【橋立多美】高齢化が課題のつくば市の森の里団地は市立茎崎第三小学校と隣り合っている。同小で飼育されているウサギの日曜日の餌やりを、同団地自治会スポーツ部の部員たちが受け持っている。学校は地元住民の貢献に報いたいと、空き教室を地域で活用してもらう準備を進めている。
同校はプール脇の飼育舎でウサギ3匹を飼っている。週末の餌やりを教職員が交代でやってきたが、休日を授業の調べものや準備に充てる教職員にとって負担になっていた。
今春着任した鮏川誠校長は、学校運営に協力的な自治会長の倉本茂樹さん(75)に相談を持ちかけた。自治会は2代前の校長時代から、花壇やプランターの花植えや水やりをしてきた。
相談を受けた倉本さんは、日曜にバットの快音を響かせて同校校庭で練習をしている、自治会文化部所属のソフトボール部と軟式野球部の部長に打診した。両部とも「責任もってお世話します」と快く引き受けてくれた。
両部が1カ月交代で餌やりをし、市体育協会主催の大会出場と重なった場合はもう一方の部が担当するなど、協力し合って小さな命を守っている。練習できない雨の日は担当月の部員が順番で餌やりをし、晴れた日は花壇とプランターの水やりも忘れずに行っている。
6月の餌やり担当は軟式野球部だった。与えるのは市販のウサギ用餌だが、5、6年生による美化飼育委員会が全校生徒に呼びかけて集めたニンジンやキャベツが餌箱に添えられていることもある。部長の森山志郎さん(70)は「世話していると、かわいいよなぁ」と相好を崩す。
団地住民と同校との連携について倉本会長は、「学齢期の子どもがいる若年層が一斉に入居した翌年(1980年)春に第三小が開校した。住民には、自分の子どもを育ててくれた学校という共通の思いがある。私の意識の中では森の里団地立茎三小という気持ちがある」と語る。
一方、県内のさまざまな公立学校を赴任してきた鮏川校長は「団地住民の学校への関心の高さと代償を求めない姿勢に驚いた」と感慨深げに話した。学校も地域のために貢献できることをしようと、準備が進められているのが空き教室を開放し、住民が気軽に語らったり学習できる場の提供だ。校長は「世代間交流が生まれ、児童たちが思いやりの心を育むことにつながる」と話している。(終わり)