【相澤冬樹】猛暑続きで水温上昇が懸念された霞ケ浦のワカサギ漁、解禁日の21日は昨年の倍近い漁獲となって、漁師や関係者はひとまずホッとするホットな滑り出しとなった。
ワカサギはひき網のトロール漁で採捕される。日中の暑さを避け早朝の操業となるが、長時間網を引き続けると魚体が傷むため、1時間程度で切り上げる。漁師の高齢化から、今夏は熱中症の懸念も高まっており、気温と水温の上昇が不安材料となる解禁を迎えた。
県霞ケ浦北浦水産事務所の調べだと、この日操業した漁船は霞ケ浦(西浦)140隻、北浦38隻だった。聞き取りによる1隻当たりの漁獲量の平均は霞ケ浦81.9キロ、北浦25.4キロで、いずれも昨年を倍前後上回り、200キロを超えた船もあり、総じて満足のいく漁果。昨季は霞ケ浦全体で100トンを割り込む不漁だっただけに、今年の漁に手応えを感じられる操業初日となった。
採れた魚は早速、生ワカサギや煮干しのパック詰めとなって出荷される。漁期は12月末までだが、全国の主要産地で夏場に漁を行うのは霞ケ浦(北浦含む)だけ。今の時期のワカサギは脂がのり、不飽和脂肪酸のEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)を多く含むことから、「ナツワカ」として売り込みを図っている。
行方市にある道の駅たまつくりにある観光物産館「こいこい」では、漁師らでつくる霞ケ浦水産研究会による「わかさぎ解禁市」が開かれた。採れたてのナツワカを天ぷらなどにして販売したが、持ち込まれた量も昨年の1.5倍。日差しの強い屋外で、天ぷらに揚げていく作業は熱気が半端ない。
口にした来店客は「臭みがまるでなく、甘みも感じられる」と感想。霞ケ浦りんりんロードをやってきたサイクリストらが汗だくで揚げたてをほおばる姿が見られるなど、ホットな夏休み初日となった。