【田中めぐみ】筑波大学(つくば市天王台)情報学群知識情報・図書館学類は今年11月の推薦入試から、ビブリオバトル方式の面接を導入する。大学入試にビブリオバトルを導入するのは全国でも初の試みだ。
ビブリオバトルは、参加者が読んで面白いと思った本を順番に紹介し合い、最後に一番読みたくなった1冊(チャンプ本)を決めるコミュニケーションゲーム。近年では小学校から大学院まで、コミュニケーション能力を向上させる方法の一つとして授業などで導入されている。
同学類の募集定員は100人で、そのうち推薦入試は40人。ビブリオバトルの面接試験は1グループ4~6人の受験生で入室し、公式ルールにのっとって本のプレゼンテーションと質疑応答を行う。どのようなジャンルの本を選んで紹介するかは受験生に任されており、漫画や時刻表などを選んでもよいという。チャンプ本はグループの受験生の投票によって決められるが、チャンプ本になるかどうかは評価にはかかわらない。
同学類は昨年までの推薦入試で個別面接を実施してきた。しかし受験生は面接に向けて入念な準備をしてくるため、評価で差がつきにくい状況となっていたという。ビブリオバトルは、5分間の本の紹介を事前に準備できるが、質疑応答では臨機応変な対応力が必要となる。本の紹介からは表現力や論理性などによる説得力、質疑応答からは判断力や質問力、他者とのコミュニケーション力など、受験生を多角的な視点で評価することが可能だという。通常のグループディスカッションでは、発言権が得られなければアピールすることもできないが、ビブリオバトルでは各々5分の紹介時間が与えられるため、試験の公平性も高くなるという。
同学類は、インターネットや図書館など知識共有の仕組みの企画・運営やそれを支える情報システムについて学び、知識や情報の蓄積・流通の成り立ちやシステムのあり方を探求する。膨大な情報があふれる昨今、それらの情報をどのように収集、保存し有効活用するのか、包括的に学び、研究していくことが使命という。研究分野は政策、法律から情報システムまで多岐にわたり、幅広い視点を持って専門外の分野についても主体的に学んでいく姿勢を求めている。
歳森敦学類長は「文系、理系の枠に縛られず勉強してほしい。文系だから、理系だからと自分の能力を限定してしまうのではなく、教科を横断した視点を持ってほしい」と受験生にエールを送る。
同学類は一般入試や推薦入試の他、AC入試(自己推薦に基づく選抜)、国際バカロレア(大学入学資格が与えられる海外の教育プログラム)特別入試など様々な受験方式を設けることで、多様な能力、資質を持つ学生を幅広く受け入れる。
*ビブリオバトル公式ルール
1.発表参加者が読んで面白いと思った本を持って集まる。
2.順番に一人5分間で本を紹介する。
3.それぞれの発表の後に参加者全員で発表に関するディスカッションを2~3分行う。
4.全ての発表が終了した後に「どの本が一番読みたくなったか?」を基準とした投票を参加者全員一票で行い、最多票を集めたものを「チャンプ本」とする。
(知的書評合戦ビブリオバトル公式ウェブサイト http://www.bibliobattle.jp/ より引用)