【鈴木宏子】土浦の歴史的町並み調査が1978年に初めて実施された。旧水戸街道沿いに残る同市の町並みに初めて光を当てた調査で、当時、東京都立大で教べんを執った市内に住む建築文化史研究者、一色史彦さん(78)が調査主任を務めた。あれから40年。当時、街並みの保存活用はどうイメージされていたのか、今、町並みを次世代にどう伝えていくのかー。
22日土浦市中央、まちかど蔵大徳で、まちづくり講演会が開かれ、一色さんが「土浦のまちづくりに込めたものー土浦の歴史的町並み調査をふまえて」と題して講演する。土浦界隈まちづくり研究会(伊藤春樹代表)が主催する。
調査は、文化庁の伝統的建造物群調査として実施され、東京大、都立大(当時)、筑波大など五つの大学が参加した。旧水戸街道沿いの下高津から真鍋まで、約3.5㌔間の家屋などをくまなく調査。当時は江戸時代や明治・大正・昭和初期に建てられた町家がまだ多く残っており、すべての建物の建築年代分布や、それぞれの建物が景観をどう形作っているかなどを明らかにした。
一方、当時、町家が取り壊され、近代的なビルや住宅などに変わっていたことから、一色さんらは、保存地区の設定や「奥行のある町づくり」などを提唱した。
現在、調査結果に基づいて、旧水戸街道沿いの中条通りに残る江戸時代後期から明治時代初期に建てられた商家が、土浦まちなど蔵「大徳」「野村」として改修・保存され、土浦で街歩きを楽しむ観光拠点となっている。
一色さんは「木造建築は火災で燃えるし、壊れる、伝統的建造物は大切にしたから残ったのではなく、偶然、奇跡的にたまたま残った」とし、特に「町にはりめぐらされていた川口川や水路が、今は道路などの下の暗渠(あんきょ)になってしまったことが水の都、土浦としてもったいない」などと話す。
講演会を主催する同研究会代表の伊藤さんは40年前、筑波大学大学院生として調査に参加した。40年前の町並み調査が活動の原点になっているという。伊藤さんは「土浦の町並みの魅力は何か、今後のまちづくりにどう生かしていくか、原点となった40年前の調査を踏まえて考えたい」と話す。
◆まちづくり講演会は22日(土)午後1時20分~4時、土浦市中央1丁目、まちかど蔵大徳2階和室で開催する。講演後、県指定文化財矢口家住宅など中条通りの町並みを歩いて見学する。入場無料。参加申し込みは電話090-4059-4860(伊藤さん)