【鈴木宏子】筑波山神社(つくば市筑波)で、氏子総代有志らが神社本庁に、岩佐弘史宮司(54)の解任を要求する事態が起こっている。氏子総代ら23人が9月、筑波、沼田、国松、上大島、臼井5地区の氏子約800戸などを対象に、解任を求める署名活動を展開、9割の署名を集めて、9月20日、神社本庁に解任を求める要求書を提出した。一方、岩佐宮司は氏子総代らの主張を否定し、双方の言い分は平行線となっている。
同神社責任役員で氏子総代の堤正則国松上郷区長(76)らによると「(岩佐宮司は)地区氏子との関係を希薄化させ、総代からの意見を聞き入れず、神社職員に対してパワーハラスメントをするなど様々な問題行動を起こしており、看過できない状況にきている」などとしている。
岩佐宮司は、神職の男性職員に対し、山頂の本殿勤務と会計担当を兼務させるなど過酷な条件での勤務を強要し、ささいなミスを別の職員らがいる前で罵倒し、男性職員はうつ状態になって病気休職を取得せざるを得ない状況に追い込まれ懲戒解雇されたという。さらに懇親会に職員を運転手代わりに使用し深夜まで労働させるなどパワーハラスメントが横行しているなどとしている。
4月と11月の同神社の大祭、御座替祭(おざがわりさい)では、古くから行われてきた、当番丁の地区にしめ縄を飾るという習わしを、氏子総代の意見も聞き入れずに変更して、神社と周辺地区の氏子との関係を希薄にしたなどとしている。
堤さんは「(岩佐宮司は)氏子の意見を聞かないで一方的に物事を推し進め、総代会で意見を言っても取り上げてくれない。宮司としての資質が問われる」とし、前氏子総代の鈴木裕一上大島区長(68)は「ここまでやりたくなかったが、やらざるを得ない状況になった。氏子の声を集めて宮司に退いてもらうのが最良の方法」だなどと話した。
これに対し岩佐宮司は「職員には『仕事はためると大変なので、こつこつ、ちゃんとやりなさい』とは言っているが、罵倒したり、威圧的な言動はとってない」などとパワハラを否定。御座替祭の習わしの変更についても、(少子高齢化などにより)当番丁の氏子がしめ縄を飾ることができなくなり、神社に任せるようになった経緯があるとした上で「神社に任されている以上、正しいしめ縄の張り方をしていると世話人会で説明している」などと語り、その上で宮司の職を辞める意志がないことを強調した。
一方で、氏子との関係改善について「不信の念を持たれたのは不徳の致すところなので、今後は行動に十分注意してやって参りたい」などと話した。
氏子総代らの解任要求は今後、県神社庁が調査することになるという。岩佐宮司は「県神社庁で説明を求められると思う。処分内容に従わざるを得ない立場にある」としている。
岩佐宮司は、神社本庁参事から、2013年7月、筑波山神社の権(ごん)宮司になり、15年6月、宮司に就任した。就任後、神社の借入金を完済したり、さまざまな改革を断行する宮司として知られている。