【池田充雄】第100回全国高校野球選手権茨城大会は9日目の17日、3回戦の残り8試合が行われた。土浦市川口のJ:COMスタジアム土浦には、他球場で2回戦を勝ち上がり、一回り成長して戻ってきた2校の姿があった。だが土浦一は境に4-13で7回コールド負け、土浦三は取手一に0-10で5回コールド負けを喫し、大会から姿を消すことになった。
土浦一、最後の力振り絞る
土浦一は13日、Bシードの日立一を敵地で破るという快挙を遂げた。だがその代償は大きかった。エースの大松崎智也は疲れが抜けず、主将の矢追駿介は足のけいれんのダメージが残り、いずれも今戦はベンチスタート。先発投手には日立一戦で好救援した古宮学樹が名乗りを上げた。
捕手の横島健太朗は「古宮は今までで一番真っすぐが走り、いけると思ったが、自分の配球が合わなかった。相手のデータは全部頭に入っていたが、それを投手に伝えきれなかった」と悔やむ。
2回2死から甘く入った初球を打たれ、そこから一挙5失点。「布陣を組み替えたのが裏目に出て、選手に良い入り方をさせてあげられなかった」と藤田大輔監督。
さらに4回にも1失点し、スクランブル登板した大松崎も、一度ついた境打線の火を消せず、5回に6安打を浴び7点を失う。一方、自軍の打線は2安打と沈黙。藤田監督は「相手の変化球には甘いところもあったが、大量失点を受けて打席で考え過ぎてしまった」と分析する。
だが0-13と大差をつけられ、ついに打線が奮起。4点を奪い、5回コールドを回避することに成功。2点適時打を放った矢追主将は「このままでは終われないし、日立一にも申し訳ない。絶対に4点取るぞとベンチで話し合った」と明かす。3年生が最後の力を振り絞ってヒットをつなぎ、2年生へ思いを伝えられたことは、来年に向けての良い材料になった。
土浦三、力出し切れず
土浦三は13日、古河三に7-0でコールド勝ち。エースの濱崎鉄平は1回戦に続いてこの試合も最後まで投げ抜いた。そして迎えた今日の取手一戦。コンディションは問題なかったが、試合の入り方がいつもとは違ってしまったという。
「自分は初回の先頭を抑えることで乗っていくスタイル。だが今日は気持ちが足りなかった。入りがおかしくなり、配球やリズムを変えて修正もしたが、一度相手に行ってしまった流れを戻せなかった」
1・2回で計6点を失ったが、クリーンヒットはさほど多くない。逆に自軍は、いい当たりが出ても後に続かない。わずかな歯車のかみ合わせの違いによって、全く逆の展開になっていてもおかしくなかった。
「なぜだか最初のバント処理からチームにスピード感がなく、ゲームにならないまま終わってしまった。若いチームなので流れを止められない。また3回戦ともなると、相手もこちらのわずかなスキを見逃さない」と松浦三喜男監督。
さらに4点を失い、0-10で迎えた5回裏。コールド負けが迫る中、濱崎はベンチ前でキャッチボールを始める。「ここで終わらず、次の回にも行くぞ」というメッセージを込め、チームを勇気付けようという彼の作戦だった。それでもツーストライクと追い込まれ、今度は「冷静に」と直接声をかける。だがその願いもむなしく、バットは空を切る。土浦三の夏が終わった。
第100回全国高校野球選手権茨城大会 3回戦(7月17日、J:COMスタジアム土浦)
※7回コールド
バッテリー
境:野口、染谷、猪瀬-大江
土浦一:古宮、大松崎、先崎-横島
長打(すべて境)
三塁打:稲毛田和
二塁打:大江2、野口
※5回コールド
バッテリー
取手一:三浦-用
土浦三:浜崎-木村
長打(すべて取手一)
三塁打:和方
二塁打:用、菅原