら「郊外」について考えることが作品作りの大きなテーマとなった。養蚕にまつわる今回の作品は、加藤さんが2022年から作り続ける「郊外」を巡るシリーズ作「郊外の果てへの旅と帰還」の一環でもある。 「『郊外風景』は敗戦後、都市部の住宅不足から、国が団地を建てて周辺地域に人々を誘導してできたもの」だと加藤さんは説明する。「外貨獲得のために国策として拡大したのが養蚕業。桑畑が一面に広がる風景が各地にあったが、養蚕業の衰退とともに『郊外』が台頭した。各地を歩いて実感したのは、日本中で桑畑が『郊外住宅』に置き換わっていった歴史だった」と語る。 インドとつくばをつなぐ伝説 こうした養蚕と郊外の関係を調べる中で出会ったのが、各地に点在し、養蚕農家が信仰する「蚕影神社」と、その総本社でつくば市にある「蚕影山神社」だ。さらに、現在のインドにあたる天竺(てんじく)とつくばを養蚕にまつわる物語が結ぶ「金色姫伝説」の存在だった。伝説は、金色姫という天竺の王女が現在の日立市沿岸に流れ着き命を落とすと亡骸が蚕となり、筑波山の麓にたどり着いて養蚕が始まったというものだ。加藤さんは、養蚕の「創世記」となる伝説と、近代日本の起こりとなる「シルクロード」の物語を結びつけ、今回の絵画作品とした。 「国を支える主要産業として、多くの人が関わった養蚕業だが、開発が進みその痕跡を見つけるのも難しくなった。養蚕に携わる中で共有されていた文化や、劣悪な環境で働いていた女性の存在を知った。労働するにあたって必要とされた心の拠り所、信仰というものがあったはず」だと加藤さんは言い、「養蚕業に携わってきた多くの人々の内面を、私の個人的な作品を通じて見る人につなげる橋渡しにしたい」と作品への思いを語る。 今回の展示を企画した同ギャリーの山中周子さんは「筑波山麓の方は、蚕を『お蚕さん』と、『お』をつけるくらい養蚕を生きる糧にし、強い思いを持っていた。全国からつくばに関係者が参拝に来ていたという話も残っている。知らない人には知って欲しいし、知ってる人にも是非、新しい気持ちで作品を知って欲しい」と来場を呼び掛ける。(柴田大輔) ◆加藤真史個展「穹窿航路ー蚕神、彼の地より来訪し桑海を渡り帰還すー第Ⅲ期 筑波巡礼篇」は、11月1日(金)~17日(日)の金・土・日曜、千現1-23-4 101、ギャラリーネオ/センシュウで開催。月~木曜は休館。開館時間は金曜が午後3~7時、土日は午後1~5時まで。入場無料。展示に関する問い合わせは、メール(info@neotsukuba.com)で。